梨状筋症候群の症状と特徴のまとめ

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病態

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梨状筋症候群とは

梨状筋症候群とは、坐骨神経が骨盤出口部で圧迫や刺激を受け、坐骨神経支配域に疼痛や神経症状・麻痺を惹起する疾患群と定義されています。

本疾患は、1928年Yeomanが初めて報告した疾患とされています。
彼らは仙腸関節病変が周囲に炎症反応を引き起こし、坐骨神経に影響を生じさせることにより起こる病態があることを報告しました。

1937年Freibergらは、梨状筋を切離することにより症状が改善することを初めて報告しました。

1947年Robinsonが、初めて梨状筋症候群をいう病名を用いて、梨状筋の解剖学的破格の存在下に外傷が加わることにより発症する病態を報告しました。

腰椎椎間関節由来の下肢痺れと、梨状筋症候群の鑑別を明確化することは非常に困難なことではあります。
しかし、問診により症状の特徴を捉え、適切な生体力学的評価を行い多角的に評価することで、ある程度鑑別することは可能でしょう。

今回は、梨状筋症候群の症状とその特徴、梨状筋症候群を引き起こすと考えられる原因を解説していきます!

梨状筋症候群の症状

梨状筋症候群の症状や、その症状が出現するタイミングを下記にまとめます。

梨状筋症候群の症状

  • 仙骨から臀部を通り、大腿の後面を下降し、通常膝の上で止まる痛み・感覚異常
  • 15-20分以上の座位保持、立位保持
  • 15-20分以上の睡眠姿勢保持
  • 痛みは歩行で改善され、動かないと悪化する
  • 座る、あるいは、スクワット姿勢の位置から立ち上がる時に痛みが生じる
  • 姿勢を変えても、完全に痛みは軽減しない
  • 反対側の仙骨・腸骨の痛み
  • 足の痺れ
  • 同側下肢の筋力低下
  • 頭痛、頸部痛
  • 腹痛、骨盤周囲の痛み、鼠径部痛
  • 女性における性交痛
  • 便通による痛み

これらのような肢位で、下肢の神経症状を呈します。
デスクワークの仕事をされている方は、座位保持の時間が長くなり症状が出現しやすいことが考えられます。

腰椎由来の神経症状であれば、遠位の下腿・足部に症状が見られますが、梨状筋症候群の症状の多くが殿部〜大腿後面の痛み・感覚異常を呈します。
患者さんの訴えや触診の評価などで、ある程度疑いを持つべき点になりますので、注意が必要になってきます。

筋力低下なども症状にありますが、経験上では患者さんの訴えのなかではあまり出てこない部分になります。
それよりも、痛み・痺れの感覚が先に感じてしまい、力の入りにくさに気づいていないように思えます。

症状は、歩行時に改善され、動かないと悪化することもあるということが一つ大きなポイントになります。
腰椎椎間関節由良の症状であれば、歩行などの動作で増悪する可能性が高いと考えられるため、鑑別要素として重要となるでしょう!

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梨状筋症候群の特徴

梨状筋症候群を疑うような所見・特徴を下記にまとめます。

梨状筋症候群の特徴

  • Piriformis徴候は陽性
  • Lasegue徴候は陽性
  • FAIR徴候は陽性
  • Freiberg徴候は陽性
  • Pace徴候は陽性
  • Bettyテスト結果は陽性
  • 罹患側下肢の内旋制限
  • 罹患側下肢の非対称の筋力低下
  • 梨状筋の上に圧痛の存在
  • 同側殿部に硬結を触知する
  • 仙腸関節・大坐骨切痕の領域に圧痛の存在
  • 慢性病患者における殿部の萎縮
  • 罹患側下肢の牽引で、中等度の疼痛を緩和する
  • 同側下肢の短縮
  • 代償性の腰椎回旋を伴った、反対側方向への持続的な仙骨の回旋

これらのような評価項目に当てはまるときに、梨状筋症候群の可能性が高くなります。
スペシャルテストに関することは、下記の記事で解説しているため、そちらをご参照ください!

梨状筋の問題があるために、筋の圧痛や股関節可動域制限、反対側の梨状筋にも圧痛が見られる場合もあります。

その他に、坐骨神経に伸張ストレスを加えるSLR TestやSlump Testも陽性になってくる可能性が高いです。
しかし、これに関しては梨状筋症候群を鑑別するためというよりも、腰椎神経根症状を鑑別するために有用であり、特に反対側下肢のSLRで症状がみられた場合にはその可能性が高くなります。

梨状筋症候群の分類

梨状筋症候群は、3つのサブグループに分けられます。

梨状筋症候群の分類

  1. 坐骨神経の前方変位を伴う、非対称に肥大・過緊張状態にある梨状筋が原因となる可能性がある
  2. 梨状筋による動的な坐骨神経の絞扼
  3. 梨状筋と坐骨神経の解剖学的バリエーション(坐骨神経の異常な走行)

これらに分類されます。
3つ目の解剖学的バリエーションに関しては、個人差が関係してきます。
これに関しては、次回の記事でご紹介していきます!

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まとめ

梨状筋症候群の症状や特徴を、理解して日々の臨床現場において応用することは非常に難しいことだと感じています。

また、症状を把握していることで、問診の進め方なども変わってくることだと思いますので、ぜひ上記のまとめを参考にしてみてください!

こちらの記事では、梨状筋症候群の原因と評価方法(スペシャルテスト)を解説していますので、是非ご参照ください。

参考文献

  1. Non-surgical management of piriformis syndrome: a systematic review; F Cramp, O Bottrell, H Campbell, P Ellyatt, C Smith, and B Wilde.
  2. The clinical features of the piriformis syndrome: a systematic review;Kevork Hopayian, Fujian Song, Ricardo Riera, and Sidha Sambandan, Eur Spine J. 2010 Dec; 19(12): 2095–2109.
  3. Deep gluteal space problems:piriformis syndrome, ischiofemoral impingement and sciatic nerve release;Luis Perez Carro, Moises Fernandez Hernando, Muscles, Ligaments and Tendons Journal 2016;6 (3):384-396
  4. 梨状筋症候群における発症機転についての考察 ―初診時理学所見よりみる発症タイプの分類―; 中宿 伸哉, 林 典雄, 赤羽根 良和, 山崎 雅美, 吉田 徹

コメント

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