横隔膜の機能解剖学:呼吸と腰椎・骨盤帯安定化

横隔膜の機能解剖:脚の付着部と呼吸機能&姿勢安定化機能解剖学&運動学
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横隔膜

横隔膜は、姿勢保持や運動の安定性に貢献しつつ、呼吸機能も同時に維持していることは数多くの文献によって紹介されています。横隔膜の付着部の関係を踏まえると、体幹の安定性、特に腰椎の安定性に関係していると考えられています。

横隔膜の呼吸と姿勢安定性の機能に関しては、それぞれ同時に機能を果たす必要があるため、呼吸機能としての役割分担が増えてしまうと、姿勢安定性としての役割を果たすことが難しくなってしまいます。その逆も然り、姿勢安定性としての需要が増えると、呼吸機能としての役割を果たせなくなってきます。

公園で深呼吸をする女性

例えば、慣れていない姿勢や不安定な環境における姿勢保持、外的な負荷が強くかかっている状況においては、呼吸を忘れてしまうこともあるでしょう。横隔膜の姿勢保持と呼吸機能の役割を合計100%とした場合、70%が姿勢保持としての役割を担っていた場合、30%が呼吸機能としての役割を担うこととなります。(※ざっくりとした例です。)

そのため、呼吸としての役割+姿勢安定性としての役割をバランス良く、そして効率良く機能させることが必要となります。

横隔膜と胸郭・骨盤

今回の記事では、特に横隔膜の機能解剖学・特徴についてまとめていきます。

横隔膜の付着部

横隔膜は、剣状突起・肋骨内側面・腰椎〜腱中心に付着しており、頭側にドーム状の構造をしています。横隔膜は筋と腱で構成されており、胸部と腹部を隔てています。

下記は、横隔膜の付着部をそれぞれ部位別に分けてまとめています。

<胸骨部>
剣状突起の背側部に由来し、2つの小さな筋束で構成される。
<肋骨部>
腹横筋を介して、第7〜第12肋骨内側面および上縁に由来する。
<腰椎部>
内側・外側の脚が腰椎に由来する。

横隔膜の腰椎付着部では、内側脚と外側脚に分かれています。これは心外膜・腎周囲路とそれに関連する脂肪組織を繋いでいるため、身体の内臓や脂肪組織からの固有受容感覚の情報を受け取る場所ともされています。

内臓のイラスト

これは横隔膜によって、互いに離れている臓器や構造物にも影響を与えているということです。呼吸・姿勢安定化としての役割に加えて、循環器や消化器・泌尿器からの情報も受け取る場所とも考えられます。

※横隔膜が重要な理由
・身体の様々な領域から発生する情報の交換ポイントである。
・内臓・脂肪組織から固有受容感覚の情報を受ける。

横隔膜は腰椎に付着しますが、ドーム状の実質部から腰椎まで伸びている細長い部分が“脚”と言われます。脚は内側と外側に分かれており、それぞれ付着する部分や特徴に違いがありますので、それを以下でまとめていきます。

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横隔膜の内側脚

横隔膜の内側脚は、椎体に付着する前に内部の筋束や食道の開口部、食道と迷走神経が走行するTh11のレベルで左右に区別されます。

右側の内側脚と左側の内側脚に分かれて腰椎に付着しており、それぞれ付着するレベルが変わってくるのが特徴です。

横隔膜の内側脚

右側の内側脚は太くて長く、平らな腱になっており、L2-4の前面に停止します。

【右内側脚】
・L2〜4に付着する
・太くて長い腱である

左の内側脚は細くて短く、L2とL3の間の平坦な腱として停止します。

【左内側脚】
・L2〜3に付着する
・細くて短い腱である

横隔膜の外側脚

外側脚は、『内側弓状靭帯』と『外側弓状靭帯』という2つの頑丈な靭帯によって付着部が分かれます。それぞれ、付着する場所・走行に違いがあります。

横隔膜の外側脚

内側弓状靭帯:大腰筋の上方に位置しており、L1椎体と横突起と繋ぐ。
外側弓状靭帯:腰方形筋の上方に位置しており、L1横突起と第12肋骨の頂点を繋ぐ。

外側脚はL1との関係性が強いことから、胸腰椎移行部や上位腰椎領域の痛みには、横隔膜の機能不全も関与する可能性が考えられます。

内側・外側弓状靭帯は大腰筋・腰方形筋との繋がりだけではなく、後方では胸腰筋膜、前方では横筋筋膜とも繋がっているので、これもまた横隔膜がその他の身体領域へ幅広く影響していることが裏付けられます。

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横隔膜の機能

繰り返しになりますが、横隔膜の機能は『呼吸機能』と『姿勢保持・安定化機能』になります。

呼吸機能としては、特に吸気の筋として活動します。
息を吸ったときは、横隔膜のドーム状構造が平坦化するように下降し、横隔膜が求心性収縮します。
反対に息を吐くときには、横隔膜はリラックスして元のドーム状構造に戻ります。このとき、完全に弛緩するよりも、遠心性収縮が生じていると考えた方が良いでしょう。

吸気:求心性収縮し下降する
呼気:遠心性収縮し上昇する

姿勢保持・安定化機能としては、横隔膜が収縮し下降・平坦化すると、上から押される圧が高まるために腹腔内圧が上昇することが言われています。腹腔内圧が高まることで、腰椎・骨盤帯が安定し、姿勢保持・安定化としての機能を果たします。

この時、横隔膜以外にも、腹横筋・内腹斜筋や胸腰筋膜、骨盤底筋群・骨盤隔膜と協働することで、腹腔内圧を高めることができます。
上からは横隔膜、下からは骨盤底筋群・骨盤隔膜、前面〜側面からは腹横筋・内腹斜筋、後面からは胸腰筋膜によって囲まれた空間であり、全てが機能し全ての方向から圧を高められることで、腹腔内圧が高まります。

これらのどこかが機能不全に陥っており、四方八方から圧縮することができないと、腹腔内圧を高めることはできないと考えて良いでしょう。よくある例としては、腹腔内圧を高めようとしても、吸気の際に腹部前面が拡張してしまい、側面や後面が拡張できないということです。全てが均等に機能している必要がありますので、このような状況は機能不全となります。

吸気の方がイメージしやすいかと思いましたので、上記は吸気のタイミングでまとめてみました。

横隔膜が下降・平坦化するというのは“吸気”のタイミングになりますが、吸気でしか腹腔内圧を高められないということではありません。呼気のタイミングでは、横隔膜が遠心性収縮で機能し、同時に腹横筋・内腹斜筋が前・側面から、骨盤底筋群・骨盤隔膜が下方からの圧を高めることで、腹腔内圧としての総和を保っています。

吸気・呼気の時に後面の胸腰筋膜、それに付着する筋が緊張・短縮している場合は、後面からの圧が高まりますので、よくある例として挙げたように前面へ圧が逃げていってしまいます。なので、胸腰筋膜は“壁”としての役割を担っており、あくまでも受動的なものではないかと個人的に考えています。能動的になってしまった瞬間に、呼吸と姿勢保持・安定化の機能のバランスは崩れてしまい、機能不全に陥ってしまうと考えられます。

横隔膜(上)、腹横筋・内腹斜筋(前・横)、胸腰筋膜(後)、骨盤底筋群・骨盤隔膜(下)により腹腔内圧を高め腰椎・骨盤帯を安定させる

まとめ

横隔膜の基本的な機能解剖学をご紹介しました。

横隔膜は、呼吸機能の役割を果たすだけではなく、様々な臓器から固有受容感覚・情報を受け取り、それを集約している場所となっています。

その他にも、横隔膜脚部の付着部より、胸腰椎移行部・上位腰椎椎間関節の安定化に寄与することが考えられます。

このとき、横隔膜が単独で機能しているわけではなく、腹横筋・内腹斜筋や胸腰筋膜、骨盤底筋群・骨盤隔膜と協働して腹腔内圧を高めて機能しています。そして、腹腔内圧を高めて終わりではなく、腹腔内圧を高めた状態でどのような動作をするのかが重要となります。よって、上肢・下肢の筋との関連は考慮しなければいけません。

横隔膜のまとめ

  • 呼吸機能+姿勢安定化機能
  • 身体の様々な組織から集まる情報の交換ポイント
  • 胸腰椎移行部や腰椎腰椎安定性に寄与する
  • 腹腔内圧を高める

呼吸をトレーニングしたらリラックスできるようになった、便秘が改善された、消化器系の調子がよくなった、なんてことは意外と起こり得ます。それが横隔膜の問題が改善されたからと決めつけるわけではなりませんが、機能解剖学を考慮すると「それも起こり得る」ということが考えられます。身体に多大な影響を及ぼす横隔膜ですので、介入しないわけにはいきませんね。

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参考文献

Anatomic Connection of the Diaphragm:Influence of Respiration on the Body System:Bruno Bordoni, Emiliano Zanier, Journal of Multidisciplinary Healthcare, 2013

コメント

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