胸腰筋膜と腹横筋の関係:姿勢・動作における腹腔内圧の変化や腰痛に伴う機能不全

胸腰筋膜と腹横筋の関係:姿勢・動作や腰痛と腹腔内圧の関係:第7弾 解剖学
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胸腰筋膜と腹筋群の関係

胸腰筋膜の機能解剖の第7弾です!

今回は、胸腰筋膜と腹横筋の関係と、姿勢・動作や腰痛と腹腔内圧の関係性をご紹介します。

腹筋の収縮とその結果増加する腹腔内圧(Intra-Abdominal Pressure:以下IAP)が、持ち上げる動作の途中に椎間関節にストレスを与える可能性があります。

これは、腹横筋(Transversus Abdominis:以下TrA)腱膜による外側牽引力が、垂直面での胸腰筋膜の縦方向の拡大に抵抗し、それにより腰椎への大きな伸展力を与えるという推測に基づいています。

腹筋群の収縮、および結果として生じるIAPの増加は、胸腰筋膜への付着を通じて作用することにより、腰椎の姿勢安定性に影響を与える可能性があります。

つまり、腰椎棘突起を頭尾側方向、胸腰筋膜中葉を内外側方向に緊張させることにより、胸腰筋膜後葉に十分な安定性を示しています。

姿勢・動作と腹腔内圧

IAPの増加により、屈曲に対する大きな抵抗力が観察されました。

また、バルーンを60-120mmHgで膨らませると、側屈への大きな抵抗力が産生されることが分かっています。

IAPの増加に伴って胸腰筋膜中葉が内外側方向に張力がかかった時、横突起間に出現する圧縮力を示すために、横突起先端にある胸腰筋膜中葉の付着を利用しました。

Teshら(1987)は、胸腰筋膜中葉が腰椎側屈最終域で約40%支持すると結論づけました。
Hodgesら(2003)は、TrAの電気刺激収縮により胸腰筋膜中葉全体に張力が生じ、L3/4レベルにおいて屈曲に対する抵抗が増加することが報告されました。

抵抗力(制限力)は、筋膜鞘の起立筋に影響を与えるTrA腱膜を通る中程度の力であり、腰椎屈曲を制限します。

しかし、TrA腱膜に直接張力を加えた屍体研究(Barker et al. 2007)では、in-vivo研究と比較してTrA-MLF(腹横筋-胸腰筋膜中葉)複合体の牽引力に抵抗するため、脊柱起立筋をPRS内で緊張させることはできない結果となりました。

そのため、現在はPRS内の通常の区画内の圧力に直面して、TrAに加えられる張力が胸腰筋膜の中葉と後葉の間でどのように分割されるかを最終的に判断することは困難です。

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腹横筋と腹腔内圧の関係

解剖学的構造と機能に基づいて、TrAは腰椎の安定性に影響を与える可能性が最も高いです。

・Respiratory movement(呼吸運動)

・Postural stability(姿勢安定性)

TrAの収縮は、腹囲を減少させIAPを増加させます。

すべての腹部筋群は、屈曲中に活動します。
しかし、TrAのみ、伸展中にも活動が続きます。

腹部筋群のうち、TrAのみ水平方向に配置されているため、大きな体幹のトルクを生成することができません。
そのため、TrAは姿勢安定性に貢献していることがわかります。

急速な四肢の運動中は、健常者のTrA活動の開始は他の全ての胴体の筋よりも先行し、TrA活動は四肢の運動の方向とは無関係と考えられています。

TrAはIAPの上昇を引き起こし、トルクを生成する筋が収縮する前に腰椎安定性を高めるのに速く、十分な大きさであることが実証されています。

TrAの応答は、影響を与える力の大きさと速度に関連します。
小さな動きやゆっくりとした動きではTrAが関与しません。

身体の運動方向に関係なく、姿勢要求の増加はTrAを活性化し、筋活動を増加させました。
TrAは、脊柱起立筋のようなトルクを生成する筋収縮の前に胴体準備戦略を事前準備し、脊椎の安定性におけるTrAの主要な役割を果たします。

腰痛と腹横筋

腰痛患者では、TrAの活動遅延が見られます。
これによってさらに、動作において腰椎安定化機構に不具合が生じてしまい、腰椎安定化筋の一部分に負担が過剰に加わったり、あるいは他の腹筋群の収縮により胸郭・骨盤の動きがコントロールできなくなってしまうため、腰痛を引き起こすことが考えられます。
そして、腰痛があることでさらにTrAの活動を遅延させてしまう、”負のサイクル・悪循環”を生み出してしまいます。

TrAと他の腹部筋群の収縮は、姿勢の恒常性においてどのように機能するでしょうか…?

それは、活動的な筋は力を縦方向だけでなく外側にも伝達し、生成される力の大きさと方向に応じて関連する結合組織を変形させます。
筋力の伝達は、筋線維から腱への連続的なプロセスに限ってだけでなく、伝達される外側構成体が周囲の結合組織の接続を介して発生します。
※TrA腱膜が切断された場合でも、TrA収縮中に外側構成体へ伝達します。

TrAは、体幹回旋中に非対称性に収縮しますが、両方の回旋で活動します。
回旋への筋の寄与は、反対側の外腹斜筋と同側の内腹斜筋は、トルクに最も寄与します。
TrAがバランス保持のため、腰椎を安定させるのに重要な役割を果たします。

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参考文献

The thoracolumbar fascia:anatomy, function, and clinical considerations:F.H. Willard, A. Vleeming, M.D. Schuenke, L. Danneels, R. Schleip: Journal of Anatomy, 2012

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