これだけは知っておきたい!内臓からの関連痛のまとめ

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内臓からの関連痛を知ることは重要

頸部や体幹の症状を有する患者における課題の1つは、症状の原因を特定することにあります。

理学療法士としての役割は、機械的な筋骨格系の機能不全を保存的に治療することにありますが、症状の原因となる病理学的条件を除外することは、理学療法評価の主要な目的の1つであると感じています。

多くの整形外科クリニックにおいては医師の診断でこれらのスクリーニング評価が行われますが、自費でのサービスを提供している場合、適切な医学的検査を受けるために医師を紹介することが必要となります。

機械的な筋骨格系機能不全は、外傷または異常な姿勢のいずれかに起因する、骨格・関節・筋筋膜構造の機能不全と定義されます。
患者・クライアントの症状が”機械的な筋骨格系機能不全によって引き起こされたもの”なのか、それとも”病理学的な原因によるもの”なのかを判断することは非常に困難です。

椎間板疾患や重篤な疾患に関連する一般的な症状や徴候を知っておくことは、適切な治療が遅れることを防ぐことができると考えられます。

内臓からの関連痛をご紹介する今回のシリーズでは、①内臓からの関連痛の概要、②機械的な筋骨格系機能不全と病理学的病変の鑑別に役立つ一般的な評価方法のご紹介、③消化器系と泌尿器系の特定の内臓疾患の一般的な症状と徴候を、参考文献をもとにまとめたものをご紹介していきます。

目的

  1. 内臓からの関連痛
  2. 機械的な筋骨格系機能不全と病理学的病変の鑑別評価
  3. 消化器系・泌尿器系の疾患の一般的な症状と徴候

内臓性の痛みのメカニズム

内臓からの関連痛は、関与する内臓内で経験する痛みと定義されています。

内臓器官は侵害受容器が刺激されることで、身体の痛みの症状を引き起こす原因となる可能性があります。侵害受容器のうち自由神経終末は、内臓の疎性結合組織に見られます。また、内臓周囲の局所血管壁にも存在します。

他の身体構造に見られる侵害受容体と同様に、適切な化学的または機械的刺激は、これらの受容体を活性化させます。受容体が活性化されると、神経情報は自律神経系の交感神経および副交感神経内に収容された、細い無髄神経のC線維に沿って伝達されます。C線維に沿った神経情報の伝達は、”深部痛”や”局在化しにくい痛み”を知覚するため、多くの患者が訴える症状になります。

内臓からの関連痛をもたらす化学的および機械的刺激は、外部からの刺激ではなく内臓内で生じた事象の結果になります。侵害受容器の化学的刺激は、内臓の虚血状態において二次的なブラジキニンやタンパク質分解酵素などの代謝最終生成物の蓄積に起因する場合があります。内臓の平滑筋壁の長期的なスパズム、あるいは内臓の長期的な膨張・膨満は、構造物の微小血管ネットワークの崩壊のために虚血状態を発症させることがあります。さらに、他の潜在的に有害な物質が無防備な組織と接触し、その結果、局所侵害受容器を刺激する可能性があります。

例としては、酸性の胃液が胃潰瘍または十二指腸潰瘍から腹膜腔内に漏出し、激しい腹痛を引き起こす可能性があることです。また、内臓器の異常な膨満は、内臓痛を引き起こしてしまう機械的刺激となる可能性があります。腎結石・尿路結石や感染症や炎症に伴う浮腫などの局所的な機械的閉塞が、このような問題が生じることがあります。

内臓の平滑筋壁のスパズムは、侵害受容器を機械的に活性化するのに十分な刺激となるかもしれません。

内臓の侵害受容器を活性化するこれらの事象それぞれ、またはこれらの事象の組み合わせは、局所的なまたは真の内臓痛の知覚をもたらす可能性があります。

患者が主観的検査の間に局所的な腹部症状を識別した場合、セラピストはこれらの症状の動作に関する具体的な質問を続ける必要があります。症状が運動または姿勢の変化に伴って変化しない場合、または内臓系の機能に関連して変化する場合、セラピストは症状の原因について内臓の問題を疑う必要があります。

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内臓からの関連痛

関連痛は、組織損傷部位ではなく、求心性ニューロンや遠心性ニューロンが痛みの知覚の生理学的プロセスに関与していない組織で経験する痛みと定義されています。

したがって、皮質の感覚情報の解釈の誤解は、病変部位から離れた場所での痛みを知覚することになります。

Cyriaxは、このような誤解釈を引き起こす可能性のある感覚皮質の条件付け過程を記述しています。皮膚は身体の外部環境と接触しているため、外傷や局所侵害受容器の刺激に対して、深い内臓構造よりも敏感に反応します。長年にわたり、特定の皮質細胞は、皮膚の特定領域からの侵害受容活動によって繰り返し刺激されます。内臓の侵害受容器が機械的または化学的に刺激されると、これらの同じ感覚皮質細胞は過去の経験に基づいて、この感覚入力の起源を解釈して刺激されることがあります。したがって、痛みは、過去にこれらの皮質細胞を繰り返し刺激した皮膚の領域から生じると知覚されます。

関連痛は、内臓器官から感覚情報を受け取る脊髄分節の皮膚分節内にあるかもしれません。

以下の表は、内臓の分節神経支配とそれらの潜在的な関連痛の部位をまとめています!

体幹や頸部における内臓からの関連痛は、多くの臨床的混乱を引き起こす可能性があります。

上記の表を参考にしていただき、様々な内臓構造からの一般的な関連パターンに注意する必要があります。症状の場所は、どの臓器系をスクリーニングするかを決定する際にセラピストの指針となります。

まとめ

今回、参考文献にさせていただいた論文は1990年代の少し古めのものでしたが、非常に参考になる内容でした。

これまで普段の臨床において、頸部痛・腰部痛においてはメカニカルストレスを考慮しながら評価をしていましたが、相手の内科系疾患の背景について考慮する機会はほとんどありませんでした。むしろ、どのように考えたら良いかを知りませんでした。

”内臓からの関連痛”という言葉を知っていたものの、どの臓器がどのような症状を引き起こすのかを知らないと考えようもありません。この論文に出会ったおかげで、それを評価の一部で考慮するきっかけができました。

言わないだけで、実は内科系疾患を有しているという方は意外と多い印象を受けます。それは、整形外科疾患に関係がないと決めつけていることが要因と考えられます。

病態の問題に気づかずに、腰痛や骨盤帯痛・頸部痛・背部痛の症状が悪化してしまい、検査した頃には既に進行していたということにはならないように気をつけていかなければなりません。私が知っている直近の症例としては、激しい腰部・骨盤帯の痛みの原因が尿路結石であったというケースもありました。

『もしかしたら内科系疾患が関係しているかもしれない』というリスクを考慮することは非常に大切だと感じていますので、この記事が皆様の参考になれば幸いです。

こちらの記事では、内臓の関連痛対する問診・触診の評価ポイントについてご紹介していますので、ぜひ併せてご参照ください!

こちらの記事では、骨盤内疾患に関する関連痛と症状をまとめています!

こちらの記事では、後腹膜領域(腎臓・前立腺)と消化器系疾患の関連痛と症状をまとめています!

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参考文献

Pathological Origins of Trunk and Neck Pain: PartI Pelvic and Abdominal Visceral Disorders:WILLIAM G. BOISSONNAULT, CHARLES BASS, JOSPT, 1990

コメント

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