産前・産後における骨盤帯痛の原因・評価・介入方法まとめ

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産前・産後における骨盤帯痛

骨盤帯痛は、妊娠に関連して頻繁に発生する症状です。
妊婦の約25%と出生後5%の方々は、専門家の介入を求めるほどの腰部・骨盤帯の問題を抱えています。

また、多くの女性は出産後に回復しますが、約1/3の方は産後3ヶ月間症状が続き、約8.5%の女性は2年後も症状が持続しているという研究もあります。

そこで今回の記事では、骨盤帯痛において考えられる原因・診断・介入方法についてまとめていきます。

要因

骨盤帯痛の考えられる要因は、リラキシンというホルモンの影響や、仙腸関節周辺の靭帯構造へのストレス、不十分な運動制御、体重増加などが関係しています。

要因

  • ホルモン性
  • 靭帯構造へのストレス
  • モーターコントロールの機能不全

リラキシンホルモン

リラキシンホルモンは、靭帯の緩みを誘発することで仙腸関節の不安定性を引き起こす可能性があります。

リラキシンホルモンのレベルの高さと妊婦の骨盤帯痛の重症度との間において、相関関係が認められている研究もありますがそうでない研究もあります。

あくまでも可能性の話なので、全ての妊婦に当てはまることではないと考えられます。

靭帯構造へのストレス

妊娠中および分娩後における仙腸関節の可動性は、健康な対照群よりも骨盤帯痛のある患者で増加すると考えられています。

仙腸関節・骨盤帯のイラスト

ただし、仙腸関節の可動性の増加程度には個人差がありますので、診断基準として使用することはできないことは念頭に置かれた方が良いでしょう。

仙腸関節の可動性の増加ではなく、仙腸関節の可動性の左右差と骨盤帯痛との関連性に着目して考えた方が良いのではないでしょうか。

仙腸関節の可動性の非対称性または増加は、モーターコントロール機能にも大きな影響を及ぼすと考えられます。

モーターコントロール

モーターコントロール(運動制御)は、筋と関節の適切な位置関係と運動認知・知覚が含まれる、個人因子・課題・環境の間の相互作用として定義されています。

立位における股関節屈曲動作において、仙腸関節の機能不全のある方では、寛骨の前方回転が見られます。この時、仙腸関節のカウンターニューテーションが生じていますので、仙腸関節を安定させることができない可能性があります。

骨盤帯痛に伴い、腰部および骨盤帯周囲筋の活動増加と抑制にも影響を与えます。つまり、筋の発火頻度・タイミングなど筋活動パターンに問題が生じている可能性があります。

そのほかには、”繰り返しの動き”や”急速な制御されていない動き”・”曲げる・捻る動作”・”体重負荷”にも影響を受ける可能性があります。

体重増加

腹部に重さが集中するため、腰椎の弯曲増減・重心位置の変化・骨盤前後傾の変化などが生じる可能性があります。

これは、仙腸関節をより不安定な状況にしてしまう可能性もあります。

また、出産により或る日突然からだの重さが変わってしまうので、妊娠前のからだの感覚とは完全に異なった状況へと晒されます。

もし出産前の姿勢・動作をからだが学習し、そこから抜け出せないでいると、腰部・骨盤帯痛を引き起こす可能性が高くなってしまうでしょう。

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評価・診断

評価は、痛みの生じる姿勢・動作などを把握し、スペシャルテスト(整形外科的テスト・疼痛誘発テスト)で現在の状態を確認することが必要です。

骨盤帯の評価をする男性セラピスト

骨盤帯痛のある方は、歩行、床から持ち上げる動作、階段昇降、仰向けに寝る、ベッドに入る、寝返り、家事、運動、仕事などの様々な日常生活に問題が生じます。
特徴としては、片脚立位に問題が生じてしまい、歩行困難であるケースです。骨盤周りを押さえながらでないと歩けない状態の方は、仙腸関節の問題を視野に入れて考えて良いのではないでしょうか。

骨盤帯痛を診断するためのゴールドスタンダードはありません。
スペシャルテストの多くは、信頼性と妥当性が低くなっています。そのため、評価・診断は1つのテストだけに基づくのではなく、複数のテストに基づく必要があります。

こちらの記事では、Lasletによる仙腸関節の臨床的診断方法をまとめていますので、ぜひ併せてご参照ください。

ASLR(Active Straight Leg Raise)による評価も大切です。
上記のLasletによる臨床的診断方法では、仙腸関節に対するストレステストになります。他動的・受動的な評価ですので、その方がどのようにからだをコントロールしているのかまでは分かりません。

そのため、ASLRではモーターコントロールの部分も含まれていることから、非常に重要になります。
いわゆる”core”の安定性が機能していない場合、下肢挙上は困難なものとなります。検者が腹部を押さえたり、被験者が上肢に力を入れることで動作を遂行できるかもしれません。この場合、”core”の機能不全があると考えて良いでしょう。

介入方法

まず最初に、”骨盤ベルト”を必ず使用しなければいけないことはありません。
骨盤ベルトにより痛みが緩和し、楽に日常生活を行える方もいれば、逆効果になってしまう方もいます。

それは、筋活動の問題が関係しているからです。
”core”の安定性を保てない場合、骨盤ベルトをすることで楽になります。

逆に、常に交感神経が活動し、筋緊張・筋活動が高くなってしまっている方もいます。その場合、骨盤ベルトをすることで仙腸関節に加わる圧迫ストレスが増大して痛みが生じてしまうことが考えられます。この時は、徒手的な介入・リラクセーションをメインで行うことがオススメされます。

上記の”骨盤ベルト”使用有無に関しては、Distraction TestやCompression Testを行うことで事前にある程度の状態を把握できますので、やはり評価を行うことは重要だと考えられます。

骨盤帯の安定化が必要な方に関しては、運動していただくことが何よりも必要です。
テンプレート化された運動ではなく、その方にあった姿勢で動いていただくことが何よりも大切なのではないでしょうか。
呼吸を意識することや、筋が活性化される感覚を確認してもらうことも重要でしょう。

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まとめ

新しい命が誕生し非常に喜ばしいことであるのに、”生活の質”(QOL:Quality of Life)が低下してしまうことはなんとか阻止したいものです。

出産前からのトレーニングも重要になるので、その状況下にある方はぜひ出産後に快適に過ごしていただけるよう介入していきたいですね。

出産後の継続的なトレーニングは、長期的に見たときにからだにとってはプラスになることばかりなので、運動を習慣化してもらうことが専門家としての目標なのではないでしょうか。

参考文献

  1. Vleeming A, Albert HB, Ostgaard HC et al. European guidelines for the diagnosis and treatment of pelvic girdle pain. Eur Spine J 2008; 17: 794 – 819
  2. Björklund K, Bergström S. Is pelvic pain in pregnancy a welfare complaint? Acta Obstet Gynecol Scand 2000; 79: 24 – 30.
  3. Albert H, Godskesen M, Westergaard JG et al. Circulating levels of relaxin are normal in pregnant women with pelvic pain. Eur J Obstet Gynecol Reprod Biol 1997; 74: 19 – 22.
  4. Beales DJ, O’Sullivan PB, Briffa NK. Motor control patterns during an active straight leg raise in chronic pelvic girdle pain subjects. Spine (Phila Pa 1976) 2009; 34: 861 – 70.
  5. O’Sullivan PB, Beales DJ. Diagnosis and classification of pelvic girdle pain disorders – Part 1: a mechanism based approach within a biopsychosocial framework. Man Ther 2007; 12: 86 – 97.

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