個別の筋力や関節可動域だけではなく動作に対して介入した方が良い理由

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動作に対して介入する理由

関節や筋の可動性・安定性を改善させようとする際に、ある特定の”筋力”や”関節の可動性”に対して介入することがあると思います。

もちろん、『個別の部位に動けないのに全体で動けるわけがない』という考えは間違いではありませんが、それだけでは不十分であるということは認識しておいた方が良いかもしれません。

この記事を見て「そんなの当たり前でしょ!」くらいの意見をお持ちの方は、「なぜそう考えるのか?」をぜひ共有していただきたく思います。

私個人として動作は、”動作としてプログラム”していくことで、運動能力を発揮することが可能であると考えています。

では、なぜそうなのかを解説していきます。

ハードウェアとソフトウェア

突然話が変わりますが、皆様はスマートフォンやパソコンにほぼ毎日触れていると思います。
そのスマートフォンやパソコンは、ハードウェアとソフトウェアを有することで機能しています。

ハードウェアとは、パソコンでいうとモニター画面やキーボード、トラッグパッド、電源ボタン、USBポートなどがあります。ソフトウェアとは、そのパソコンを動かすためのアプリケーションです。
例えば、WordやPower Point、Excel、インターネット(Chrome・Safari・Fireboxなど)、メール、最近ではZoomなど、様々なアプリケーションが存在しています。

このソフトウェアがなければ、モニター画面やキーボードが備わっていたとしてもパソコンとしては機能していません。何か目的を達成するために、その用途に適した機能が備わっています。
逆に言えば、モニター画面やキーボードがないと、それはそれで困ってしまいます。USBポートが故障し、接続しているマウスが反応しなければ、作業効率が低下してしまうこともありますよね。

身体のことに話を戻しますと、これも身体に当てはまるのではないでしょうか。
ハードウェアに当たるのが骨や関節・靭帯・筋肉・血管・脳・神経・内臓などで、ソフトウェアに当たるのが思考・記憶や運動プログラムになります。

我々の身体に”A”というボタンがあり、それを押すことで”ア”と発しているわけではないので、パソコンほど単純ではありません。
何か言葉で伝えたいことがあり、それを考え文章にし、唇の形を変えて、声帯・呼吸・腹圧…様々なことを踏まえて、”ア”と発しているわけです。

つまり、何を言いたいかというと『1つ1つの部位にこだわって介入したとしても、それは全体から見たら一部分にすぎないので、全体をプログラムするように介入することも必要である』ということです。

特に誘引なく身体のどこかに痛みが生じている場合、どこかの関節が硬くなっている、筋力が低下しているということに答えを持っていきがちですが、これはハードウェアに対しての介入です。
ハードウェアを修理してもソフトウェアが適切に機能していなければ、効果は一時的なものであり、いずれ同じような症状を繰り返してしまうことに繋がりかねません。

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手術や既往歴の有無は必ず確認する

題名通り、『手術や既往歴の有無は必ず確認する』必要があります。

それは、先ほどのハードウェアの問題だからです。

弾性包帯を巻いてもらう女性の足

関節の変形や手術後などの既往歴の存在は、関節因性筋抑制(Arthogenic Muscle Inhibition:AMI)を引き起こしている可能性があります。
※AMIとは、”関節を起因とする筋の抑制”であり、力を入れようとしても神経系の抑制により力が入らない状態のことです。

これによって、筋萎縮が生じてしまい、様々問題を引き起こすリスクが高くなります。
長期化するほど運動プログラムが変化し、『力の入れやすいところを使い、抑制される部分は使わない』状態となります。

この場合は筋単独の問題ではないため、関節の可動性を改善し固有筋を活性化した上で、個人に適した動作練習を行い、『力の入れやすいところを抑制し、全体的にバランスよく身体を動かす』方へシフトしていく必要があります。

最後の部分はかなり抽象的ですが、これくらいのニュアンスの方が伝わりやすいのではないでしょうか!

まとめ

今回は、動作としてのプログラムが必要である理由を解説しましたが、どこまでいけばゴールなのかはヒトそれぞれです。

『介入により一時的に痛みが軽減しても、後日痛みが再燃して戻ってくる』、『同じ部位の怪我を繰り返す』といった場合は、これまで書いてきた内容が当てはまる可能性が大いにあります。

”腹斜筋・腹横筋が働いていない”・”内側広筋が機能していない”・”臀筋が収縮しない”ことが評価から得られたとしても、それだけが問題ではありません。更に言えば、”その筋が単独で収縮する場面など、日常生活では起こり得ない” のが実際のところです。

今回の記事を通して、『動作として、個人に適した運動を学習し定着させる必要性』が少しでも皆様に伝われば幸いです。

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