頸部・胸郭の回旋・側屈の評価と解釈方法

頸部と胸郭の側屈・回旋動作における関係性のトップ画像 評価方法
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頸部と胸郭の関係性

頸部は胸郭の上に乗るような状態で位置しており、アライメントや動作においては胸郭に依存している部分があると考えております。

頸部伸展時に後頸部領域に痛みを訴える場合、胸椎の連動が不足しているために痛みを生じさせる可能性があります。評価では、胸椎を伸展させることで頸部の痛みをが緩和されるかを確認することもでき、そのような症状を有している方は比較的多いように感じます。

胸郭・頸部の骨模型

上記の例の延長で考えますが、肩甲帯を把持して挙上や後傾・内転・外旋などの動きを誘導し、それを組み合わせることでも疼痛が減少する場合もあります。

ただし、肩甲帯の状態はは肋骨の状態に依存すると考えられ、肋骨は呼吸や胸椎の状態に依存すると考えられます。呼吸は生きる上で絶え間なく行われる必須の運動になりますので、それに影響される肋骨・胸椎によって身体にはあらゆる機能不全が生じると考えられます。

その他にも、腰椎や骨盤帯が関連することもありますが、長くなってしまうので別の機会にまとめたいと考えております。

頸部痛症状の方へ介入する時いきなり頸部にいくのではなく、胸郭の機能不全も考慮していく必要があります。その理由と必要性、そして『頸部と胸郭の関係性』を今回の記事では解説していきます。

胸郭の動きを評価して頸部の状態を推測する

胸郭のアライメントや動きを評価することで、頸部の状態をある程度推測することが必要であると考えています。

必ずしも下記のようになるとは限りません。あくまでも推測の話ですが、このように仮説を展開しておくことで、評価結果が得られた時にスムーズに処理することができるのではないでしょうか。

胸郭と頸部の回旋における相互関係

座位姿勢において胸郭が左回旋位に定位しているとすると、胸郭左回旋の可動性は制限され右回旋の可動性は大きくなる可能性があります。さらに、頸部は代償的に右回旋に定位している可能性がありますので、右回旋の可動性は制限され、左回旋の可動性は大きくなる可能性があります。

頸部回旋の可動性に大きな差がない、痛みなどの症状がない場合は、上位胸郭・下位胸郭でそれぞれ代償・補完している可能性があります。下位胸郭は左回旋していたとしても、上位胸郭で右回旋させることで、頸部での代償をしないということになります。

この上位胸郭での代償が大きすぎるあまり、頸部でさらに代償するようなことも考えられます。上位胸郭が過剰に右回旋してしまうことで、頸部を左回旋させて代償することになります。この場合、頸部左回旋は制限され、右回旋の方が動きやすいということになるかもしれません。

胸郭側屈代償の考慮ポイント

ただし、上記の動きを評価する際に、背部の筋緊張や”動きやすいor動かない部分”も確認した方が良いでしょう。

例えば、胸郭左回旋に定位していても、右側の脊柱起立筋などの筋群が緊張している場合、胸郭が右側に側屈しているかもしれません。この場合、右の胸椎椎間関節は接近しているため胸郭右回旋の可動性が制限されてしまいます。すると、胸郭左回旋の方が大きく出てしまうことになるでしょう。

胸郭が右側屈している場合、頸部は左側屈で代償する可能性もあります。このような場合、左の頸椎椎間関節は接近しているため、頸部左回旋は制限されるかもしれません。

動きの量だけを評価していると、このような代償に気づけない可能性があります。動きの質の部分にも着目しておくと良いでしょう。

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頸部の動きを確認して頸部固有の問題を確認する

上記を踏まえた上で、頸部の動きを確認していきます。

上記の推測のように頸部可動性の制限が確認される場合、頸部の状態は胸郭に依存している可能性がありますので、まずは胸郭に介入してから再度頸部の評価を行うと良いでしょう。

また、推測と違った場合は頸部固有の機能不全があるかもしれません。自動・他動の回旋や側屈運動で評価していき、制限のある部分も確認していきます。

側屈は下位頸椎(C2〜C7)の均等な滑り運動が達成されていれば良いでしょう。

回旋は上位頸椎のC1/2と下位頸椎(C2〜C7)で動きの量が半分ずつであるため、それぞれ確認していく必要があります。

胸郭が右側屈している場合、頸部は左側屈で代償して頸部左回旋が制限される可能性がありますが、右肩甲帯が下制・外転してしまうため右後頸部の筋群が伸張され緊張が高くなることで頸部右回旋でのつまり感を引き起こす可能性があります。また、軟部組織の問題はなく下位頸椎の可動性に問題はなくてもC1/2の右回旋に問題が生じている可能性もあります。

頸椎椎間関節の評価方法に関しては、こちらの記事をご参照ください。

このように頸部の機能不全があった場合でも、まずは胸郭からの介入をしていくべきではないかと考えます。介入した上で頸部の問題が残存している場合に頸部のモビライゼーションを行う方がリスクを抑えることができ、治療効果は少しでも長くなると考えます。

胸郭の問題を残したまま頸部だけを改善しても、これまでと変わらないの姿勢・動きや呼吸を行えば頸部の機能不全は作り出されてしまい、介入した時間と費用を無駄にしてしまう可能性があります。もっと言えば、胸郭のみならず腰椎・骨盤帯も確認した方が良いでしょう。

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