外側大腿皮神経の絞扼性障害と椎間関節性腰痛の症例

介入方法
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症例

今回は、外側大腿皮神経領域の感覚鈍麻と腰部痛の症例をご紹介していきます。

個人が特定される内容は控えさせていただきますので、症状とその介入による結果のみの掲載となります。

症状をまとめていきます。

症状

  • 太ももの前外側の違和感・気持ちが悪い感じ
  • 起床時の腰痛
  • 起立動作時の腰痛

本症例の主訴は、左大腿前面外側の感覚鈍麻と、起床時・座位保持後の腰部痛です。

左大腿前面外側の感覚は、「皮膚の上に皮が2〜3枚被さっているような感じ」でした。

評価

仕事はデスクワークで、日中は座っていることが多く、運動習慣もほとんどない方です。

腰部痛のメインは、起立動作時と前屈時の痛みです。立位での伸展・左回旋ではやや痛みが生じました。
痛みの質は鈍痛というよりも、やや鋭い痛みでした。この2つの動作では、痛みの質感は似ているという状態でした。
前屈では、股関節屈曲よりも腰椎屈曲の割合が大きく、重心の後方への移動はみられませんでした。

左大腿前面外側の感覚鈍麻は、特に症状の増減はなく、常に違和感・気持ちが悪いという症状で、右の3〜4/10程度の感覚しかない状態でした。

腰部起立筋や腰方形筋には圧痛はありませんが、腰椎Facet Springing TestではL2/3/4で痛みが再現されました。腰椎Facet Rotation Testでは痛みは生じませんでした。

股関節は全方向(特に屈曲)、胸郭の伸展・回旋のmobility制限が大きく、全身的に”硬い”印象を感じました。ただ、胸郭のmobilityは左の方がmobility制限が強く生じていました。

その他、Slump TestやStraight Leg Raise Test、Femoral Nerve Stretch Testは陰性でした。
外側大腿皮神経領域の問題なので、ASISより約2横指下・1横指内側の鼠蹊部を圧迫したところ、異常感覚が増悪し耐えられないほどの症状になりました。また、片膝立ちでの大腰筋ストレッチングを行おうとしても、同様に症状が増悪しました。

まとめ

  • L2/3/4椎間関節性の腰痛
  • 鼠蹊部での外側大腿皮神経の絞扼性障害
  • 股関節屈曲のmobility制限
  • 左胸郭伸展・回旋のmobility制限

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考察

腰部へのストレステストでは大腿前面外側の感覚鈍麻が増悪されず腰痛が引き起こされたことや、鼠蹊部の圧迫・大腰筋の伸張による異常感覚の増悪したことから、左大腿前面外側の神経症状は腰椎神経根症状ではなく、鼠蹊部での外側大腿皮神経の絞扼性障害と考えられます。

また、立位前後屈や左回旋で腰痛が生じたり、腰椎Facet Springing TestにおいてL2/3/4で腰痛が再現されたことから、椎間関節性の腰痛が考えられます。

外側大腿皮神経はL2・3脊髄神経より発しており、椎間関節の問題が生じている領域としてはほぼ合致しています。
症状の原因としては絞扼性障害が主ですが、椎間関節性の問題が起因となっている可能性もあります。

外側大腿皮神経の走行は、大腰筋外側縁から出現し腸骨稜に沿って伴走、ASISに向かって腸骨筋を斜めに横断した後に、鼠径靭帯の下を通過しています。
股関節伸展による異常感覚の増悪は、大腰筋・腸骨筋の伸張により外側大腿皮神経へストレスが生じている可能性もあります。

股関節屈曲のmobility制限が強かったのも、臀筋群・ハムストリングが影響していることが大きいと考えられました。これは、大腿骨頭の前方変位を引き起こす可能性があり、鼠蹊部へのストレスを増やしてしまいます。
また、胸郭左回旋のmobility制限により、腰椎の回旋で代償するため椎間関節へのストレスは増大します。これを安定させるために、腰部周囲の筋・筋膜性の問題が生じている可能性もあります。

考察まとめ

慢性的な不活動・長時間の座位による臀筋群の圧迫

股関節・胸郭のmobility制限

腰椎の過剰な可動

L2〜4椎間関節性の疼痛

外側大腿皮神経の感作

外側大腿皮神経の絞扼性障害

長時間の座位保持による鼠蹊部の圧迫

介入

上記の考察から、まずは腰椎椎間関節の問題・鼠蹊部周囲の問題を改善し症状を緩和させること、この2つの部位に負担をかけないよう股関節・胸郭のmobilityを向上させていくこと介入のポイントとなります。

腰椎椎間関節にはGlade1〜2のTraction(牽引)を加えることで症状は緩和させることができました。その上で臀筋群・胸郭のストレッチングをしていくことで、腰痛はほぼ感じないレベルにまで症状が改善されました。
これには1回の介入で効果がみられたため、ストレッチングは継続してもらうことで良い状態を維持することができました。

異常感覚の部位は、鼠蹊部周囲筋・臀筋群の軟部組織モビライゼーションをしても大きくは変化しませんでした。腸腰筋のストレッチングでは症状が増悪してしまうので、今回の症例においては当面禁忌でした。
筋筋膜性の問題の可能性も考え、大腿前面・下腿前面の筋筋膜へアプローチを試みるも大きな変化は生じませんでした。

どのようなアプローチをしてもその場で大きくは変化しませんでした。
その中でも、大腿四頭筋(特に大腿直筋)のストレッチングは若干症状が落ち着くようでしたので、それをセルフエクササイズとして行っていただき、約1ヶ月半経過した頃には、ほぼ違和感を感じないという状態にまで改善されました。

セルフストレッチング

  • 臀筋群のストレッチング
  • 胸郭回旋のストレッチング
  • 大腿四頭筋のストレッチング

症状が軽減してきた頃から、腰椎の安定化、および骨盤帯をコントロールする練習を行っていきました。

先に腰椎を安定化させても良いのですが、この順番の理由としては、身体の中で動かせる場所・動かせる範囲が改善されないと腰椎で代償する可能性が高いと考えたからです。

内容としては、胸郭・股関節を動かす際に腰椎の動きが先導しないように、四つ這いや片膝立ち・立位の肢位でモーターコントロールエクササイズを行いました。
特に、起立動作時の腰椎後弯・骨盤後傾肢位から抜け出せない状態でしたので、骨盤前傾へのエクササイズをメインとして行っていました。

この時行った動作としてはHip Hinge(ヒップヒンジ)で、種目としての名前はDeadlift(デッドリフト)という練習になります。
起立動作や前かがみで腰痛が引き起こされる方には有効なエクササイズ・トレーニングになりますので、ぜひ皆様も臨床で使っていただけると良いのではないでしょうか。

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まとめ

今回は、外側大腿皮神経の絞扼性障害による大腿前面外側の異常感覚を有する腰部痛の症例でした。

臨床的にはそう多くないマイナーな症例でしたので、ぜひ皆様と共有したいと思いまとめてみました。

絞扼性神経障害は、その場で劇的に変化させることができず、徐々に良くなるような印象を受けます。
やはり、慢性的な筋骨格系へのストレスが起因となっていることが多いため、日常的な姿勢や動作が変わらないと良くなっていかないと考えられますね。

この症例の場合だと、前屈・起立動作時には骨盤前傾・股関節屈曲の動きよりも、腰椎屈曲の動きが先行してしまいます。このような動きが日常的に繰り返されていれば、腰椎に加わるストレスが軽減しないので、症状も改善していかないのでしょう。

臨床として症状を改善させることは大事なことですが、私自身は日常生活で気をつけるべき点や、普段の姿勢や動き方というものに変化を与えられるようにしていきたいと考ています!

こちらの記事では、外側大腿皮神経の機能解剖学をまとめています。

こちらの記事では、知覚異常性大腿神経痛に関してまとめていますので、ぜひ併せてご参照ください!

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