腓腹筋の機能解剖:外側頭と内側頭だけではない?

専門家向け記事
Pocket

スポンサードサーチ

腓腹筋

腓腹筋は下腿後面区画のふくらはぎの筋肉であり、大腿骨外側顆・内側顆から起始して足底筋・ヒラメ筋とともに踵骨腱上に付着しています。

作用としては足関節底屈・内反、膝関節屈曲であり、歩行やランニング・ジャンプといった動作において機能しています。

腓腹筋の起始に関する情報は多くが内側・外側の2頭筋ですが、1つの頭や完全な欠如、隣接する筋肉からの異常な起始の存在は、以前の文献でも報告されているバリエーションになります。
その近位部は膝窩の下縁に寄与しているため、このバリエーションは膝窩の形状・境界&/or周囲の組織に影響を及ぼすことが考えられます。

つまり、歩行やしゃがみなどの動作における膝窩領域の臨床症状は、腓腹筋のバリエーションと関連している可能性があります。

膝裏・ふくらはぎが痛い女性の脚

そこで、今回の記事では、腓腹筋が内側頭・外側頭だけではない、3頭・4頭のバリエーションの存在をご紹介していきます!

筋腹のバリエーション

男性23名・女性7名の計30名の遺体を使用し60脚を解剖した結果、全ての献体で腓腹筋の存在が確認されましたが、頭のパターンは異なる結果となりました。

頭のパターンのそれぞれの割合は、1頭が0%、2頭が35%、3頭が13.3%、4頭が51.7%という結果でした。

1頭 2頭 3頭 4頭
0% 35% 13.3% 51.7%

多頭性腓腹筋は女性(28.5%)よりも男性(76.1%)の方が多く、二頭性腓腹筋は男性(23.9%)よりも女性(71.4%)の方が覆いという結果です。

少し脱線しますが、二頭性腓腹筋の被験者は足底筋が100%同時に発生し、多頭腓腹筋の被験者は90%同時発生しています。足底筋は、研究されたすべての症例の93.3%に存在していたという結果です。

この他の研究に関しても以下にまとめます。
まずは、二頭性腓腹筋です。

Arce (2008) 92.5%
Koplaset al. (2009) 98.1%
Shaliniet al. (2013) 80%

次に、三頭性腓腹筋です。

Bergman al. (1995) 2.9〜5.5%
Arce (2008) 7.5%
Koplaset al. (2009) 1.9%
Shaliniet al. (2013) 20%

四頭性腓腹筋に関しては、これまでに確認されていないといことでした。

スポンサードサーチ

腓腹筋の筋腹の分類

二頭性腓腹筋の各頭部は内側頭と外側頭、三頭性腓腹筋は内側頭・外側頭・中央頭に分類されます。

三頭性腓腹筋

  • 内側頭
  • 外側頭
  • 中央頭

四頭性腓腹筋の各頭部は内側頭・外側頭・中間内側頭・中間外側頭に分類されます。

四頭性腓腹筋

  • 内側頭
  • 外側頭
  • 中間内側頭
  • 中間外側頭

腓腹筋の内側頭と外側頭は、それぞれ大腿骨内側顆・外側顆に付着しています。外側頭は、線維性関節包に付着する例も確認されています。

三頭性腓腹筋の中央頭および四頭性腓腹筋の中間内側頭・中間外側頭は、膝窩表面や内側上顆線・外側上顆線、または膝後面のFasciaまたは関節包に付着しています。
最終的に全ての献体において、腓腹筋の線維と腹は、踵骨腱の下方に収束されています。

起始部において内側頭と外側頭は筋腱状ですが、中央頭および中間内側頭・中間外側頭は完全に筋状という特徴が確認されています。

神経・血管の絞扼が引き起こされる

膝窩は通常、菱形です。2つの中間頭(中間内側頭および中間外側頭)は膝窩の遠位境界を形成しており、外側頭・内側頭との狭い間を走行しています。

膝窩領域における異常な解剖学的関係は神経や血管を圧迫してしまい、絞扼性症候群を引き起こす可能性があります。

膝窩領域の絞扼性症候群の徴候と症状には、脚の腫れ、疼くような痛み、膝窩の圧痛などがあり、これは慢性的な神経圧迫の結果であると考えられています。ほとんどの場合、症状は動脈の閉塞性変化によって引き起こされ、静脈症状を伴う症例はめったに報告されていません。

スポンサードサーチ

まとめ

「腓腹筋は内側頭・外側頭の2つ!」という固定観念が崩れる内容ですね!
これを知ってからは、下腿三頭筋とは言えなくなりますね…

確かに膝窩領域の痛みを訴える方がいますが、この方々は膝窩領域が以上に腫れているケースがあります。医師の診断でベーカー嚢胞ではないと言われながらも、このような状態の方が過去にいました。
その時は特に要因が分からなかったので、腓腹筋のリラクセーションくらいしか介入できませんでしたが、その結果膝窩領域の腫れは軽減し症状は改善されました。

今考えれば、腓腹筋のバリエーションの影響、特に中間内側頭および中間外側頭の炎症症状であったのではないかと考えられますね。

徒手介入で筋間を狙う場合も、このような解剖学的バリエーションを考慮することが臨床上必要なのではと感じます!

参考文献

  1. James Olumide Ashaolu, Oluwatomisin Oni-orisan et al., The quadriceps gastrocnemius muscle, Surg Radiol Anat (2014) 36:1101–1103
  2. Ashaolu J.O., Oni-Orisan O.P, Ukwenya V.O.,, Alamu O, , Adeyemi D.O, VARIABILITY OF THE MORPHOLOGY OF GASTROCNEMIUS MUSCLE IN AN AFRICAN POPULATION, Anatomy Journal of Africa 2014, 3 (3): 400-404

コメント

  1. […] 腓腹筋の機能解剖:外側頭と内側頭だけではない?腓腹筋は下腿後面区画のふくらはぎの筋肉であり、作用としては足関節底屈・内反、膝関節屈曲です。多くの解剖学書籍では内側頭・ […]