足関節・足部機能不全由来の立位姿勢保持・後屈時の腰痛症例

足関節・足部機能不全の着目した立位保持の腰痛症例 介入方法
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症例

今回は、腰痛の症例をご紹介させていただきます。

個人が特定される内容は控えさせていただきますので、症状とその介入による結果のみの掲載となります。

症状が再現されるのは、主に3つの状態になります。

症状の再現

  1. 長時間の立位姿勢保持
  2. 前屈みでの労作業
  3. 後屈時痛

症状の範囲は、左腰部脊柱起立筋周辺、特に左腰腸肋筋にあります。
後屈時には腰痛と左足背・足底に痺れ症状が生じ、日常生活の中でも時々痺れが生じるという症例です。

立位での後屈時の動作は、腰椎での伸展が強く、股関節伸展は乏しい状態でした。
腹臥位での脊柱伸展では腰痛が生じ、胸椎の伸展には機能不全が生じていました。

股関節伸展においては、軟部組織による制限があります。
腰部筋緊張は増加しており、特に左側において過緊張状態でした。

胸郭への介入

まず、脊柱伸展機能不全を解決すべく、胸郭へアプローチしました。

いきなり胸椎へアプローチするよりも、まずは胸郭前面へのアプローチを行います。

これに関する理由は、こちらの記事でご紹介しているので参考にしてみてください。

前胸部のスティッフネス(Stiffness)に対して介入するのと、胸郭回旋のエクササイズを左右ともに行うことで、胸郭伸展の可動性を改善することを目的に行いました。

胸椎右回旋により右のFacetでは後方滑り、左のFacetでは前方滑りが生じるため、左右の回旋を組み合わせることで両方のFacet後方滑りを引き出すことができます。

ここまで行うことで、腹臥位での脊柱伸展での腰痛は寛解し、胸椎伸展の機能不全は残るものの可動性は微増といった状態でした。

立位では疼痛が再現されるままでしたので、次に股関節への介入を行いましいた。

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股関節への介入

股関節の伸展機能不全を改善するべく、まずは伸展可動性制限を引き起こす軟部組織へアプローチしました。

特に大腿直筋には短縮が生じていました。

殿筋群の過緊張に伴う内外旋の可動性制限もあったため、これらも改善する必要性があります。
それは、ある特定の方向への可動性制限が生じることで、その筋からの固有受容感覚・求心性フィードバクが阻害されることが考えられるためです。

これらを改善した上で、腰椎伸展を制動し股関節伸展を促すエクササイズを実施しました。
胸郭ではなく股関節へ運動の介入を行う理由は、動作上の股関節伸展機能不全の方が優先度合いが高いと判断したためです。

ここまで行うことで、立位後屈での腰痛が改善されましたが、足部の痺れは改善されませんでした。

このような介入方法を2-3回繰り返し介入を行いましたが、腰痛の改善は一時的で戻ってしまい、足部の痺れは残存したままという状態でした。

この段階で、本人は”痺れ”といっているものの、我々セラピストが考えている”痺れ”とは乖離があるのではないか?という考えにも至りました。
そのため、腰椎由来ではなく足部の問題による症状ではないかと疑いました。

足関節への介入

足部における問題点は、足関節背屈の可動性制限と前足部の機能不全でした。
左右での比較においては、特に左側での問題が強く生じていました。既往歴は特にありません。

足関節背屈の可動性制限は、下腿後面の筋性であると判断し、ストレッチングがメインとなりました。

前足部の機能不全は、足底の内在筋の収縮が適切に行えない状態で、特にMP関節での屈曲が行えない状態でした。
そのため、足趾の屈曲が強く槌指(ハンマートゥー)でした。

足底内在筋の収縮練習と、その状態を保持したままの立位荷重位における股関節の動作練習を行いました。

ここまで行うことで、腰痛・足部の痺れは改善されました。
おそらく足部の症状は、痺れではなく鋭い痛みだったのではないかと考えられます。

しかしなぜ、足部への介入により、腰痛と足部の症状が改善されたのかを考察していきます。

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Posterior Chain

まずは、Posterior Chain・背面の筋連結から考えてみます。

腓腹筋はハムストリング・仙結節靭帯・腰部起立筋群へと繋がる、Posterior Chainとして機能します。
アナトミートレインでも、Sperficial Back Lineと言われるラインが存在しています。

これらを考慮すると、足部の機能不全代償に伴って腓腹筋が過緊張状態に陥ってしまい、それがハムストリングに影響を与え殿筋群は抑制されるために股関節伸展機能不全を引き起こしたことが考えられます。

さらに、腰部起立筋群全体に影響を及ぼした結果、腰痛を感じ始めたと考えられます。

重心の移動から考える

次に、筋ではなく重心移動の観点から考えてみます。

後屈では重心の前方移動が伴う必要があります。
それは、股関節伸展動作を引き出す点においても必要です。

腓腹筋の過緊張は足関節底屈を促すため、足関節背屈方向へは制限され、そのために重心の前方移動が制限されてしまったとも考えられます。

また、前足部機能不全により、中・前足部での支持が困難であったとも考えられます。

これら足部・足関節の問題が改善されたことで、足部での荷重支持・重心のコントロールのバリエーションが広がったのではないかと考えられます。

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まとめ

今回は、腰痛症例の介入を検討する内容でした。

腰椎は、脊柱(特に胸郭)・股関節の影響を大きく受けると思いますが、ヒトは身体全体システムとして機能しているため、原因は意外とかけ離れたところに存在していることもあります。

今回の症例は既往歴がなく、誘引なく症状が発生したため、このように試行錯誤しながら介入を行いました。

また、他にも日常的に気になった症例に関しては、ご紹介していきたいと思っています!

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