頸椎の評価手順と統合・解釈方法

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頸部の評価手順

今回の記事では、頸部の評価手順と解釈方法に関してまとめていきます。

首や肩の痛み、背中の痛み、上肢の痺れを有する方に対して評価する際、どのように評価を進めていいか分からない評価はしたけどその先でどのようにしたら良いか分からないという方は参考になる記事かと思います。

頸椎の骨模型の写真

頸部の病態は、胸椎・肋骨・肩甲骨を含む胸郭の動き、呼吸の機能、姿勢の影響、心理社会的因子などが影響しています。

そのため、頸椎に問題があるのか、あるいはその他の問題の要素が大きいのか、まずは大きく区分していく必要があります。

頸椎の動きとしては、屈曲・伸展・回旋・側屈があり、それを複合した動きも行われます。
まずはグルっと一周回す評価を左右で行い、どの範囲が制限となっているか、症状が生じるのかをザックリ確認しましょう。痛みが強くて行えない場合は控えた方が良いでしょう。

まずは、座位か立位で評価を行いましょう。
立位だと下肢の影響を受ける可能性もありますので、座位にして下肢の影響を除外することできます。座位であれば、骨盤帯・脊柱・肋骨・肩甲骨・鎖骨・上肢の問題が考えられますので、それらを複合的に捉えていく必要があります。

以下では、『頸椎椎間関節・筋筋膜に問題があるのか?』・『姿勢の影響は考えられるのか?』の評価方法を、それぞれ動作ごとにまとめていきます。

屈曲

顎を胸につけるようにして屈曲動作を行います。

座位・立位

座位or立位で行い、屈曲の可動範囲、頸椎の弯曲を確認します。

頸椎の一部分だけが飛び出ているような(ヒンジ:Hinge)状態であれば、その上位・下位の椎間関節にストレスは加わりやすいかと考えられます。

片側への回旋・側屈の代償も生じる可能性がありますので、矢状面で見るだけでなく前額面・水平面でも確認しましょう。

また、肩甲骨が前傾・挙上で代償する場合や、上位胸椎(Th1-6)の連動も同時に確認すると良いでしょう。

背臥位

座位or立位で動作を確認したら、背臥位で屈曲動作を行ってもらいましょう。

座位or立位で違和感や痛みが生じていたのに、背臥位で生じない場合は姿勢の影響が考えられます。

背臥位は、頸椎椎間関節にかかる重力を取り除けるとともに、骨盤帯・脊柱・肋骨・肩甲骨がベッドに接しており安定した状態であるため、それらの影響をある程度省けます。

背臥位での屈曲は、自動運動(Active)or他動運動(Passive)で行ってもらい、モーターコントロールの影響を鑑別することもできます。Activeでは違和感・痛みが生じるものの、Passiveでは生じない場合に、モーターコントロールの問題を考えます。

Passiveでも症状が生じる場合、椎間関節や筋筋膜の問題が考えられます。これに関しては、他の動作も加味していきましょう。

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伸展

天井・上を見るようにして伸展動作を行います。

座位・立位

座位or立位で行い、伸展の可動範囲、頸椎の弯曲を確認します。

頸椎の一部分だけが入り込んでいる(過伸展)状態であれば、その上位・下位の椎間関節にストレスは加わりやすいかと考えられます。

片側への回旋・側屈の代償も生じる可能性がありますので、矢状面で見るだけでなく前額面・水平面でも確認しましょう。

また、肩甲骨が前傾・挙上で代償する場合や、上位胸椎(Th1-6)の連動も同時に確認すると良いでしょう。

腰椎伸展や胸椎伸展・肋骨外旋で代償している方もいますので、局所を見ることに集中するだけでなく全体も確認していきましょう。

背臥位・側臥位

座位or立位で動作を確認したら、背臥位or側臥位で動作を行ってもらいましょう。

座位or立位で違和感や痛みが生じていたのに、背臥位or側臥位で生じない場合は姿勢の影響が考えられます。

背臥位or側臥位としていますが、背臥位では患者・クライアントさんの恐怖心やセラピスト側の危険性がありますので、個人的には側臥位をオススメしています。その方が双方にとっても安心でき、適切な評価が行えるのではないでしょうか。

伸展動作は椎間関節の動きで見ると、下位椎体に対して上位椎体が後方滑りする動きになります。同じように椎間関節が後方滑りする動きは、回旋と側屈になります。そのため、以下でそれらの評価を行い、片側or両側の椎間関節後方滑りの問題がある場合、それらに対処した方が良いと考えられます。

理由としては、片側椎間関節の後方滑りに問題があった場合、その状態で伸展をすることになるので、もう片側の椎間関節や上位・下位レベルの椎間関節に問題をきたすことになります。

この考え方は伸展に限らず、屈曲でも同様のことが考えられます。

よって、矢状面での動作はあくまでも指標であり、主に水平面・前額面の問題に取り組むべきであると考えています。

回旋

左右を振り向くようにして回旋動作を行います。

座位・立位

座位or立位で行い、回旋可動性の左右差を確認します。

回旋の代償動作としては、”側屈”が生じやすいです。これは見せかけの可動範囲であり、比較的見逃しやすい部分になります。

その他に、肩甲帯や胸郭での代償を用いることがありますので、注意して確認しましょう。

背臥位

座位or立位で動作を確認したら、背臥位で回旋動作を行ってもらいましょう。

座位or立位で違和感や痛みが生じていたのに、背臥位で生じない場合は姿勢の影響が考えられます。

屈曲の項目でも解説したように、ActiveとPassiveでの比較も行いましょう。

回旋における椎間関節の動きは、片側の後方滑りと、もう片側の前方滑りで行われます。
例えば右回旋の動きでは、右側椎間関節の後方滑りと、左側椎間関節の前方滑りが生じています。

左右どちらかの可動性に問題が生じており、椎間関節の後方滑りに問題が生じている場合は伸展動作に影響し、前方滑りに問題が生じている場合は屈曲動作に影響することが考えられます。

上位頸椎・下位頸椎の鑑別

頸椎の回旋は80°程度であると考えられていますが、上位頸椎(C0-C2)と下位頸椎(C2-C7)にて可動範囲が違ってきます。

回旋に大きく影響しているのは上位頸椎C1/2になりますが、この部分にて約半分40°の回旋が行われております。残りの半分を下位頸椎で行っております。

上位頸椎C1/2は構造上の影響により、屈曲・伸展の可動性を有しておらず回旋のみ可能となっています。そのため、頸椎屈曲位での回旋の評価を行うことで、C1/2だけの回旋可動性を確認することができます。

C1/2頸椎回旋の評価方法

  • 背臥位にて頸椎を最大屈曲させます
  • セラピストは頭部を保持します
  • 頸部を回旋させた時の可動範囲を確認します
  • 左右40°回旋することができれば陰性です
  • 可動範囲の左右差を確認しましょう

この評価では、可動範囲が達していれば問題ありませんが、左右差を比較することは忘れず行うと良いでしょう。

多少の左右差であっても、頸椎よりも下位レベル(胸郭・腰椎・骨盤帯)へと影響している可能性もあるため、身体を総合的に見るときには必要となるでしょう。

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評価結果の統合

屈曲・伸展・回旋から得られた評価結果をもとに、総合的に考察していく必要があります。

以下は、臥位での評価における考慮点になります。

屈曲・伸展のみ

屈曲のみ、伸展のみで痛みが生じる場合、回旋の左右差も確認する必要があります。

それは途中で記載したように、椎間関節の動きを考えれば必要なことです。

回旋における椎間関節の可動性に問題がない場合は、矢状面における筋筋膜の問題が考えられます。

屈曲と回旋・伸展と回旋

屈曲と片側回旋、伸展と片側回旋で痛みが生じる場合、まずは回旋の問題へ介入していきましょう。

回旋の問題に対処したとこで再度評価を行います。

症状が改善しない場合、矢状面上での筋・筋膜性の問題に介入する必要があるでしょう。

回旋評価時の考慮点

まずは、上位頸椎の問題なのか、下位頸椎の問題なのかを区別しましょう。そして、椎間関節の可動性の評価、触診などから筋・筋膜の評価を行いましょう。

椎間関節・筋筋膜の両方の問題が見つかった場合は、以下の内容を考慮すべきです。

筋筋膜の問題へ取り組むことで、椎間関節の問題が改善されることがあります。反対に、椎間関節の問題へ取り組むことで、筋筋膜の問題が改善されることがあります。また、両方の問題へ取り組む必要がある場合もあります。

椎間関節と筋筋膜の考慮点

  • 筋筋膜の問題へ取り組むことで、椎間関節の問題が改善されることがある
  • 椎間関節の問題へ取り組むことで、筋筋膜の問題が改善されることがある
  • 両方の問題へ取り組む必要がある

ここで注意するべきなのが、どちらか一方の問題しか把握していないことです。椎間関節の問題には介入したが筋筋膜への介入は蔑ろにした場合、改善するのは一時的であり、再び同様の問題が浮上してくると考えられます。この反対も然りです。

座位での評価の考慮点

上記の考慮点を踏まえて臥位での問題は改善されたけど、座位になると症状が生じてしまう場合は”姿勢の問題”が考えられます。

これに関して、まずは近接部位から考えていくと良いでしょう。

肩甲骨内転や肩甲骨挙上、胸椎伸展へと誘導して症状が緩和するかを評価していくと良いです。

症状が寛解する動作の評価を行うことで、改善への糸口を見つけることができ、セルフエクササイズに繋げやすくなります。

また、患者・クライアントさんには、「このようにすれば症状が軽くなりますね」と説明することができ、安心感を与えられるかもしれません。そのため、座位で評価する最初の時に用いることもオススメです。

まとめ

今回の記事では、頸椎の評価方法とその解釈についてまとめました。

簡単に言ってしまえば、まずは『回旋の問題に介入するべきである』ということです。

「側屈の動きは評価しないのか?」と思われるかもしれませんが、椎間関節で考えると回旋動作と同じ動きを示します。右側屈では、右椎間関節の後方滑りと左椎間関節の前方滑りが生じます。
痛みや違和感の確認として評価をするのは良いかと思いますが、そこから得られる結果は屈曲・伸展・回旋を複合的に考えれば行き着くものだと考えられます。

しかし、椎間関節の他動的な動きに関しては側屈の評価を用いることがあります。これは、下位頸椎に対して上位頸椎が滑る、”正中軸を維持して潜り込む”ような動きを確認しやすいためです。

多様な方法がありますので、ご自身にあった方法を見つけて精度を高めていくことが良いと感じます。

評価方法を統一しておくことも臨床では大切ですが、一筋縄ではいかない”レールを外れた”ような症例に出会した時に、対応の幅を効かせられるようにしていることも必要になってくるでしょう。

こちらの記事では、上肢の神経症状に対する頸部の評価方法をまとめていますので、ぜひ併せてご参照ください。

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