結帯動作の制限因子を肩甲上腕関節に着目して考える

結帯動作の制限因子の記事:トップ画像 評価方法
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結帯動作

肩関節疾患の方において、多くの場面で悩まされるのが結帯動作です。

結帯動作は肩関節伸展・外転・内旋の動作が組み合わさることもあり、複数の問題が関与して改善に時間を要します。

背中がかゆい時にかけない、お風呂で背中をあらえない、女性であれば下着をつけれない、料理する時にエプロンを結べない…などなど、日常生活場面で重要な動きになっています。

「痛みを我慢しながら結帯動作のセルフエクササイズを頑張ってもらったとしても全然改善していかない」このような方に多く遭遇します。

もちろん、結帯動作のセルフエクササイズで改善していくこともありますが、その対象者の制限となっている部分が把握できていないと改善していきません

そこで今回の記事では、肩甲上腕関節において考えられる結帯動作の制限因子を動作毎にまとめていきます。多くの方を少しでも早く改善へと導けるようにしていきましょう!

内旋の制限因子

一番大切だと言っても過言ではないのが、”肩関節内旋”の可動性になります。

肩関節内旋に関しては、棘下筋・小円筋・三角筋後部などの肩後方筋群の伸張性が大切になってきます。また、後方関節包の伸張性も大切です。

肩関節内旋・外旋の動き

棘下筋や三角筋後部の軟部組織への介入はしていても、関節包への介入が少ないと、筋の緊張・硬さ・張り感は再び戻ると考えられます。

その理由としては、関節包の硬さが存在している場合、肩甲窩に対する上腕骨頭の位置関係が悪くなっており変位していることが考えられます。それに伴い肩関節周囲筋のスパズムが生じてしまうため、痛みが増悪し、さらに筋緊張が高くなり、動かさなくなるために拘縮するという悪循環が生じます。

そのため、よくある介入の足りないポイントとしては、”関節包”の伸張性が考えられます。

肩の後面の骨模型

関節包の制限の有無を確認するためには、肩関節約55°外転位・30°水平内転位にて上腕骨頭の滑り(前後・上下)を評価する必要があります。いわゆる、joint play(関節の遊び)の評価です。関節包の緊張が最も少ない・均一である肢位が望ましいため、角度は一つの目安としていただき、その人の肩甲骨面などを考慮して角度を調整する必要があります。もちろん、左右差も評価していきましょう。

内旋動作に制限がある場合、上腕骨頭の後方滑りの可動性に問題があるかもしれません。

そして、肩関節内旋の可動性を評価する時の”肢位”も注意した方が良いかもしれません。結帯動作では肩関節軽度外転位であることが多いため、その肢位での内旋可動域を改善していくことが望ましいのですが、その肢位だけの内旋を獲得できたとしても結帯動作が改善されないことが多いです。

つまり、肩関節外転90°位(2nd肢位)や屈曲90°位(3rd肢位)における内旋可動域も評価・介入していくと良いと考えています。理由としては、これらの可動域制限があるということは、筋や関節包などの軟部組織性の制限が隠れているということです。わずかな制限が、結帯動作全体の制限になっていることもあります。

また、介入する順序も大切だと考えています。私の考えとしては、まず肩関節屈曲位での内旋可動域を獲得した後に、外転位での内旋可動域を獲得する流れが良いと考えます。

その理由は、屈曲位での内旋は前方組織の緊張が少なく、後方組織をメインでターゲットにすることができます。外転位ですと、前方組織はやや伸張位にあることと、後方組織の硬さにより緊張が増加しやすいことが考えられ、求めている最善の介入ができない場合があるからです。
この順序を意識してから、スムーズに改善していくことが増えてきたように感じます。(しばらくすると考え方が変わるかもしれませんのでご了承ください。笑)

先程ちょろっと話で出てきた”前方組織”の硬さの問題も関与してくると考えられます。大胸筋や三角筋前部・上腕二頭筋などの前方組織の緊張は、上腕骨頭を前方に引き出す作用を有しています。そうなれば当然、前に引かれないように後方組織も緊張することが考えられますので、ほぼ同時に介入していくべきでしょう。

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伸展の制限因子

肩関節内旋の可動域制限がある場合、結帯動作を肩関節伸展で代償することがあります。肘を後ろに強く引いて動作を行うような形です。

だからといって、伸展可動域になんの問題もないわけではないと考えます。

代償動作は『仕方なくその動作を行っているだけ』であって『適切に動かせているかは別』だと考えています。

伸展動作では、上腕骨頭が前方に滑ります。内旋の部分でも解説しましたが、前方組織の問題があると上腕骨頭は前方変位することが考えられるため、これらの拘縮は適切な前方滑りを引き出せない可能性があります。

肩関節屈曲・伸展の動き

伸展動作時に上腕骨頭を後方に誘導すると可動域の改善が確認できる場合、上記のことが影響していると考えられます。さらに、joint playの評価も合わせて行っていただけると、より良いかと思います。

また、通常は自動で結帯動作を行うため、後方組織も考慮しなければいけません。三角筋後部や上腕三頭筋などの肩関節伸展に作用する筋の緊張が高いと、線維レベルで短縮域における滑走に問題が生じてしまいます。(いわゆる、つまり感のようなイメージです。)

内旋と同様、後方組織に問題があるとすれば、前方組織の問題も考慮するべきだということになります。

外転の制限因子

結帯動作を、外転結帯・内転結帯と分けている方もおられますが、日常的には外転結帯が必要であると私は考えます。

肩関節外転の可動域に制限がある場合、結帯動作時に肩甲帯が挙上・前傾などの代償が出てくると考えられます。

外転動作では、上腕骨頭の下方滑りが必要になります。背臥位で肩甲骨を固定した上での外転可動域が100°に達しない場合、可動性制限が残存しているかもしれません。

肩関節外転・内転の動き

肩関節周囲の炎症に伴い、肩峰下圧を軽減させるために肩甲骨は前傾してくることが多いです。最初は痛みを軽減するために有効なのですが、拘縮の段階では必要ない代償です。これが長期にわたると、小胸筋が過緊張になってしまい肩甲骨を外転・下方回旋させます。静的アライメントに影響が及びますので、肩甲骨下方回旋位である場合、相対的に肩関節は外転位になると考えられるので、三角筋も過緊張になるでしょう。

三角筋の過緊張・拘縮に伴い上腕骨頭は上方に変位することが考えられますので、これらのポイントには注意して評価・介入した方が良いかもしれません。

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まとめ

結帯動作において、肩甲上腕関節の可動性は非常に大切です。肩甲骨や胸椎の動きよりも、肩甲上腕関節の可動性が重要だと考えております。

痛みの場所によっても制限因子を予想することができますが、痛みを深く追ってしまうと良い結果に繋がらないこともあります。痛みはあくまでも主観的なものでありますので、参考にはしますがそれ以上は追わないことをオススメします。

ここまでの内容をまとめると以下になります。

まとめ

  • 後方関節包の伸張性
  • 棘下筋・小円筋・三角筋後部・上腕三頭筋の機能不全
  • 大胸筋・三角筋前部・上腕二頭筋の機能不全
  • 下方関節包の伸張性
  • 三角筋中部の機能不全
  • 肩甲骨前傾・外転・下方回旋などのアライメント異常

上3つが内旋および伸展、下3つが外転の問題となりやすいですが、これらは相互関係にあると考えた方が良いでしょう。

下方関節包の伸張性に問題がある場合、上腕骨頭は上方変位し三角筋は過緊張だと解説しましたが、この状態では腱板の機能不全に繋がることが考えられます。よって、後方関節包の伸張性の問題とも深く関係し、内旋の可動域制限因子とも考えられるということです。

このように肩関節周囲の組織が相互依存的に関係しているため、1つの組織だけにフォーカスするよりも総合的に考慮し介入していくべきではないでしょうか。

また、外旋可動域も考慮するべきです。伸展の可動性で必要な上腕骨頭の前方滑り、肩関節前後面の軟部組織の伸張性に関しても深く影響していますし、何よりも前面の軟部組織の伸張性がないと結帯動作の最終で制限が生じてしまいます。こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ併せてご参照ください。

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