骨盤矯正って実際のところどうなの?そもそも骨盤は歪むの?

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骨盤は歪むのか?骨盤矯正ってどうなのか?のトップ画像 姿勢

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本当に骨盤は矯正されるの?

街中を歩いていると、『産後の骨盤矯正やってます!』『あなたの骨盤歪んでませんか?』なんて看板をよく目にします。

私は理学療法士ですので骨盤の解剖学的知識を備えておりますが、一般的には知られていないことがほとんどです。

なので、「私の骨盤は歪んでいる!なんとかしなきゃ!」や「骨盤の歪みを治してもらおう!」と思われる方も多いはずです。

最初に言ってしまいますが、骨盤は歪みません!!

骨盤の周りは強靭な靭帯・多くの筋肉で支えられているため、本人が感じるほどの動きをしません。
むしろ歪んでしまったとしたら非常に大変なことになりますので、今頃は救急搬送されて病院にいることでしょう。

骨盤は歪まないため、矯正することもできないということです。

では、なぜ骨盤矯正などと言われているのでしょうか…?

なぜ骨盤矯正と言われ始めたのか

すでに多くの人が”骨盤矯正”という言葉を知っており、イメージがしやすいのが関係していると考えられます。

また、何よりもビジネスとして利用されやすく、お金儲けになるからでしょう。

よく整骨院・整体院では、骨盤矯正○回分チケットという形で販売されているかと思いますが、これこそがお金儲けなのです。

身体は人それぞれ骨格・筋肉のつき方などが違うため、その方に対面し身体を見させてもらうまではどのような状態なのかわからないはずです。

それなのになぜ、皆さま同じ○回数で治そうとしているのでしょうか…?

そして、そもそも○回分施術すれば、骨盤の問題は改善されるのでしょうか…?

いえ、そもそも骨盤は矯正できるのでしょうか…?

いえ、そもそも骨盤は歪むのでしょうか…?

再度言いますが、骨盤は歪みませんし、形や位置を矯正できるものではありません。

治療・施術する側の立場の人も、骨盤は歪む、骨盤を矯正するということ本気で思われている方もおります。勉強不足な方もいれば、勉強した上でそのように考えている方もおります。

そのため、受け手の皆様が適切な知識を備えている必要があります。

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そもそも骨盤は歪むのか?

何度も言いますが、骨盤は歪みません。

骨盤の位置・姿勢

骨盤が歪んでいるという方々は、骨盤の傾斜であったり、開きの角度などを指標にしている場合が多いです。

骨盤が前傾して腰が反ってしまうイラスト

しかし、骨盤の前後の傾斜や開きの角度は、個人差が非常に大きいものになります。個人間での左右差もありますので、片側が歪んでいるなんてことはなく、元から備わっている形状なのだと考えられます。

このように、そもそもの基準が特に決まっていない部位なので、何をもって歪んでいるのかを判断できないということになります。

つまり、姿勢の評価だけでは、骨盤がどのような状態に置かれているかは分かり得ないということです。

本当に歪んでいることを確認したいのであれば、レントゲンなどで継時的変化を見ていく必要があります。

骨盤の動き

骨盤には仙腸関節と言われる関節がありますが、この関節は体重がかかっていない時には約2.5度しか動きません。体重がかかっている時には更に少なく、約0.2度しか動きません。

仙腸関節・骨盤帯のイラスト

仙腸関節の関節面の角度なども人それぞれですので、もとから動きの範囲が狭い方もいれば、少し動きやすい方もいます。

この僅かな動きを評価したところで、ズレている・歪んでいるなどと言えるはずがありません。

少し大きく動くからといっても、靭帯が緩んでいるとかそういう話ではなく、単に動きの範囲が大きいということくらいしか分かりません。
また、動きが硬いと言われたからといっても、何かが悪いわけではなく、むしろ硬いほうが関節は安定していますので身体にとっては好都合です。ご安心ください!

産後はどうなの

妊娠中は約3kgほどの重さがお腹の中にあるため、それを支えている骨盤周囲の靭帯や筋肉に影響してきます。

木にもたれかかる妊婦

お腹の前が重たくなるので腰は反りやすくなり、骨盤も前傾していきます。

骨盤が前傾した座り方のイラストです。腰が反ってしまい、常に筋肉に力が入ってしまうことが特徴です。

骨盤は大まかに分けて”仙骨”と”寛骨”に分けられますが、この両方が前傾してくると問題になりやすいです。(※腸骨・恥骨・坐骨を合わせて寛骨といいます)

骨盤のイラストになります。仙骨・腸骨によって仙腸関節が形成されます

特に寛骨が前傾すると、寛骨が少し外側に開く状態になりやすいです。一般的に言われているような「骨盤が開く」というのは、このことを指しています。

この状態では、仙骨と寛骨を繋いでいる靭帯が伸ばされてしまいます
また、妊娠中はホルモン分泌の影響により、周囲の靭帯は緩みやすいことも関係し、余計に問題となりやすいです。

では、”これが元どおりになるのか?”という話ですよね。

多くの方は、”自然に戻る”とされています!

ただし、すぐに戻るわけではありません。

それは、妊娠期間が約10ヶ月ある中で徐々に体が変化したからです。約半年から1年ほどかけて徐々に改善されていくことでしょう。

この期間は骨盤ベルトを巻くなどして、骨盤を安定させることで腰痛などの症状を緩和・軽減させると良いでしょう。
前傾姿勢になることで腹筋やお尻・太もも裏の筋肉などが弱くなってしまうため、産後落ち着いた頃から筋力トレーニングをしていくことがオススメです。

このようなことから、産後だからといって骨盤が特別歪むわけではなく、それを矯正することもできないということです。

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まとめ

姿勢によって骨盤周囲の組織には変化が生じるものの、骨と”パキッ”と鳴らす施術が必要なわけでも、セッセと整体・整骨院に通う必要もありません。

施術者はあの手この手を使い、言葉巧みに営業してくると思います。

多くの方に骨盤に対する正しい知識を持っていただき、情報に惑わされないようになっていただければと思います。

そして、何よりも、この記事を読んでくださる皆様の症状が、少しでも良い方へ向かっていけば幸いです。

こちらの記事では、出産後の腰痛・骨盤痛に対するストレッチやトレーニングの方法をご紹介しています。

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