”痛いから動かさない”というのは身体にとっては良くない!?

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不活動と痛みの関係

靭帯損傷や脱臼、骨折などに対する処置の一つに、ギプスやシーネによる固定を行うことがあります。
これは、損傷した組織に負担をかけないようにするということが目的で行われます。

程度によりますが、靭帯損傷であれば、体重をかけてしまうと状態が悪化してしまうことがあります。また、脱臼や骨折であれば、骨の位置がズレてしまうこともあり、手術を検討する必要性があるとも考えられます。

松葉杖の練習をする女性

固定することの弊害としては、二次的に関節の動きを悪くする(拘縮)ことや、筋肉の力が弱くなり硬くなる(筋萎縮)ことが、ほとんどの場合で生じます。
これらを予防・改善するためには、なるべく早い段階で可能な範囲を動かしていく必要があります。

しかし、動かそうとしても、”痛みによって動かせない”という状況が生じることもあります。
組織の治癒が進んでおり、炎症も落ち着いているのにも関わらず、痛みだけが残ってしまうという状況です。

これらは、固定や体重をかけないこと、安静にしていることによって組織を動かさない状態は、それ自体が痛みを生み出し、痛みを長期化させる要因になると考えられています。

そこで今回の記事では、『なぜ動かさないことで痛みが生じるのか?』を解説していきます!

痛覚閾値の変化

ヒトの感覚の中では、『温かい・冷たいの感覚(温覚・冷覚)』や『触れた感覚(触覚)』・『痛みの感覚(痛覚)』が存在します。

その中でも今回は痛覚に焦点を当てていますが、動かさない事により”痛みを感じる基準が変化する”と考えられています。

そもそも、”痛みを感じる”ということに関しては、ある一定のボーダーラインが存在しています。

そのボーダーラインを越えると痛みが生じ、ボーダーラインを超えなければ痛みが生じないということです。
このラインの高さは個人によって変わってきますので、人それぞれ痛みの感じ方は変わってきます。

動かさないことによって、身体に加わる刺激が少なくなってしまうため、少しの刺激でも反応できるように身体がボーダーラインを低く設定してしまいます。

これが『痛覚閾値の変化』になります。

つまり、本来痛みとして感じることのなかった刺激に対しても、ボーダーラインが低いために痛みを感じてしまうということになります。

これは、動かさない期間が長いほど痛みを感じやすく、その後の痛みや機能の改善も遅いとされています。

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神経系の変化

痛みを感じるボーダーラインが低くなってしまうと解説しましたが、これに関してもう少し詳しく解説していきます。

骨や関節・筋肉などの組織は、身体を動かすために使用されますが、これらの組織には神経を介して脳に情報を伝達する役割も担っています。

つまり、組織自体が多様な刺激を受け、それを神経系に伝えるための感覚器としても機能しています。

そのため、動かさない期間があるということは、その部分への刺激が減ってしまうため、神経系にも変化が生じるということです。

ある実験結果では、動かさない状態は炎症が生じている場合と同様に、神経系が過敏に反応してしまうことが示唆されています。

また、動かさない状態は、関節運動に反応する細胞を増加させてしまうので、痛みを生じさせない刺激に対しても痛みとして感じてしまう可能性があります。

組織の変化

動かさないことにより、関節や筋肉には拘縮(関節の可動範囲の制限)や筋萎縮(筋力低下や筋肉量の減少)が生じます。

これらが痛みの発生に関連するという確実な証拠はありません。
しかし、拘縮により周囲の組織が引き伸ばされることでの痛みや、筋肉が適切に働かないと関節を支えることができず、それが関節の負担になって痛みを生じさせてしまうことが考えられます。

このようなことが一度生じると、”負の循環”に陥りやすくなります。
例えば、拘縮が生じ痛みも伴っているとすると、余計に動かさなくなります。動かさないことで組織は余計に硬くなり、神経系の変化も同時に起こるため、痛みが長期化したり増強したりすることになるでしょう。

また、皮膚の荒れも関与していると考えられています。

ギプス固定後は角質層の乱れが生じることがあります。
表皮が薄くなってしまうことで、その下に存在する痛みを感じる組織までの距離が短くなってしまうため、通常時よりも刺激に対して敏感に感じ取るようになってしまうと考えられます。

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まとめ

これらのことから、『痛いから動かさない、というのは身体にとって良くない』ことが分かりますね!

痛いところをマッサージすれば良いというものでもなく、しっかりご自身の身体を動かしていく必要があります。

そうでないと、”身体を動かしている”という組織・神経系の情報伝達が生じないため、特に痛みが変化しないか、あるいは一時的な変化しか生じないということです。

ただし、”痛いけど、頑張って動かせば治る”ものでもありません。

”痛い”という刺激は、身体にとって危険を知らせてくれているサインです。

これを無視したまま動かすということは、車を運転している時に警察に声をかけられたのにも関わらず、無視して逃走するのと同じようなことです。いずれ捕まりますし、刑罰が重たくなる可能性もあります。

痛みの話に戻すと、逃走中は痛いですし、徐々に痛みも増してしまうことでしょう。
痛みを生じさせている可能性が高い組織は何かを見つけて、その部分に負担をかけないよう痛くない方向へ動かすことが大切になります!

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