デッドリフトの正しいフォームとバイオメカニクス

動作分析
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デッドリフトとは

今回は、デッドリフトといわれるエクササイズ・トレーニングの種目を解説し、フォームのバイオメカニクスとよくある誤ったフォームを解説していきます。

競技をされている方にとっては、背部・下肢筋力を向上させるための必須トレーニングです。
ウエイトを持たずに行うことで、股関節・膝関節・コア(core)の動かし方を学習するモータコントロールエクササイズにもなります。

仕事で重たいものを持ち上げる作業をされる方や、前かがみになったときに腰が痛くなってしまうという方に対して、デッドリフトを行なってもらうことは非常に有益なことと感じています。

ソファを持ち上げる男性作業員

『デッドリフト』や『ヒップヒンジ』という言葉を聞いたことがある方もいるかと思いますので、その違いもご紹介していきます!
聞いたことがないという方も、なるべくわかりやすく解説していきますので、参考にしていただければと思います!

スクワットとデッドリフト

まずは、『スクワット』と『デッドリフト』の違いです。

スクワットとの違いは、動きの要素にあります。

デッドリフトは股関節伸展がメインであるのに対し、スクワットは股関節・膝関節・足関節を同時に動かす脚伸展動作となります。

相違点

    • デッドリフト
      →股関節伸展
    • スクワット
      →股・膝・足関節同時伸展

ヒップヒンジとは

『ヒップヒンジ』という言葉は、種目の名前ではなく動き・動作の名称となります。

『ヒップ=股関節』『ヒンジ=蝶番の中心・支点部分』という意味です。
つまり、股関節を支点にした屈曲・伸展の動作を指します。

腰椎や膝関節が股関節よりも先に屈曲すると、動作の支点が股関節ではなくなってしまうため、”ヒップヒンジ”ではなくなってしまいます。

このヒップヒンジという動作を主体に行う種目名が『デッドリフト』となります。

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デッドリフトの目的

デッドリフトを行う目的としては、『腰部安定性の向上』と『下肢の筋出力を体幹部分へ伝達』することです。

下肢の筋の中でも、特に股関節伸筋群(大殿筋・ハムストリング)が重要です。
股関節伸筋群の力をロスなく使用するためには、腰部の安定性が必要不可欠です。

股関節伸筋群:大殿筋・ハムストリングのイラスト

腰椎は生理的弯曲で保持することで、腰部周囲の筋(腰部起立筋群・腹筋群)は適切な機能を発揮することができます。
どれだけ下肢・腰部筋力があったとしても、脊柱(特に腰椎)をニュートラルに保持できなければ、重たい荷物を持った時やバーベル持ち上げるトレーニングをするときに腰部に加わるストレスは増大します。

頸椎・胸椎・腰椎・仙骨を表す脊柱全体のイラスト

たとえ動作が遂行できたとしても、繰り返し腰部にストレスが加われば、いずれは身体のどこかしらに異変を感じることが考えられます。

まとめると、大殿筋・ハムストリング・腰部起立筋群の機能により、腰部を安定性させ下肢の筋出力を体幹部分へ伝達することを学習するエクササイズ・トレーニングになります。

骨盤前傾と股関節屈曲

まずは、骨盤を前傾させることがポイントです。

骨盤が前傾して腰が反ってしまうイラスト

骨盤が後傾している場合、仙腸関節後方の靭帯・関節包にかかる負担は非常に大きいものとなります。
運動連鎖として腰椎が後弯することにも影響し、腰椎椎間板へのストレスは増加します。

骨盤が前傾すると、相対的に股関節は屈曲していきます。
このタイミングで、重心を後方へシフトさせる必要があります。

股関節屈曲に伴い、体幹は前傾していきますので、身体重心は前方へ移動していきます。
殿部を後方にシフトさせて、上半身重心を後方に移動させることで、前後のバランスを取る必要があります。

これができない場合、脊柱を後弯させて骨盤後傾するか、腰椎を過伸展させて代償することがあります。

そして、これらの動きを行うためには、ハムストリングの硬さが大きく影響してきます。
ハムストリングが硬ければ、骨盤前傾・股関節屈曲の動きが少なくなってしまうので、目的とするところまで動作を遂行できない可能性があります。

ハムストリング:半腱様筋・半膜様筋・大腿二頭筋のイラスト

ただし、ハムストリングが硬いからといって、デッドリフトを指導しない訳ではありません。
むしろ適切な身体運動を学習していくことで、可動性は増大してくことが期待できます。

ポイント

  • 骨盤前傾は必須
  • 殿部を後方シフトさせる
  • ハムストリングの硬さの影響を加味する

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脊柱ニュートラルと腹圧

先ほどの骨盤前傾の動きが達成された上で、脊柱をニュートラルで保持することが必要となります。

脊柱をニュートラルで保持するなかで、腰椎を屈曲させないことが最も重要となります。

その上で必要なのが、腹圧(IAP:Intra-Abdominal-Pressure)になります。

腹圧は、『お腹を凹ます(Drawing-in:ドローイン)』『お腹を固める(Bracing:ブレーシング)』とは違い、腹部・腰部を360度方向に膨らませる状態のことを指します。
お腹に、”風船”や、”柔らかいボールが入っているようなイメージ”を持っていただけると良いかと思います。

風船の写真

腹圧をかけるために必要なポイントが4つあります。

ポイント

  1. 腰部起立筋群の収縮で後方部分を安定させる
  2. 腹筋群(特に腹横筋)の収縮で前方部分を安定させる
  3. 吸気で横隔膜を下制させ上方部分を安定させる
  4. 骨盤底筋群を収縮させ下方部分を安定させる

骨盤底筋群の収縮意識を動作中に行うことは難しいため、骨盤を前傾させることがそれに繋がると考えて良いでしょう。

また、吸気で止めることで横隔膜が下制したポジションを維持できるので、重たい負荷がかかる瞬間は息を吐かないようにする方が良いでしょう。
動作の練習する段階では、自然な呼吸を心がけ、無駄な筋緊張が入らないようにすると良いでしょう。

股関節と膝関節の動かすタイミング

最後は、股関節と膝関節の動かすタイミングになります。

上記の2つのポイントはできるのに、それでも腰や膝が痛くなってしまう場合は、膝関節の動きが主体になっている可能性があります。

膝関節が先に屈曲すると重心が前方へ移動してしまうため、その代償で脊柱が後弯し骨盤が後傾することがあります。

まず骨盤前傾・股関節屈曲の動き、その後に殿部の後方シフトが出てきて、ハムストリングが緊張してきます。
このタイミングで膝の屈曲が始まっていくと良いでしょう。

ポイント

骨盤前傾・股関節屈曲

重心(殿部)の後方シフト

ハムストリングの緊張

膝関節屈曲

ただし、膝の動きだけを行うのではなく、股関節屈曲の動きも同時に行うことで、重心の前後バランスを保持することが重要です。

膝はつま先よりも前に出さないように意識を持つ方が、動きを適切に行えるでしょう。
一番下のポジションでは膝はつま先よりも出ますので、上記はあくまでもその意識で行うことで股関節主体の動作を促すことが目的となります。

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まとめ

デッドリフトのフォーム指導・運動指導に役立つバイオメカニクスをご紹介しました。

動作のポイントをご自身が理解していても、相手にそれを伝えて実践してもらうことは、また違った難しさがあります。

言葉かけやフィードバックの仕方によって、相手の動作のクオリティが変わってきます。

動作を見極めて、それぞれの方にあった運動指導ができるよう、日々精進していきましょう!(自戒を込めて。)

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