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鼠径部のつまり感
今回は、鼠径部(股関節前面)のつまり感や痛みの原因を解説し、最後にストレッチ方法もご紹介していきます。
普段の生活の中では、座っているときや、前にかがむとき、歩くときに症状を感じるでしょう。
運動をされている方であれば、走るときや足を踏み出すとき、ボールを蹴るとき、足を高く挙げるときなどに感じる症状となります。
症状を感じ始めるとなかなか治らず、次第に悪化していく特徴があります。
長年放ってしまうと股関節の変形に繋がる可能性がありますので、つまり感だけの段階である程度ケアできると予後は少し良いかもしれません。
股関節前面の構造
股関節は、寛骨と大腿骨によって構成されています。
大腿骨の先は、ボールのように丸い形状をしており、大腿骨頭といわれています。
寛骨は、ボールのような大腿骨頭を包み込むような受け皿の形状をしており、この部分を寛骨臼といいます。
ボールがすっぽりとハマる形状をしているため、非常に安定しており、動かせる範囲も大きいのが特徴です。
しかし、先天的に寛骨臼の受け皿の形に問題があり、大腿骨頭を包み込んでいないこともあります。
これを臼蓋形成不全といい、股関節の動かせる範囲は制限され、不安定感も引き起こしてしまうことがあります。
ただし、股関節の周りを強靭な靭帯が覆っているため、股関節がズレたり脱臼をするということは非常に希なことです。
股関節前面の筋肉
股関節前面を覆う筋肉は、腸腰筋・大腿直筋・大腿筋膜張筋になります。
腸腰筋は、腰椎から大腿骨に向かって走行している筋肉で、股関節の近くを通過するため股関節を安定させるように働きます。
大腿直筋は、骨盤から膝蓋骨まで走行している筋肉で、股関節を曲げたり膝関節を伸ばしたりする作用を持ちます。
大腿筋膜張筋も、骨盤から膝関節の先まで走行している筋肉で、股関節を曲げたり内側に捻る作用を持ちます。
そのほか、側面を覆うお尻の筋肉は、中殿筋が存在します。
中殿筋は、骨盤から大腿骨まで走行している筋肉で、前部と後部を分けられており、それぞれ違う作用を持ちます。
中殿筋前部
→脚を外側に開く、股関節を曲げたり内側に捻る作用です。
中殿筋後部
→脚を外側に開く、股関節を伸ばしたり外側に捻る作用です。
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つまり感の原因
股関節・鼠径部のつまり感の原因は、主に3つに分類されます。
- 筋肉の問題
- 関節の問題
- 動き方の問題
それぞれ分類はできますが、症状によってはオーバーラップしている部分があります。
最初は筋肉の問題だけだったけれど、徐々に関節への負担も増えてしまったために関節の問題になってしまうというケースもあります。
では、それぞれ解説していきます。
筋肉の問題
上記で紹介した腸腰筋・大腿直筋・大腿筋膜張筋は、どれも股関節を安定させ守るように働いていますが、どこか一部分に負担がかかることによって、つまり感が生じてしまうことがあります。
内ももの筋肉(内転筋)や、お尻の筋肉(大殿筋)の機能が適切な状態であることは、一部分にかかる負担を軽減することに繋がります。
※機能が適切というのは、筋肉の伸び縮み(収縮・弛緩)がしっかりと行えること、動かす中で力が発揮されるタイミングに遅れがないことなどを指します。
大腿直筋・腸腰筋
股関節を曲げる動きでは、大腿骨頭が寛骨臼にもぐりこむように動きます。
大腿直筋だけが働きすぎてしまう場合、大腿骨頭は前方に引き出されてしまいます。
そのため、股関節を曲げたときに前部で引っかかってしまい、つまり感を引き起こします。
このとき、腸腰筋が適切に機能していれば、大腿骨頭が前方に引き出されないように押さえてくれますので、つまり感を感じることは抑えられます。
大腿筋膜張筋・中殿筋
股関節を曲げる動きの時には、股関節の形状の理由から外側に捻る動きを伴います。
大腿筋膜張筋や中殿筋前部が働きすぎてしまう場合、股関節を曲げる際に内側に捻る動きを伴ってしまいます。
そのため、股関節前部でのつまり感を生じてしまうこととなるでしょう。
このとき、中殿筋後部の機能が適切に機能していれば、大腿筋膜張筋や中殿筋前部の緊張を緩和させることができ、内側に捻る動きをコントロールすることができます。
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関節の問題
関節の問題としては、FAIというものがあります。
FAIは大腿骨頭の問題と、寛骨臼の問題、その両方が組み合わさった問題の3つがあります。
- 大腿骨頭の部分が大きくなってしまい、動かした時に股関節が詰まってしまう
- 寛骨臼の端に棘ができてしまい、動かした時に引っかかってしまう
- 両方が生じて、より一層つまり感・引っかかり感を生じる
上記のことが考えられます。
これが生じてしまう要因は、先ほどの筋肉の問題のところで記載したことが修正されず、誤った関節の動きが継続されてしまうことが考えられます。
また、臼蓋形成不全のように、もともと股関節が不安定な形状をしている場合にも、骨・関節での安定を求めた結果なってしまうことがあります。
FAIによって、股関節・鼠径部のつまり感や痛みを感じてしまうことを、股関節インピンジメント症候群と言います。
これは、下記の動き方の問題との関係が非常に強いため、ぜひこのまま読み進めていただきたく思います。
動き方の問題
股関節・骨盤の動き方によって、股関節・鼠径部のつまり感を誘発したり、軽減させたりすることができます。
骨盤後傾
骨盤を後傾させてしまうと、大腿骨頭と寛骨臼との適合が悪くなってしまい不安定になるため、周りの筋肉が頑張りすぎてしまいます。
ここで頑張りやすい筋肉は、大腿直筋や大腿筋膜張筋になります。
つまり、上記の筋肉の問題を引き起こしてしまうことが考えられます。
この場合は、骨盤の前傾動作を練習する必要があります。
骨盤前傾
ある程度の骨盤前傾の動きは必要になりますが、前傾のしすぎには注意が必要です。
股関節を曲げることができる範囲は約120度になりますので、110度くらいまでしか曲げてなくても、骨盤の前傾が強い場合にはつまり感を誘発する可能性があります。
そのため、前傾しすぎないよう、太もも裏面の筋肉(ハムストリング)、お尻の筋肉(大殿筋)、腹筋・背筋のバランスが非常に大切になります。
うちまた
もともと動きの中で、“うちまた”になりやすいという方も注意が必要です。
この動きでは、股関節を曲げるときに内側に捻る動きを伴っていますので、つまり感を誘発しやすいです。
スクワットをする時につまり感が生じてしまうという方は、股関節の開き・膝の位置を意識することで軽減されるかもしれません。
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ストレッチ方法
今回紹介するのは、四つ這いで行うストレッチになります。
四つ這いで行うことで、股関節には軸圧がかかりますので安定しやすい状態です。
さらに、大腿骨頭が前方に引き出されないような体勢ですので、つまり感を感じにくくすることができます。
左側の例
- 肩の下に手・股関節の下に膝がくるように四つ這いになります
- 右脚を伸ばして、体幹と一直線にします
- 骨盤は前傾を保持しながらお尻を後ろに下げていきます
- 元の位置に戻りましょう
- 左右10回を2セットずつ行いましょう
※大丈夫な方は、左膝を外に向けるように位置を少しズラしましょう。下がる方向も左斜め後ろにするとお尻が伸びてきます!
※股関節のつまり感が生じてしまう方は、左膝の位置を外側に少しだけ移動させましょう
左膝を外に向けて、左足を内側にズラして動かすことで、お尻の筋肉をストレッチすることができます。
うまく伸ばせないという方は、後ろに下がる方向を真後ろではなく、少し左側・横方向に動かしていくと良いでしょう!
片側だけに症状がある方でも、股関節・骨盤の動きを修正するために両側行いましょう!
上記のことでご相談やご質問等がある場合は、お問い合わせフォームや匿名でできる質問箱などをご利用ください。
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