足首の捻挫後に行うべき5つのこと

スポーツ・怪我

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足首の捻挫

今回は、”足首を捻ったしまった後に行うべき5つのこと”をご紹介していきます!

足首を捻挫したことがある方はかなり多い印象を受けます。

足関節の内反捻挫のイラスト
日頃運動を全くしていない方でも、段差を踏み外してしまったり、階段から落ちてしまったりすることで、足首を受傷されてしまうことがあります。

階段で足首を捻った女性

捻挫の後、違和感や痛みがなければ放置してしまう方も多いのではないでしょうか?

これをきっかけにして、足首や膝・股関節に症状が出始めるといったケースもあるため、受傷後のケアはしっかりと行なっていきましょう!

靭帯の構造

足首(足関節)は、脛骨けいこつ腓骨ひこつ距骨きょこつの骨によって構成されています。

足部・足関節の骨と関節の名称のイラスト

足関節を保護するための靭帯は、内側と外側に大きく分類されます。

今回は、最も多い外側の靭帯に関する構造を解説していきます。

足関節の外側の靭帯の正式名称は、外側側副靭帯がいそくそくふくじんたいといいます。
この部分は、前・中・後の3つの靭帯から構成されています。

足関節外側側副靭帯のイラスト

一番損傷しやすいのが、”前”の部分である『前距腓靭帯ぜんきょひじんたい』になります。

腓骨から距骨までを覆う靭帯であり、足関節の内側に捻る動き(内反)を制限して支える役割をしています。

捻挫によって靭帯が損傷してしまうと、軽い損傷であればある程度の回復は見込めます。
しかし、靭帯が断裂してしまうと、修復されることはないので足関節はグラグラと不安定な状態になってしまいます。
スポーツ活動などをされる方の場合は、おそらく手術をして靭帯を縫合することになるでしょう。

これを判別するためには、医療機関での検査が必要になります。

ただし、捻挫直後の対処方法として重要なことは、”損傷”であれ、”断裂”であれ、そう大きくは変わりません。
以下の内容を、ご自身でできる範囲で行なっていきましょう!

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受傷後のケアの方針

『RICE処置』という言葉を聞いたことがある方は多いかと思います。

RICE

  • Rest:安静・休息
  • Icing:アイシング
  • Compression:圧迫
  • Elevation:挙上

Rest・Icing・Compression・Elevationの頭文字をとったのが、RICE処置になります。

しかし、Rest:安静にするよりも、適度に負荷・荷重を加えていくことが良いとされてきているため、近年では違った方針が進められています。

それが、『PEACE & LOVE』と『POLICE』になります。

PEACE & LOVE

PEACE

  • Protection:保護
  • Elevation:挙上
  • Avoid Anti-inflamation drug:抗炎症薬を避ける
  • Compression:圧迫
  • Education:教育

抗炎症薬は、組織の治癒に悪影響を及ぼす可能性があるとされています。組織が再生されるときには、炎症の過程によってさまざまな段階でサポートされているため、身体にとって炎症が生じていることは必要なことになります。
炎症過程を抑制するために薬物を使用してしまうと、治癒過程が損なわれる可能性があるため、避けた方が良いとされています。

また、怪我をされた方は、理学療法士からの教育を受けることが推奨されています。
回復までの段階や、負荷の設定などは専門家の意見を取り入れた方が良いでしょう。

LOVE

  • Load:負荷
  • Optimal:最適な
  • Vascularization:血流促進
  • Exercise:エクササイズ

この段階で、安静にするという対処方法がなくなりました。

足関節を保護した上で、適切な負荷をかけていくことが必要であるということです。

また、エクササイズが加わっていることも非常に重要なポイントであると思います。

POLICE

POLICE

  • Protection:保護
  • Optimal:最適な
  • Loading:負荷
  • Icing:アイシング
  • Compression:圧迫
  • Electrotherapy:電気療法

POLICEとしては、電気療法が加わっていることがポイントになってきます。
神経筋への電気刺激を加えることで、浮腫(腫れ・むくみ)の軽減に繋がることが研究上では示されています。

これらを踏まえて、実際にご自身で行えることを5つのポイントに絞ってご紹介していきます!

関節周囲の保護

まずは、損傷してしまった靭帯組織に負担をかけないように、関節を保護するテーピングやサポーターを装着しましょう。

弾性包帯を巻いてもらう女性の足

保護することによって内出血を減らし、悪化のリスクを最小限に押さえることができます。

損傷が軽度〜中等度の場合は、テーピングを巻くことで除痛でき、ほとんど問題なく歩くことができます。

損傷が重度であった場合は、サポーターやシーネ固定(医療機関で行われる取り外しのできるギプス)をする方が良いでしょう。

荷重をかけるのが厳しい場合は、松葉杖などを使って免荷(体重がかかるのを減らすこと)しましょう。

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圧迫

内出血や腫れ(浮腫・腫脹)を防ぐために、テーピング・サポーターや弾性包帯で圧迫をしましょう。

腫れがひどくなると痛みが強くなったり、治癒まで時間が掛かったりします。

圧迫を行うと腫れや痛みの症状を最小限に抑えることが期待できるので、患部の圧迫は非常に重要です。

圧縮は、炎症過程の結果としてのさらなる浮腫(腫れ)を防ぐのに役立ち、また組織損傷の部位での出血を減らすことによっても働きます。

きつく圧迫しすぎると血流障害や神経障害を起こしますので、しびれや変色が生じたらすぐに緩めましょう。

アイシング

患部を氷で冷やして痛みを緩和させましょう。

バケツの氷水で足を冷やす男性

患部やその回りを氷で冷やすことで、痛みが軽くなり、内出血や炎症を抑えることができるからです。

最も一般的なのは、ビニール袋の中に氷を入れて患部にあてるという方法です。
その他には、アイスパックを使用したり、氷を直接当ててアイスマッサージをすることがあります。

長時間の氷の使用により、血流が過度に減少し、皮膚のやけどや神経損傷のリスクが高まると、損傷が悪化する可能性があります。

患部に氷をあてることで、ピリピリとした痛みが出てきて、やがて感覚がなくなっていきます。
約10〜15分くらい行います。冷やしすぎには注意しましょう。

☆氷で約10分冷やすことと、約10分の休息期間の組み合わせが最も効果的であるとされています。

冷やすのは、痛みに応じて2-3日ほど行うと良いでしょう。

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最適な負荷をかける

骨・腱・靭帯・筋肉はすべて、治癒を促進するためにある程度の負荷を必要とするため、最適な負荷をかけることで治癒過程を刺激します。

松葉杖の練習をするひと

最適な負荷をかけていくことは、物理的刺激を組織へ、さらには細胞・分子へ加えることによって、治癒を促すことにつながります。

また、適切な量​​の活動は、腫れ(むくみ)の管理に役立ちます。

例えば、足首では、ふくらはぎの筋肉が収縮することで、重力に逆らって体の上にむくみを移動させることができます。

また、負荷をかけていくこと・活動していく際には、痛みを最小限にすること、痛みが増加しないことが重要なポイントとなります。

エクササイズ

足首の捻挫の治療には、運動療法を使用することを支持するデータがあり、これによって再発のリスクを減らすことができます。

メリット

  • 足首の可動性を改善する
  • 足首周りの筋力を回復させる
  • 外傷後早期に固有受容感覚を回復させる
  • 痛みをガイドとして使用して、エクササイズの難易度を徐々に上げていきます。

損傷後なるべく早い段階から動かしていくことで、これらのメリットがあります。

以下で、オススメな運動をご紹介していきます!

足首のストレッチ

体重をかけながら足首を曲げることで、足首の関節の動かせる範囲を改善します。

ふくらはぎの筋肉のうち、ヒラメ筋と言われる深い部分の筋肉の柔らかさを改善します。

  • 片膝立ちの状態で棒を持ちましょう
    片膝立ちになりましょう
  • 重心を前に移動させて、膝を前に出します。
    重心を前に移動させます
  • 足首が曲がりふくらはぎにストレッチがかかります
    つま先と膝はまっすぐにします
足首のストレッチ

  1. 膝下にクッション等を敷いて、脛が垂直で膝を90度曲げる片膝立ちの姿勢をとります
  2. 前に出した足と後ろで支えている足の間隔は、骨盤と同じ幅にしましょう
  3. 棒のようなものがあれば、それをつま先のやや外側の位置に置いて支えにしましょう
  4. つま先と膝のお皿を真正面に向けたまま、膝を前に移動させます
  5. 膝が棒の外側を超えるように動かします
  6. 膝が棒の内側に入ってきたり、体幹や骨盤が傾いたりしないよう注意しましょう
  7. 10回を2セット行いましょう

※動作中に痛みを感じる場合は、姿勢や動き方が違う可能性があります。
※姿勢や動かす方向を変えても痛みが生じる場合は、エクササイズを中止し、他のものを試してみてください!

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参考文献

  1. Bleakley CM, Glasgow P, MacAuley DC: PRICE needs updating, should we call the POLICE?. British Journal of Sports Medicine. 2011 Sep 7:bjsports-2011.
  2. Glasgow P, Phillips N, Bleakley C. Optimal loading: key variables and mechanisms. British journal of sports medicine. 2015 Jan 6:bjsports-2014.
  3. Vuurberg G, Hoorntje A, Wink LM, Van Der Doelen BF: Diagnosis, treatment and prevention of ankle sprains: update of an evidence-based clinical guideline. British journal of sports medicine. 2018
  4. Brucker, P. & Kahn, K. (2006). Clinical Sports Medicine

コメント

  1. […] 足首の捻挫後に行うべき5つのこと足首(足関節)の捻挫をしてしまった後に、行なった方が良いことを5つに絞ってご紹介していきます。これまではRICE処置が一般的でしたが、現在では […]