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仙腸関節のしくみ
仙腸関節とは、骨盤の後面にある関節のことです。
からだ全体において中心位置となるため、非常に重要な部位だと考えられています。
仙腸関節は、背骨の中にある“仙骨”と、太ももの骨と股関節をなす“腸骨”で構成されています。
この関節が動くor動かないという内容は人によって考え方が違っており、やや混乱を招く領域ではありますが、基本的にはわずかに動く関節として捉えられています。
どれくらい動くかといいますと、体重がかかっていない場合は約2.5°、体重がかかっている場合は約0.2°とされています。本当に微妙な動きを行っています。
そのため、一般的に骨盤矯正で言われているような『骨盤の歪み』というのは、基本的には起こり得ないのでご安心ください。歪んでいる場合、立つことや歩くことも困難な状態であると考えられます。(痛みで困難な状態というよりも、構造的破綻が生じているために困難な状態ということです。)
また、仙腸関節の周りには強靭な靭帯が多数存在し、動きを制限してくれています。さらに、大きなお尻の筋肉にも覆われているため、非常に安定している関節でもあります。
では、なぜ仙腸関節の問題が生じてしまうのでしょうか?
仙腸関節の機能不全
機能不全とは、機能が不十分であるということを指します。
仙腸関節が問題となる理由としては、おそらく仙腸関節における動きが大きくなり過ぎているということが考えられます。
動作の中で、仙腸関節の部分を動かし過ぎているということです。
たった一回で大きな負荷が加わったことで周囲の靭帯や筋を傷めてしまうケースもあれば、慢性的に繰り返される刺激によって徐々に傷めてしまうケースの二通り存在します。
ほとんどのケースが後者に該当しており、日常的に姿勢や動き方の問題があることで仙腸関節に負担がかかっていて、ある日を境に痛みが生じてしまうことが多いです。
痛みが生じる場所は、腰やお尻(臀部)、太ももの裏面、時には太ももの前・外側にまで及ぶ可能性があります。仙腸関節に問題がある場合、ほとんどの方が腰痛や臀部痛を訴えます。
- 腰
- お尻
- 太ももの裏
- 太ももの前・外側
痛みが生じる要因
仙腸関節のしくみの部分でも解説しましたが、関節周囲は強靭な靭帯に覆われています。慢性的な刺激は靭帯を伸張させる事に繋がり、この時点で痛みが生じる場合があります。
いずれは、靭帯が弛緩(緩くなる)してしまい関節自体へ直接的に刺激を加えることになります。そのような状態になれば、いつ痛くなってもおかしくないので、「なにがきっかけで痛くなったのか分からない」ということになってしまいます。
そこまで酷い状態ではなく、周囲の筋が異常に緊張して痛みを生じさせるケースもあります。これに関しては、比較的はやく回復していくことでしょう。
- 筋肉が異常に緊張して痛くなる
- 靭帯が引き伸ばされて痛くなる
- 靭帯が弛緩して関節自体が痛くなる
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痛みが生じるメカニズム
では、どのような状態で仙腸関節の機能不全が生じるのでしょうか?
これが分かればご自身で症状の管理が可能となり、痛みが緩和していく事になるでしょう。
前傾と後傾の2つに分けてご紹介していきます。
前傾が強い場合
前傾が強いというのは、骨盤が前傾しお尻が突き出た反り腰の姿勢のことを指します。
見た目はそこまで姿勢が悪くないので、痛くなる要因が分からない方は、もしかしたらこの状態かもしれません。
この状態では、靴下を履くのが痛かったり、仰向けに寝るのが痛かったり、前屈みでの作業で痛かったりします。とにかく、脚を曲げたり、上半身を曲げたりすると痛くなってしまうのが特徴です。
脚を持ち上げる・曲げる動きでは腸骨が後ろに傾くため、仙腸関節での動きが大きすぎると靭帯が引き伸ばされて痛くなってしまいます。
また、上半身を曲げる動きでは仙骨が前に傾くため、同様に仙腸関節の動きが生じて痛くなってしまいます。
後傾が強い場合
後傾が強いというのは、背中全体が丸くなりお尻が下がっている姿勢のことを指します。
ひと目見て姿勢が悪い、ズボンが下がっているような状態です。
この状態では、座っていると痛くなってきたり、立ち上がる瞬間に痛くなったり、長時間歩くと痛くなってきたりします。
本来座っている時には、坐骨というお尻の骨の部分が座面に当たるのですが、尾骨が当たって痛いという方はこの状態かもしれません。
仙腸関節は非常に不安定な状況ですので、周囲の靭帯や筋が伸張されて痛みを発生させている可能性があります。
改善するために必要なのはトレーニング
これらの状態を改善するためには必要なのは”トレーニング”です。
想像しているような、バーベルやダンベルを使った筋力トレーニングではなく、地味なトレーニングを行うべきです。
筋肉を使う感覚を養い、日常のあらゆる動きの中で筋肉で支えることができるようにしていく必要があります。
このトレーニングが適切に行えるようにするために、マッサージやストレッチなども併用していくのが良いかもしれません。
しかし、個人差が大きい部分になりますので、今回の記事では『寝たまま行える簡単なトレーニング方法』をご紹介していきます。
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お尻上げの運動
仰向けに寝た状態でお尻を持ち上げる運動を行うことで、下腹部とお尻の筋肉を使っていきましょう!
ポイントは、腰がベッド・床から浮かせずペタッと接していることです。
からだはリラックスしながら行いましょう!
- 仰向けになって、膝を90度以上曲げます
- 下腹部を引き込むようにして、お腹を意識します
- 尾骨を天井に軽く持ち上げるようにして、お尻の筋肉に力が入ることを確認します
- 使う筋肉を意識したまま、息を吐きながらお尻を持ち上げましょう
- 10回を2セット、ゆっくりと行いましょう
※腰が反らないように注意しましょう。
※お尻を上げすぎないようにしましょう。
これのレベルアップver.として、片脚を抱えて行う方法があります。
- 仰向けになって、膝を90度以上曲げます
- 片側の足を両手で抱えて、太ももの前側をお腹にくっつけます
- もう一方の着いている足で軽く踏ん張り、息を吐きながらお尻を持ち上げます
- 膝が左右にブレないこと、腰を反らないことの2つに注意しましょう
- 各10回を2セットずつ行いましょう
※痛みのない範囲内で行いましょう
※足を両手で抱えてなくても大丈夫です。その代わりに腹筋を使う感覚が増えると思います!
なんとなく下腹部やお尻に力が入る感じがありますでしょうか?
力の入れ方が分からない場合は、足の下に5〜10cm程度の台を置いて行うと感覚が掴みやすいかもしれません。ぜひお試しください。
脚を開く運動
次に、横向きで脚を開く運動になります。片側だけに集中して行います。
特にお尻の筋肉を使う感覚が分かると良いでしょう!
- 横向きに寝て、股関節を30〜60°曲げます
- 膝関節は90°程度曲げましょう
- 足先は動かさずに、息を吐きながら上側の膝を持ち上げます
- 5〜10秒程度保持して、お尻の筋肉を使うように意識します
- 10回を2セット、ゆっくりと行いましょう
※腰が反らないように注意しましょう。
※骨盤が動かないように注意しましょう。
よくある間違いが、骨盤が回転してしまうことです。おへそは正面を向いたままで、膝だけを開くように意識しましょう。
この余分な動きを防ぐために、上側の骨盤の骨部分を手で押さえておくのも一つの手段として良いかもしれません。
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まとめ
トレーニングはうまくできましたでしょうか?
仙腸関節の問題がある場合、特に重要なのはお尻の筋肉を使う事になります。
今回は寝たまま行えるトレーニング方法をご紹介しましたが、この後に座った状態や立った状態、片脚立ちの状態でトレーニングをしていくと更に良いと考えております。
ただ、問題となる部分によって選択する種目が変わってきますので、まずは基本的な部分をしっかりとできるようになっていただけますと幸いです。
上記のことでご相談やご質問等がある場合は、お問い合わせフォームや匿名でできる質問箱などをご利用ください。
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