後脛骨筋腱の解剖学的バリエーションと機能

解剖学
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解剖学的バリエーションの臨床応用の方法

今回は、後脛骨筋腱の解剖学的バリエーションと機能を解説していきます。

後脛骨筋は、足部内側縦アーチ・横アーチの保持に働くため、足部・足関節の機能において非常に重要な役割を果たしています。

足部内側縦アーチのイラスト

足部・足関節に問題を抱えている方の多くは、後脛骨筋腱の機能不全に陥っていることが多い印象もあります。

後脛骨筋腱の付着部にバリエーションがあるということは、足部・足関節の機能においても個人差を有すると考えられます。
つまり、足部・足関節に問題を生じやすい人、または問題を生じにくい人がいるということです。

このことを臨床においても意識して介入していくことは、臨床アイデアの幅が広がり、多様な問題点を考えるきっかけとなることと思います。

後脛骨筋の解剖

後脛骨筋の起始

後脛骨筋は、膝窩筋・長趾屈筋・長母趾屈筋と同じく下腿の深層後面のグループに属します。
これらの筋は、下腿筋膜の深層上ならびに脛骨・腓骨と骨間膜の後面に起始を持ちます。

後脛骨筋・長母趾伸筋・長趾屈筋

後脛骨筋の起始部の領域は、内側部・外側部の2つの部分に分けられます。

後脛骨筋の起始

  • 内側部
    骨間膜の近接部とヒラメ筋線の下で脛骨骨体の近位2/3を覆う
  • 外側部
    腓骨骨体の内側縁の近位2/3から始まる

後脛骨筋の表層線維は、下腿筋膜の深層からも生じます。

後脛骨筋の神経・血管

深部後面の区画において、後脛骨筋は長趾屈筋の内側・長母趾屈筋の外側にあります。

それは、3つの神経血管束によってフォローされています。

神経血管束

  1. 深腓骨神経+前脛骨動脈
  2. 脛骨神経+後脛骨動脈・静脈
  3. 腓骨動脈・静脈

後脛骨筋の前面に存在する第1の神経血管束は、深腓骨神経と前脛骨動脈が含まれます。

真ん中の第2の神経血管束は、脛骨神経と後脛骨動脈と静脈からなります。

外側にある第3の神経血管束は、腓骨動脈と静脈からなります。

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後脛骨筋の機能

後脛骨筋(TP)は、足部内側縦アーチ・横アーチを支える最も重要な筋の一つになります。

足部のMP横アーチのイラスト

後脛骨筋の機能

  • 足部外反に対して後足部を安定させる
  • 足のアーチの動的なサポート
  • 横足根関節の内転

◎歩行のターミナルスタンス(TSt)において、後脛骨筋の機能により横足根関節を内転させをロックさせることで、足部は硬いレバーアームとなり推進力を生み出すことができます。

後脛骨筋の機能不全

後脛骨筋腱の機能不全 (Posterior Tibial Tendon Dysfunction: PTTD)のポイントをご紹介していきます。

PTTD

  • 持続的な痛み
  • 後足部の外反
  • 扁平足変形

◎重度のPTTDの治療では、FHLやFDLの腱を使って移植することがあります。

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後脛骨筋の走行

後脛骨筋の走行の詳細になります。

脛骨骨体遠位1/4のレベルにおいて、後脛骨筋は幅広い羽状腱を形成して狭い走行部位を下降していきます。

後脛骨筋腱の走行

長趾屈筋の深部を走行

内果の後方を回り込む

屈筋支帯の下を走行

三角靱帯の上の層を走行

後脛骨筋の腱は、長趾屈筋腱の前方および深部を走行します。
その後、腱となり内果の後方を回り込み、屈筋支帯の深層を走行します。

内果の管部の走行において、後脛骨筋腱は屈筋支帯の上縁で始まり距舟関節の高さで終わる腱鞘に囲まれています。

そして、三角靱帯の浅層を走行していきます。

後脛骨筋腱の付着部場所

参考文献を元に、後脛骨筋腱の付着部のバリエーションをご紹介していきます。

研究は17人の男性の屍体で行われた。

調査された男性の死亡時の年齢は47〜75歳(平均64.7歳)であった。

付着部は、個人間の差および個人内での左右差があります。

13の屍体(76.4%)において、両方の足のTPTの典型的な付着部位を同定した。

2つの屍体(11.8%)において、TPTが左側は舟状骨粗面にだけ付着し、右側は典型的付着部位であった。

2つの屍体(11.8%)において、TPTが両方の足ともに舟状骨粗面にだけ付着していた。

TPTの付着部

  • 舟状骨粗面
  • 内側楔状骨底面
  • 第2・3・4中足骨底面

舟状骨粗面への付着部が”メイン”となり、内側楔状骨底面と第2・3・4中足骨底面への付着は”サブ”となります。

舟状骨粗面にだけ付着している場合、内側縦アーチおよび横アーチの保持に関与しないということが考えられます。
つまり、足部を安定させるための筋機能を有していないということです。

この場合、足底腱膜炎など足部の症状がある方ですと、痛みの軽減には時間と多角的な視点からみていくことが必要となります。
『扁平足だから後脛骨筋の問題だ!』とは言い切れないですし、『後脛骨筋を鍛えれば扁平足が治る!』という訳でもないということです。
(もちろん、後脛骨筋へアプローチすることで改善することはあります。)

また、個人内でも左右差があるということから、片側にだけ症状が出てしまうのは日常生活内の問題以外に、解剖学的な問題も考えられるということです。

付着部位の確認方法の参考は、足関節底屈・内反方向への後脛骨筋による収縮・弛緩を繰り返し行い、腱を触診することでわずかに触れられる腱の張力を感じるという方法が良いでしょう。

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参考文献

  1. Anatomical Variances of the Tibialis Posterior muscle: Andrzej M. Bulandral, Ryszard Tomaszewskil, Grzegorz Bajor, Jacek Pajak,`J ORTHOP TRAUMA SURG REL RES 2 (28), 2012

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