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腰椎分離症とは
若いアスリートに生じる腰痛の約半分は『腰椎分離症』ともいわれているくらい、比較的多くの子供が抱える症状です。
背骨のうち腰の5つの骨を”腰椎”と言いますが、その内の1つか2つの骨に症状が生じます。
「分離しているのか、、、ただの腰痛でしょ?」と思われた方は要注意です!
分離という名前ではあるものの、実際は”骨折”しています。
骨折の中でも『疲労骨折』です。
疲労骨折なので一回に大きな負荷が加わって受傷するよりも、慢性的に負荷が加わり続けた結果として、疲労骨折が生じてしまいます。そのため、ものすごい痛みが生じて動けないというより、普段の痛みが強くなった程度にしか感じられないお子さんもいます。
意外と動けてしまうので大丈夫と勘違いしてしまうことも多いですが、適切な期間を安静にしていないと骨が折れたまま大人になります。
ちなみに私も小学生の頃に腰椎分離症を経験しましたが、特に処置をしたわけでも安静にしていたわけでもありませんので、今現在も骨は折れたまま、今後もずっとそのままです。(学生時代は腰痛に悩まされましたが、現在は特に症状はありません。)
その様な理由から、大人である皆様に【腰椎分離症】の正しい知識を得ていただき、お子さんが今後も楽しくスポーツ活動を送れる様にサポートしていただきたいと願っております。
そこで今回の記事では、腰椎分離症の原因メカニズムとスポーツ活動での気をつけるべきポイントを解説していきます。
腰の役割
腰は5つの骨で構成されており、骨と骨の間には椎間板がクッションの役割をしています。
後面の背中から腰・骨盤にかけては多数の筋肉が存在し、前面・側面には腹筋が存在することで、腰周りが安定することができます。
腰の動きとしては曲げ伸ばし・ひねるを行うことができますが、身体の中心部分でもあるため、腰はある程度安定させておく必要があります。(競技によっては難しい場合もあります。)
手足を除く胴体部分を体幹とするのであれば、腰椎を含む体幹部分を安定させることで、手足をよりスムーズで快適に動かすことができます。
しかし、「動きが硬い」・「力みがある」という様な状態は、体幹部分が安定していないために、手足に無理矢理力を入れて安定させていることが考えられます。
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原因
腰椎分離症の原因は、『腰を反る+ひねる動きが過剰』であることが考えられています。
腰は、上下の骨によって関節が構成されています。
腰を曲げる際には関節が離れる動きになりますが、腰を反る動きの際は関節が狭くなる動きになります。
つまり、腰を反りすぎていると、骨と骨がぶつかってしまうことになります。
さらに重要なことは、腰は曲げ伸ばしの動きは大きく行えるのですが、ひねり(回旋)の動きは5〜10°程度しか行えません。過度にひねる動きを行うと、骨と骨がぶつかり、関節には大きなダメージが加わります。
この様なことから、腰を過度に反る+過度にひねる動きが繰り返されると、腰が疲労骨折してしまうのです。
どうしてもこの動きが多い体操やフィギュアスケート、テニス、バレーボール、サッカー、野球などの種目においては、腰椎分離症を引き起こしてしまいやすいです。
しかし、同じ学年・チーム内で疲労骨折が起こってしまう子と、何もない生じない子います。
この違いは『身体の動かし方』にあります。
普段から腰を反る姿勢の癖であったり、動く時にお尻をプリプリと横に振る癖があったり、身体をひねる時に肩甲骨や胸の部分をひねらずに腰をひねってしまうなど多くの要因が考えられます。
症状
症状としては、動いた時に感じる腰痛や運動後の腰痛がメインです。
痛みの範囲は、腰に絞られていることもあれば、腰からお尻・太ももの付け根辺りまで広範囲に及ぶ可能性もあります。
痛みの程度は、軽く痛みがある、運動後は痛いけど徐々に落ち着く程度から、激しい痛みがあり日常生活でも支障が生じる程度までさまざまです。
これは、腰椎分離症の程度に必ず相関するわけではなく、日頃から腰にかかるストレスの程度に関係していると考えられます。
動きとしては、曲げる動きに問題がなくても、腰を反ったりひねると痛みが生じます。痛みが強く、腰回りの筋肉の緊張が一時的に高くなっていると、腰を曲げる時にも痛みが生じます。
- 運動時の痛み
- 運動後の痛み
- 片側or両側の腰の痛み
- 腰からお尻・太ももの痛み
- 腰を反る・ひねると痛みが生じる
このような症状の他に、腰の背骨の出っ張っている部分を押すと痛みが生じたり、腰の筋肉を押すと痛みが生じることもあります。
腰を反っている姿勢の癖がある場合、立っているだけで痛かったり、歩くと腰が反ってしまうために痛みが生じることもあります。
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日常生活・スポーツ中に気をつけるべきポイント
腰痛がある場合は、整形外科へ受診することを強くオススメします。
レントゲン・MRI・CTなどから、現在の状況を正しく把握する必要があります。
コルセットを装着して安静にする時期
腰椎分離症と診断されてからは、硬いコルセットの装着が行われると思います。お風呂や着替えの時に外すくらいにして、なるべく装着する時間は長くしましょう。
とにかく、受傷後は”適度な安静”にしておくことが肝心です。
以前から症状があった場合は、コルセットを装着するべき期間が過ぎ去った可能性があります。柔らかいコルセットの装着で、日常的に腰を守ってあげるくらいのものになるかもしれません。
この時期から、リハビリテーション(リハビリ)は行いましょう。
腰椎分離症になってしまう原因として、腰を反ってしまう、ひねってしまう癖を改善しなければいけません。コルセットが外れてからではなく、コルセットをしている間から、なるべく良い身体の状態にしておくことが重要です。
少しずつ動かし始める時期
コルセットを外して動いていく時期になると、今まで支えられていた物がなくなってしまうため、身体は非常に不安定になります。
疲労骨折の部分が治ってくるタイミングになりますので、過度に動かさず、少しずつ腰を含めた背中全体の動きを行っていきます。
普段の姿勢が悪い場合は、気になるときだけではコルセットを装着しておいた方が良いかもしれません。
スポーツへ復帰していく時期
徐々に動かせる範囲が増えてきたタイミングで、スポーツへの復帰が許可されることでしょう。
この時なって、もともと持っている身体の動き方の癖をようやく確認できます。
「痛みがなくなったから」、「コルセットが外れたから」、といって何もしなければ、再び腰を痛めてしまいます。さらに今まで十分に動けていないので、筋力も低下しています。
ここからが、スポーツへ完全に復帰していく重要な時期になります。
股関節や胸・肩周りと腰をどのような関係で動かしていくのか、身体で覚えていく必要があるからです。それに伴い、腹筋・背筋のバランスを改善していく必要もあります。
まとめ
腰椎分離症になってしまったお子さんの身体は成長途中です。
骨や筋肉も未熟であるので、将来トップアスリート・プロへの道を目指すのであれば、この時期は身体の基礎的な部分が非常に大切です。焦って競技に復帰したところで、将来的に良い結果を出せるはずがありません。
また、試合が近いから、大会が近いから、といって復帰を急がせている親御さんにも出逢います。お子さんのことを考えれば、試合よりも身体の状態・精神的状態に寄り添ってあげることの方が大切です。
何よりもご両親のご理解、ご協力が必要な状態です。
怪我をされてしまったお子さんは、自分の身体を適切に管理できません。今は治す時期と割り切って、長いスパンで身体のベースを底上げしていき、将来的に活躍できるようにサポートしてあげることが必要なタイミングだということをご理解いただければ幸いです。
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