反る・捻る動きでの腰痛!
腰の関節と腰椎すべり症・脊柱管狭窄症

一般の方向け記事

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腰の関節のしくみ

5つの腰椎のそれぞれの間に椎間板が存在し、上下の腰椎によって関節が構成されます。
これを椎間関節といいます。

左右にそれぞれ椎間関節が存在してことで、腰の曲げ伸ばしや捻る動きが可能となります。

椎間関節は脊柱の後方部分を支持しており、関節の中は滑膜という膜によって覆われています。
その外側を、さらに関節包というものによって覆われています。

関節包はコラーゲン線維の袋のようなものであり、この内側の部分から滑液とよばれる潤滑油が分泌され、関節の動きを滑らかにするよう働きかけます。

また、この関節包の奥深くでは、軟骨の端の部分にも付着します。

軟骨は、上下の腰椎によって構成される関節の面にあり、骨同士がぶつからないようにクッションの役割を果たしています。

腰椎のそれぞれの間から神経が通過しており、この神経は腰や下半身に向かって伸びていき、表面の感覚を感じることや筋肉を活動させることに作用します。

椎間関節性疼痛

腰を後ろに反る(腰椎伸展)動作では、腰椎の関節の間が狭くなり、関節包が挟み込まれてしまいます。
この時、上部には大きな張力がかかります。

一方で、腰を前に曲げる(腰椎屈曲)動作では、関節包の張力は顕著にはみられません。
これらのことから、「腰を曲げても痛くないが反ると痛い」という症状を呈するのが、椎間関節が由来となる痛みです。

痛みを感じるのはなぜ?

椎間関節とその周囲の組織には、神経が豊富に分布しているため、感覚がとても鋭いです。
また、関節包の部分にも痛みを感知する受容器がたくさんあります。

そのため、椎間関節は周囲の筋・腱・靭帯などの組織に比べ、痛みの発生源になりやすく、鋭い痛みを感じることになります。

急性期の炎症の症状は、痛みを感知するこれらの受容器の閾値を下げます。

通常は明らかに有害な刺激だけに反応し、痛みを発生させますが、痛みに対する閾値が下がることで、より弱い刺激に対しても反応するということです。

痛みの原因

椎間関節にかかる負担が増加する原因は、腰を反る・捻る動きになります。

反る・捻る動きを頻回に繰り返すことで、まず椎間板の厚さが減少していきます。
これには加齢も伴いますが、多くは腰の動きによって変わってきます。

椎間板が狭くなることで、腰を反る・捻る動きの際に椎間関節へかかる負担が増加していきます。

やがて、椎間板や軟骨によるクッションがなくなるため、骨に衝撃が加わることで腰の動きは非常に不安定になってしまいます。

これを安定させるために、”骨を過剰に作る”よう身体の中で勝手にはたらきかけます。

これが棘のようになってしまい(骨棘こつきょく)、関節を覆う関節包や腰椎の間を通過する神経に悪影響を及ぼすため、痛みを生じさせます。

この過程をまとめると以下のようになります。

痛みが生じる過程

腰を反る・捻る動きを繰り返す

椎間板の厚さが減少

軟骨のクッション機能が低下

骨棘が形成される

関節包や神経に刺激を加える

痛み

症状

腰部の局部的な痛み、あるいは、周辺の痛みが生じます。
時には、殿部へ痛みが広がることもあります。

痛みが生じる動き

  • 腰を反る動き
  • 腰を捻る動き
  • この2つの動きを混ぜた時

これらの動きをした際に、痛みや痺れの症状が生じます。

また、悪化すると状態が変化していきます。

骨棘が腰の間を通る神経に悪影響を及ぼす場合、下半身の痺れの症状を引き起こします。

それは、立っていたり歩いていたりするときに症状がみられ、安静にしていると落ち着きます。
これは、脊柱管狭窄症の症状になります。

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腰椎すべり症

壮年期において、椎間板の変形による『腰椎変性すべり症』が起こることがあります。
変性すべり症は閉経後の女性に多く、女性ホルモンの減少による骨粗鬆症によって骨が体重を支えきれなくなることも原因のひとつとされています。

発育期においては、腰の前後屈や回旋を繰り返し行うことで、『腰椎分離症』という腰椎の後ろ部分に亀裂が入る疲労骨折が生じてしまいます。

これは、腰椎をコントロールできず非常に不安定な中高生になりやすく、やがて『腰椎分離すべり症』に進行していきます。

症状

腰を反る・捻ることにより、腰の痛みが強く出現します。

神経が圧迫される場合は、お尻や太腿の痛みやしびれなどの神経症状がみられることがあります。

治療

スポーツ活動は中止し、腰を反ったり捻ってしまう原因をみつけ、その部位に対するストレッチやトレーニングで改善していきます。

コルセットを装着し、痛みが強い場合は鎮痛剤の投与や神経のブロック注射などを行います。

脊柱管狭窄症

加齢や動作などにより椎間板や椎間関節が変形し、脊髄の神経が通る管(脊柱管)を圧迫することで、腰や脚に痛みや痺れが出ます。

症状

腰を反る・捻ることで脊柱管は狭くなるので、立っている姿勢を保持することや歩くときに腰が反ると痛みや痺れが出ます。

前かがみになったり、腰かけたりと安静にすることで症状は軽減されることがあります。

進行すると、下肢の筋力低下や、排尿・排便障害を認めることもあります。

治療

脊柱管の圧迫を軽減するために、腰を反ったり捻ってしまう原因をストレッチやトレーニングで改善していきます。

状態がよくない場合、コルセットを装着したり、痛み止めの服用や神経のブロック注射で症状を軽減させます。

症状が続くような場合は、神経の圧迫を除去する手術や固定術が行われます。

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痛みを軽減させるために必要なこと?

腰の動きが大きくなってしまうのは、股関節や胸周り・肩甲骨の動きが関係しています。

足を後ろに伸ばしていく動き(股関節伸展)や胸を張る・みぞおちから上を捻る動き(胸郭伸展・回旋)が悪くなってしまうことで、その足りない分を無理に腰から動かしてしまうことが原因となりやすいです。

また、腹筋の筋力がそもそも弱かったり、骨盤の動きをうまくコントロールできないこともあります。

そのため、腰椎や骨盤の動きをコントロールするためのトレーニングをしていく必要があるかもしれません。

股関節と胸郭のストレッチ方法

腰を反ったり捻ったりしすぎないようにするためには、胸方周りを捻る動きと股関節の動きを改善していく必要があることが多いです。

その動きを同時に行なう、時間短縮・効率の良いストレッチ方法をご紹介していきます!

  • 右側を上に横向きで寝ます。枕はあってもなくてもどちらでも大丈夫です。
    右側を上に横向きで寝ます
  • 右手で左足・左手で右足を持ちます。手と足はクロスするように対角線上になります。
    右手で左足・左手で右足を持ちます
  • 左膝を曲げていき、右肩を開いていきましょう。
    左膝を曲げ、右肩を開きます
ストレッチ方法

ここでは右肩を上にした横向きの状態で説明します

  1. 横向きで寝て、右の股関節を90度曲げます
  2. 右膝を左手で上から抑えます
  3. 左膝を曲げて、右手で持ちます
  4. 身体の軸よりも左膝が後ろにいくように、右手で引っ張ります
  5. 右の肩甲骨が床あるいはベッドにつくよう、上半身を捻ります
  6. 可能な範囲まで捻ったところで深く息を吸い、息を吐く時にさらに上半身を捻ります
  7. 深呼吸を5回ずつ繰り返し、左右それぞれ2セット行いましょう

※動作中に痛みを感じる場合は、姿勢や動き方が違う可能性があります。
※姿勢や動かす方向を変えても痛みが生じる場合は、エクササイズを中止し、他のものを試してみてください!

コメント

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