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変形性膝関節症とは
変形性膝関節症は、骨の表面の関節軟骨が様々な原因で擦り減ってしまうことで痛みや腫れが生じ、進行すると関節の変形が生じる病気です。
膝周りの痛みを放っておくと痛みが悪化したり、変形が進んでしまいます。だんだんと椅子からの立ち上がり動作や、歩行に問題が生じる可能性が高くなっていきます。骨・関節の変形は日常生活レベルでも徐々に進行していき、骨の状態・関節の状態は悪くなっていくということです。
変形性膝関節症は主に3つの段階に分類されます。
朝起きて膝を動かす時、固まっている感じがする。
2. 中期症状:歩く時に痛みがある。階段を上り下りする時、膝が痛くて踏ん張れない。
3. 末期症状:変形が悪化して、膝が完全に真っ直ぐ伸びない。曲げる動きも制限がある。
変形と痛みの症状に関しては、非常に個人差があります。
変形が酷くても痛みがない場合もありますが、変形がそこまで進行していなくても痛みが強い場合があります。
つまり、変形性膝関節症だからといっても痛みが必ず生じるわけではありません。
ただ、膝が変形しているということは、『膝には何かしらのストレスが加わっている』ということは確かであると考えられます。
変形性膝関節症は、病院の整形外科においてレントゲン画像の情報をもとに診断されます。
そこでは多くの方が、医師に「太ももの前の筋肉、“大腿四頭筋”を鍛えなさい。」と言われたことがあるかと思います。
大腿四頭筋を鍛えることは悪いことではありませんが、症状を改善するために全ての変形性膝関節症と診断された方が鍛える必要があるとは言い切れません。
大腿四頭筋を鍛えることで痛みなどの症状が緩和することもあれば、そうでないこともあります。効果的である場合もあれば、逆効果であることもあります。
今回の記事では、『本当に大腿四頭筋を鍛える必要があるのか』、『大腿四頭筋のトレーニングは変形性膝関節にとって効果的なのか』について詳しくお伝えしていきます。
大腿四頭筋について
太ももの前面を覆っているのは、大腿四頭筋と言われる筋肉です。
膝を伸ばすときに働いたり、身体にブレーキをかけたりする時に働く筋肉になります。
また、椅子・床から立ち上がる動作や、階段を登る・降りる動作では非常に重要な筋肉となります。
大腿“四”頭筋というのは総称で、細かく分けると大腿直筋・内側広筋・外側広筋・中間広筋という4つの筋肉になります。
名前の特徴からすると、『大腿直筋』と『内側広筋・外側広筋・中間広筋』の2つに大別することができます。後者はまとめて『広筋群』と呼ぶことにしましょう。
大腿直筋は太ももの付け根・鼠径部から膝のお皿にかけて存在する筋肉であり、太もも前に力を入れた時には、太ももの真ん中より上半分に筋肉の収縮を感じます。広筋群に力が入っている時は、太ももの真ん中より下半分に収縮を感じます。
この2つの区分は名前だけで分けているのではありません。大腿直筋は膝関節の動きだけではなく股関節の動きにも関与します。広筋群は、膝関節の動きのみに作用します。
大腿四頭筋の作用
大腿四頭筋の主な作用は膝関節伸展(膝を伸ばす動き)になります。
広筋群は膝関節伸展のみに作用しますが、大腿直筋は膝関節伸展の他に、股関節屈曲(股関節を曲げる・太ももを引き上げる)にも作用しています。
股関節を曲げるということは、反対に骨盤を前傾させる作用ともいえます。骨盤を前傾させる動きは、腰椎伸展(反り腰)とも関係しています。
このように、大腿直筋は膝関節だけではなく、股関節・骨盤への影響も大きいです。身体を動かすには非常に効率の良い筋肉ですので、過剰に緊張していたり硬くなりやすい筋肉でもあります。
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大腿四頭筋トレーニングは良いor悪い
悪い場合
大腿直筋は股関節・膝関節と2つの関節の動きを制御していることから、ブラック企業と言わんばかりに非常に働き者になりやすいです。その結果、筋肉の柔軟性が欠如し硬くなり、膝の関節やお皿周りの痛みを引き起こす可能性があります。
粗大な動作では力強く発揮してくれ、いろんな場面で助けてくれることもありますが、日常生活レベルでは必要となる場面は少ない筋肉です。
このような状態で大腿四頭筋のトレーニングを行うと、必ずと言って良いほど大腿直筋に力が入ってしまいます。太もも前の真ん中より上半分に力が入っていることが多いです。場合によっては、膝周囲や鼠径部に痛みが生じることもあります。この状況においては、鍛えることが良いとは言えません。
良い場合
広筋群は膝関節単独の動きを制御するため、膝関節を安定させることだけに集中できます。そのため、大腿直筋よりも効果的に膝に対して関与しています。大腿直筋が働きすぎてしまうと、広筋群の出番が少なくなってしまいます。そうなると、広筋群は萎縮(筋肉が少なくなり縮こまる)してしまい、より一層力を発揮できない状況となります。
この場合、大腿四頭筋のトレーニングを行い、太もも前の下半分に力が入っている感じがするのであれば、非常に効果的なものであると考えられます。ここで重要なのは、いかに大腿直筋を使わずに広筋群を使うかというポイントです。
また、広筋群の内側と外側のバランス、つまり内側広筋と外側広筋の筋力のバランスも大切です。
外側広筋だけが頑張っていると、膝のお皿の動きが外側に引っ張られてしまい、お皿周りの痛みを引き起こすことがあります。膝関節にかかる衝撃も、内側と外側の差が生じてしまうこととなります。
このような場合だと、内側広筋をメインで使うようなトレーニングした方が良いということになります。太ももの下半分に力が入っている上で、さらに外側と内側を比べた時に、内側の方に力が入っているのことが大切になります。
トレーニング方法に関しては、一概にこれが良い!オススメ!とは言えません。実際の力の入り方・動き方を確認した上で修正方法をお伝えすることが可能なため、全ての方に同様の効果が期待できるものは中々ないのが正直なところです。
大腿四頭筋以外を鍛えた方が良い場合もある
大腿四頭筋を鍛える・鍛えないという話の前に、そもそも大腿四頭筋以外の筋肉の方が重要度・緊急性が高い場合があります。
太もも裏の筋肉(ハムストリングス)やお尻の筋肉(臀筋群)、内ももの筋肉(内転筋群)などです。これらの筋肉のどこかが弱かったり、あるいは過剰に緊張しすぎることで、大腿四頭筋に対して悪影響を及ぼしている可能性もあります。
その状況の中で大腿四頭筋を鍛えたところで、効果はほとんど乏しいのです。「太ももの筋肉を鍛えているのに、ちっとも効果を感じない」という方も多くいらっしゃいますが、そのほとんどが大腿四頭筋以外の部分の問題・影響が強いためです。視点を変えて、方法を変えて、問題となる部分にキチンと向き合うことが大切になります。
例えば、階段を上がったり下りたりするような脚で踏ん張る・力を入れる動作の際、大腿四頭筋だけに力が入っているのではありません。同時にハムストリングスや臀筋群・内転筋群も活動しています。本来であれば、大腿四頭筋・ハムストリングス・臀筋群・内転筋群でそれぞれ25%ずつ負荷を分散するべきところを、大腿四頭筋50%・ハムストリングス10%・臀筋群20%・内転筋群20%となっていれば、膝関節にかかる負担が変わってくることはお分かりいただけるのではないでしょうか。この時、まずはハムストリングスを主に使うトレーニングから行うべきであるといえます。
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まとめ
今回の記事は、変形性膝関節症と大腿四頭筋というテーマで記載してきましたが、決して変形性膝関節症だけに当てはまるわけれはありません。それ以外の膝関節の問題にも大きく関与してきます。
膝の内側が痛くなってしまう鵞足炎、膝の外側が痛くなってしまう腸脛靭帯炎、太もも裏の肉離れなど、ここまで記載してきた内容・考え方は全てに当てはまることだと考えています。
トレーニングをすること自体は悪いことではありませんが、痛みや身体機能面を考慮した上で行うことが大切です。それには、姿勢や動作から各関節の動き・筋力などを評価した上で、お身体の特徴を考慮して行う必要性があるのだと考えています。
お身体のことでご相談やご質問等がある場合は、お問い合わせフォームや匿名でできる質問箱などをご利用ください。
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