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屈曲型腰痛とは
屈曲型腰痛とは、身体を前方に曲げる姿勢や動作で疼痛が生じるタイプの腰痛のことです。
分かりやすいのは前屈動作、中腰姿勢などです。
その他にも、椅子に座る、靴下を履く、長時間の座位保持などの姿勢・動作が考えられます。

反対方向の動き、腰を伸ばす・反らす動作で疼痛が緩和することも特徴です。
痛みの原因組織は、腰部の筋・筋膜、椎間板、関節包、椎間関節などが考えられます。
これら原因組織をどのように鑑別して評価を進めていくのか、
どのような評価を組み合わせれば論理的に解釈をすることができるのか、
この2つに焦点をあてて、評価手順をまとめて行きます。
屈曲動作に対する評価手順
評価を行う上で、まず自動運動を確認し、その後に他動運動を行うのがルールです。
そして、立位→座位→臥位というように、徐々に肢位を変化させていきます。
肢位を変化させることで、腰部に関係する他部位の要素を減らすことができます。
以下、脊柱屈曲動作の評価の流れです。
②座位脊柱屈曲
③正座脊柱屈曲
④背臥位腰椎屈曲
まずはじめに、①立位前屈を確認していきます。その上で、②座位脊柱屈曲を評価するように、①から④へと進めていきます。病態鑑別手順として考えた場合、疼痛がない時はそこで評価を中断しても良いです。
前屈の動作機能不全に対する評価手順や解釈方法に関しては、こちらの記事をご参照ください。
ここでの解釈を、疼痛の有無でパターン分けして考えます。
①疼痛あり②疼痛なしの場合
・足関節・足部の機能不全
・ハムストリングや腓腹筋など下肢後面の伸張性低下
①疼痛あり②疼痛ありの場合
・股関節屈曲の機能不全
②疼痛あり③疼痛なしの場合
②疼痛あり③疼痛ありの場合
③疼痛あり④疼痛なしの場合
③疼痛あり④疼痛ありの場合
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評価に対する解釈方法
②疼痛の有無による解釈の違い
②疼痛なしであれば、疼痛の要因は腰部の機能不全である可能性が大きく減るため、腰部に対する評価よりも他部位の評価を進めることが重要となります。
②疼痛がある場合は、正座脊柱屈曲 or 背臥位腰椎屈曲の評価へと進める必要があります。
座位脊柱屈曲では、腰椎と股関節の機能不全が両方影響すると考えられるためです。
③疼痛の有無による解釈の違い
③疼痛なしの場合、脊柱屈曲の運動は問題なく行えるということになり、それ以降の評価をする必要がなくなります。
③疼痛ありの場合、脊柱屈曲、特に腰椎屈曲の問題があると考えられます。正座での評価により、どの分節が屈曲し、どの分節が屈曲していないか触診することができます。
④疼痛の有無による解釈の違い
④の評価は、これまでの評価と違い他動運動の評価になります。
両股関節屈曲最終域まで動かし、骨盤後傾させて腰椎を屈曲するまでオーバープレッシャーを加える操作方法です。
④疼痛なしの場合、腰椎屈曲の可能性は確保されているため、主に運動制御の機能不全と解釈することができます。
④疼痛ありの場合、腰椎屈曲の可動性の機能不全があると考えられるため、後述する評価を組み合わせて解釈する必要があります。
④疼痛あるが数回繰り返すと徐々に痛みが緩和する場合、腰椎屈曲の可動性は確保されていると考えられます。
これは疼痛なしと同様に、運動制御の問題である可能性が高くなりますが、念のため細かい評価をするべきでしょう。
時間がなければ区切っても良いレベルなので、股関節屈曲の機能不全に着目した方が良いかもしれません。
腰部屈曲に対する評価手順と解釈
上記の評価途中において徒手的に動作をアシストすることで、筋筋膜性なのか椎間板・椎間関節性なのかを鑑別する判断材料となります。
注意点としては、明確に鑑別できるわけではなく、「示唆される程度である」ということを念頭において考える必要があるということです。
SNAGSを用いた評価
②座位脊柱屈曲の動作で疼痛が生じる場合、患者の腰椎棘突起を把持して動作を行います(SNAGS:Sustained Natural Apophyseal Glides)。
例えば、L4/5の分節において、屈曲動作に併せてL4棘突起を前上方へ誘導することで疼痛が減る可能性があります。この場合、棘突起を誘導することで椎間板に加わる圧縮力が減るためと考えられます。つまり、椎間板由来の疼痛と考えることができます。
椎間板性を疑う場合
椎間板性疼痛を疑う場合、座位で脊柱へ圧縮力を加える『Compression Test』を行います。
座位保持で疼痛誘発される場合、屈曲動作を行う前にCompression Testから始めても良いかもしれません。
解釈は簡単で、疼痛が再現される場合は椎間板性、疼痛が軽減する場合は筋筋膜性を疑います。
試験的治療:Traction Mobilization
椎間板性が疑われる場合、『Traction Mobilization』の試験的治療を実施して、再評価を行います。
脊柱屈曲動作、座位保持、Compression Testを実施して疼痛が減少していれば、より椎間板性疼痛の疑いが強くなり、治療介入ポイントが明確になります。
筋筋膜性を疑う場合
SNAGSによる棘突起の誘導で疼痛が減少しない場合、椎間板性疼痛をRule-Outして、筋筋膜性疼痛を疑います。
さらに評価を進めていく場合、筋の圧痛、筋緊張、筋膨隆、筋の硬さ、伸張性(PLF:Posterior Lumbar Flexibility)を評価して、筋筋膜性疼痛へRule-Inしていきます。
・筋緊張
・筋膨隆
・筋の硬さ
・筋の伸張性制限
屈曲+回旋型の場合
屈曲動作だけではなく回旋動作でも疼痛が生じる場合は、若干解釈の仕方を変える必要があります。
屈曲動作に加えて、回旋動作に対してもSNAGSを行います。
疼痛が緩和する場合は、椎間板性だけではなく椎間関節性も疑います。
屈曲動作に伴い椎間関節が開き、回旋動作では“片側”の椎間関節が開きます。
椎間関節を覆う靱帯や関節包が伸張されることでも疼痛が生じるため、椎間関節の可動性の機能不全が疼痛由来と考えることもできます。
この場合、腰椎椎間関節の可動性を評価します。細かい手順は、こちらの記事をご参照ください。
その上で、さらに椎間関節への試験的治療を行い、再評価をして疼痛が減少するのであれば、椎間関節性由来の可能性が高くなります。
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まとめ
ここまでが、屈曲型腰痛に対する評価手順と解釈になります。
屈曲動作から疼痛原因組織を鑑別するためには必要な考え方です。
まずはしっかりと腰部周囲組織の筋・筋膜、椎間板、椎間関節を考えていきましょう。
その上で、臀部痛や下肢痛がある場合は、仙腸関節、腰部神経根、坐骨神経、殿皮神経を考慮していきます。
それぞれの病態と評価テストまとめに関して、以下にリンクを掲載しておきますので、ぜひご参照ください。









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