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顎関節症の評価
今回の記事では、顎関節症の評価方法をご紹介していきます。
まず、顎関節症の可能性が高いのか、そうではないのかを鑑別する必要があります。
顎関節症と鑑別するべき疾患・障害は、感染症・炎症症状・代謝性疾患や自己免疫疾患になります。口が全く開かないということはありません。基準としては”2~2.5横指”開口することがポイントです。それ以外の場合は、上記の疾患の可能性があります。
その他には、顎関節部や咀嚼筋部の腫脹や安静時痛、発熱している場合や他の関節部位に症状が生じている場合も同様に、顎関節症ではない可能性があります。
これらの症状がないことを踏まえた上で、以下の評価を進めていきましょう!
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問診
『現在の症状がいつから生じているか?』『どのような痛みを生じているか?』を確認しましょう。
次に、内科系疾患、整形疾患、精神科疾患、歯科疾患などの既往歴の有無を確認しましょう。
特に整形疾患がある場合、どのような順番で疼痛が生じているか、時系列を追って評価していくと良いでしょう。特に、頸部・肩甲帯、肩関節、腰部周辺の痛みには関連がある可能性が高いです。時には下肢も影響するかもしれません。
これらを考慮して、顎関節周辺の痛みが、”上行性”によるものか、”下行性”によるものかを判断していくと良いでしょう。
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触診
まず、顎関節の位置を確認しましょう。
顎関節は外耳道の約1横指前方に位置しているため、その部分を触診した上で開口してもらい、位置を特定します。
開口開始時の下顎頭の滑走開始のタイミングを評価します。この時、左右差を確認すると良いでしょう。
次に、最大開口時の左右の下顎頭の移動量を評価します。動きの左右バランスや、回転・滑走運動のタイミング、End feelを確認しましょう。
クッリク音(弾發音)やクレピタス音(摩擦音)などが確認される場合、その音が発生するタイミングも評価しましょう。
可動性
顎関節の自動運動を評価します。
開口・閉口、側方運動、前突・後退などの動きの量、左右対称性、疼痛の有無を評価しましょう。
- 開口
- 閉口
- 側方運動
- 前突
- 後退
開口の運動量は約3横指、側方運動は約1横指が基準になります。
開口に動きの制限がある場合、3つのことが考えられます。
- 咀嚼筋障害
- 顎関節性開口障害
- 関節円板性開口障害
①の場合、咀嚼筋の筋緊張が高くなっており、筋の圧痛が確認されます。筋性の問題であるため、End feelはsoft(柔らかい)であることが特徴です。
②の場合、顎関節での問題が考えられます。関節部分での疼痛が確認されます。③の場合だと、開口時のロッキングが生じてしまいます。
これら2つのEnd feelはFirm〜Hardになります。Frimであれば関節包の可能性が高いため対処可能な場合がありますが、Hardの場合は歯科領域の問題である可能性が高いです。
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疼痛
顎関節部分およびその周辺の安静時痛、運動時痛、圧痛を評価します。
圧痛の評価結果によっては、咀嚼筋による疼痛なのか、顎関節部分の疼痛なのかを鑑別することもできます。
- 側頭筋
- 咬筋
- 下顎頭
※側頭筋・咬筋は、前・中・後部線維に分けて、それぞれ上・中・下の3箇所を評価します
痛みが局所的に生じているのか、筋の関連痛によるものか、あるいは日内変動があるかを評価しましょう。
日内変動から考えられることは以下のことです。
夕方から痛みが増強
→日中の上下歯が接触している時間が長い
朝方に痛みが増強
→夜間の食いしばり・歯ぎしり
『日中の上下歯が接触している時間が長い』というのは、日中に食いしばっている時間が長いということです。
基本的に、咀嚼時以外は上下の歯が触れ合うことがないのが正常です。ストレスを感じていたり、癖であったり、あるいは頭頸部の安定性を高めるために噛む・食いしばる時間が生じると、それによって顎関節へストレスを加えてしまいます。
姿勢
姿勢が顎関節に及ぼす影響も考えられますので、その部分の評価を考えていきます。
特にこの分野は、私たちが得意としている部分だと思います。
まずは、頭頸部の側屈・回旋・前後屈のアライメント評価を行いましょう。
この他に顔面の非対称性も見ると良いでしょう。目の位置や口角の左右差などは、頭頸部のアライメントに影響すると考えられます。
例えば、左の目の位置が高くなっていると、平行にしようとして頭頸部の左側屈で代償する可能性があります。
この他に、脊柱(胸椎・腰椎)のアライメント、側弯の有無、円背や脚長差も評価していきましょう。
脚長差がある場合、片側の骨盤挙上による代償で、脊柱の側弯が伴う可能性があるためです。
特に胸椎の後弯が増強し、頭部前方位のアライメントになっている場合、開口に作用する筋が伸張されて下顎が後下方へ引っ張られます。これによって噛み合わせに変化が生じ、顎関節症を引き起こす可能性が高くなります。
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まとめ
顎関節といっても、頭部・脊柱・骨盤・下肢機能の影響を受けることが考えられるため、理学療法士として介入できる部分が大きいのではないかと考えられます。
姿勢の部分からの影響は考えられますが、これが必ずしも痛みに繋がるわけではありません。
そのため、既往歴などの確認、可動性や圧痛所見など、多角的に評価していくことが大切だと考えられます。
咀嚼筋障害の場合では、顎関節周囲の筋収縮を促すよりもリラクセーションを行う方が良いと考えられます。
日常生活の中で、上下の歯の位置関係・舌のアライメントを意識することも重要です!
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