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胸椎
専門家の方々が、胸椎の評価や介入を行うことは多いかと思います。
スマートフォンの普及により不良姿勢の方々が増えており、小さい子供の姿勢も悪いような印象を受けます。特に、仕事が主にデスクワークの場合は、胸郭の動きに制限が見られる場合が多いです。
『胸椎の動きが悪い』→『胸椎を動かそう!』と胸椎のモビライゼーションを行う前に、少し考えてみて欲しいポイントがあります。
ついつい見落としがちなポイントになりますので、今回の記事をぜひ参考にしてみてください!
胸郭
胸椎は、胸郭の一部分にあたります。
胸郭は、胸椎・肋骨・胸骨によって構成されており、呼吸運動にも大きく影響してきます。
今回は、胸椎と肋骨について解説していきます!
胸椎
分節ごとに3次元的な動きを示し、屈曲・伸展・回旋・側屈とあらゆる方向へと動く特徴があります。
ここでは、上位胸椎(Th1〜Th6)と下位胸椎(Th6〜Th12)と分類させていただきます。
胸椎全体のなかでも、特に上位胸椎では屈曲・伸展の動きは少なく、回旋の動きが大きい特徴があります。反対に下位胸椎では屈曲・伸展の動きが大きく、回旋の動きが少ない特徴があります。
頸椎・腰椎の間に存在している胸椎は、可動性に制限が生じている場合、頸部痛・腰痛に関与していることが考えられます。
肋骨
肋骨は、胸郭前面に存在する胸骨と『胸肋関節』を構成しています。
反対に、胸郭後面では、胸椎と『肋椎関節』・『肋横突関節』を構成しています。
肋骨の前面に、大胸筋・小胸筋や腹筋群が付着してることは非常に重要なポイントとなります。
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胸椎椎間関節と肋骨の動き
胸椎は、上位椎体の下関節突起と、下位椎体の上関節突起によって、胸椎椎間関節を構成しています。
屈曲・伸展・回旋・側屈に伴った、椎間関節とそれに付随する肋骨の動きを解説していきます。
屈曲
上位椎体が下位椎体に対して屈曲します。
屈曲に伴い、上位椎体の下関節突起が上方、わずかに前方へ滑ります。
このとき、肋骨は前方回旋の動きを呈します。
伸展
上位椎体が下位椎体に対して伸展します。
伸展に伴い、上位椎体の下関節突起が下方、わずかに後方へ滑ります。
このとき、肋骨は後方回旋の動きを呈します。
回旋
上位椎体が下位椎体に対して回旋します。
上位椎体が椎間関節の方向性に自由に従う場合、同側側屈を伴います。
また、下位椎体に対して、上位椎体がわずかに反対側へ側方変位するように動きます。
つまり、右回旋の場合、上位椎体の右下関節突起は下方わずかに後方へ滑り、左下関節突起は上方わずかに前方へ滑ります。
このとき、上位椎体の左右下関節突起がわずかに左へ側方変位するということです。
関節運動学に伴う前後方への滑りは、前額面のFacetの傾斜量や方向に依存しますので、個人差があります。
右回旋の場合、右肋骨は後方回旋、左肋骨は前方回旋へ動きます。
側屈
上位椎体が下位椎体に対して側屈します。
上位椎体が椎間関節の方向性に自由に従う場合、同側回旋を伴います。
右側屈の場合、上位椎体の右下関節突起は、下方わずかに後方へ滑り、左下関節突起は上方わずかに前方へ滑ります。
関節運動学に伴う前後方への滑りは、前額面のFacetの傾斜量や方向に依存しますので、個人差があります。
右側屈の場合、右肋骨は後方回旋、左肋骨は前方回旋へ動きます。
胸椎の評価や介入の前に行うべき2つのポイント
胸椎の評価や介入を行う前に考慮するべきなのが”胸郭前面”の問題になります。
KyphosisやSway Backの姿勢で、胸郭の伸展や回旋の可動性が少ない場合、どれだけ胸椎にアプローチをしても改善されないこともあります。それは、胸郭前面の筋の短縮や呼吸に伴う肋骨の動きが制限されており、胸郭を開く方向へ動かしたくても動かせないことが考えられます。
そのため、胸椎よりも先に、これらの評価を行うことが必要と考えられます。
- 呼吸に伴う肋骨の動きの評価
- 肋骨のSpringing Test
上記の2つのポイントを順番に解説していきます!
①呼吸に伴う肋骨の動きの評価
肋骨には、ポンプハンドルモーションとバケットハンドルモーションがあります。
それを考慮しながら、吸気と呼気の時に肋骨が動くのかを評価していきます。
背臥位で、膝を曲げた肢位をとってもらいます。
(股関節を曲げることで、腸腰筋や腹筋群の緊張を可能な限り減らすことを目的としています)
『上位の右・左』、『下位の右・左』の4区画に分けて評価を行います。
左右を比べながら評価していくとスムーズに行えると思います。
患者さんに深呼吸をしてもらいます。
呼吸運動を阻害しないよう、優しく手を肋骨に当てて動きを評価していきます。
吸気の時に肋骨が上がる感覚、呼気の時に肋骨が下がる感覚を感じれると思います。
この時の、動きの量やタイミングの左右差、呼吸と連動しているのかを評価していきましょう。
- 吸気の時に、肋骨の動きが途中で止まってしまう
- 呼気の時に、肋骨の動きが途中で止まってしまう
- 左右で肋骨の動きの量・タイミングに差がある
上記のポイントを参考にしながら、評価をしていけると良いでしょう!
②肋骨 Springing Test
呼吸での評価を行なった後に、肋骨のSpringing Testを行なっていきましょう。
先ほどと同様、『上位の右・左』、『下位の右・左』の4区画に分けて評価を行います。
肋骨を上から押さえていくと肋骨が沈み、押さえる力を抜くと元の位置に戻ります。
バネがはずむかのように軽く・じわっと押さえ、その動きの量を評価していきましょう。
- 左右で肋骨の動きの量に差がある
- 上位・下位で肋骨の動きの量に差がある
- 対角線上で肋骨の動きの量に差がある
上記の3ポイントが、注目するポイントになってきます!
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まとめ
普段、何気なく行なっている評価もあったのではないでしょうか?
肋骨一本ずつ評価していくのは、普段に臨床だと時間的に厳しいため、ある程度大まかに区分して診ています。それでも、ある一定の効果は出せると思いますので、つまずいた時や思うように改善していかない場合にはより細かく評価すると良いでしょう。
また、肋骨や胸郭前面の筋(前胸部や腹筋群)の問題があった場合、胸椎の評価・治療を行わないというわけではありません。それは、胸椎の可動性が低下していることで、そのレベルの肋骨の動きが低下していることも多いにあるためです。
普段の臨床で胸椎しか診ていない方は、少し視点を変えてみることも必要であるため、今回の記事を参考にしていてだければ幸いです。
こちらの記事では、胸椎と肋骨の関節運動をまとめていますので、ぜひ併せてご参照ください。
コメント
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