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腕を後ろにまわす動き
今回は、腕を後ろに回す時の肩関節や肩甲骨、周囲の筋肉の動きについてご紹介します。
問題のない側の肩は背中の上の方まで手が届くと思いますが、肩に痛みがあると骨盤・お尻や腰のところまでしか届かないといった状態になってしまいます。
気が付いた時には既に硬くなっていて、痛みも全然改善されないという方も多いのではないでしょうか?
関節や筋肉の動きが悪い部分があることで、その他の部位に負担がかかって痛みが生じている可能性があります。
どこかの筋肉の力発揮が落ちてしまうことでも痛みが生じたりしますが、それを判断するのに文章だけでお伝えすることが難しいため、ここでは肩周りの動きの制限に着目して要因を解説し、セルフチェックの方法とストレッチ方法をご紹介していきます!
腕を後ろに回す時に必要な肩関節の動き
肩関節は、上腕骨が”ゴルフボール”で肩甲骨が”ティ”のような形状をしているため、多様な方向へ大きく動く構造になっております。
腕を後ろに回すのに必要な肩関節の動きは、大きく分けて3つあります。
・外転:横からあげる動きになります
・内旋:手が内側に捻る動きになります(お腹に触れる動き)
この3つの動きが可能となることで、スムーズに後ろに回せるようになります。
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この3つの動きにとって必要な要素
伸展
上腕骨が肩甲骨に対して安定した状態を保ったまま、三角筋・大円筋・上腕三頭筋が機能することで伸展することができます。
肩関節前面の靭帯や関節包といわれる部分が硬くなってしまうと、伸展の動きには制限が生じてしまいます。
大胸筋や上腕二頭筋など、胸や腕の前面の筋肉が硬くなっても、同様に制限となります。
その結果、まっすぐ後ろに腕を伸ばした時に『肩が前に入ってしまう』動かし方になり、見かけ上は腕が後ろにいってますが、運動の軸が変わってしまうことになります。
- 症状のない方の手で、症状のある側の肩を前から押さえます
- 肩が前に動かないように押さえたまま、腕をまっすぐ後ろへ伸ばしていきます
- 手が見えるくらいまで、後ろに伸ばして持ち上げられると良いでしょう
- 確認するために、頭・首を捻るのは大丈夫です。
しかし、肩や腰まで捻らないように注意しましょう - 腕をまっすぐ後ろに伸ばさずに、横に開いたりしないよう注意しましょう
外転
上腕骨が肩甲骨に対して安定した状態を保ったまま、三角筋が機能することで外転することができます。
肩のインナーマッスルの機能が低下していると、腕を挙げた時に『肩がすくむ』動かし方になってしまいます。また、脇の部分の筋肉(大円筋・小円筋)や、腕の後ろの筋肉(上腕三頭筋)の柔軟性も必要となります。
これらの筋肉は、脇の下の部分でハンモック状になっています。柔軟性に欠けてしまった場合、硬いハンモックとなってしまうため、上腕骨が上へと押し上げられてしまいます。
そのようになると、『肩がすくむ』動かし方になってしまいます。
これが影響してくるのは、外転90度以上の時となります。外転90度以下の場合は、”関節包”といわれる肩関節周りを支える組織の制限が考えられます。
- 症状のない方の手で、症状のある側の肩を上から押さえます
- 肩が上がらないように押さえを保持したまま、腕を横から挙げます
- 肩の高さ程度は挙がると良いでしょう
内旋
肩甲骨に対して、上腕骨が軸状に回旋する動きになります。
この動きを引き起こす筋肉は、肩甲下筋というインナーマッスルと、大胸筋・広背筋・大円筋というアウターマッスルになります。
アウターマッスルだけで運動を行ってしまうと、腕の骨(上腕骨頭)が前へ移動してきてしまい、靭帯や関節包などを圧迫して肩の前面に痛みが生じる原因となってしまいます。大胸筋・広背筋・大円筋は、緊張したり短縮しやすい筋肉であるため、内旋の動きをスムーズにできなくなってしまう傾向にあります。
- 両腕を肩の高さくらい横にあげて、肘を90度曲げて、手のひらは地面に向けます
- 肘の高さは変えないようにして、手を下にさげていきましょう
- 最初の位置から45度程度下にさがれば良いでしょう
- 人によっては柔らかい人もいるため、左右差も確認すると良いでしょう
この3つの動きが、腕を後ろに回す時に必要な肩関節の動きになります。
腕を後ろに回す時に必要な肩関節以外の動き
肩関節以外で必要となるのは、“肩甲骨の動き”になります。
後ろに回す時に大きく動くのは肩関節で、肩甲骨はそこまで動きませんが、肩甲骨の位置によって肩関節にかかる負担が変わります。
例えば、背骨から肩甲骨の位置が離れて遠くなっていると、それに伴い肩関節は前方に向いた位置に変わります。
いわゆる『巻き肩』と一般的に言われているような状態です。
肩関節が通常よりも前方に位置してしまうため、腕を後ろに伸ばしていくのが必要以上に大変になってしまいます。
反対に、肩甲骨が背骨に近く、内側に寄っている状態でも動きに制限が生じます。
スマートフォンやデスクワークが多い現代ではこの傾向は少ないですが、肩甲骨周りの筋肉の働きが低下している方に生じやすいです。腕を動かそうと一生懸命になるあまり、首・肩の力を総動員して行ってしまい、肩甲骨が自由に動けなくなってしまうことがあります。
つまり、“力の入れすぎ・頑張りすぎている”状態です。
これには、色々な要因がありますが、そのうちの一つは肩関節の動きに制限があることが考えられます。
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肩甲骨に必要な機能
- 肩甲骨は、一箇所に留まることなく、なるべく自由に大きく動く必要がある
- 肩関節が動きやすいように、安定している必要がある
『動くのに安定している??』ってどういうこと?
と思われるかもしれませんが、”大きく動くこと”+”安定している”という両方の機能が肩甲骨には必要になります。
“肩甲骨さん”は、大変な役割をされていますね!
(あえて”さん”を付けさせてもらってます)
ちなみに余談ですが、『肩甲骨はがし』という言葉がありますが、肩甲骨はくっついてもいないですし、はがれもしないので、この言葉を鵜呑みにしないようにしましょう。
簡単なストレッチ方法
腕を後ろに回すためには、まずは肩関節の柔軟性が必要になります。
特に、肩関節前面の筋肉・靭帯・関節包の伸張(伸ばす・ストレッチ)が大切です。
肩の動きの制限が長期間生じている場合は、拘縮という”固まった状態”にありますので、頻度多く動かしていくことで徐々に改善していきます。
コツコツと行なっていきましょう!
地道にコツコツと動かしていく必要があります。
左側の例
- 左腕を可能な範囲で後ろに回しましょう
- 右手で左手を持ち、左腕全体は脱力しましょう
- 右手で上下・左右にゆっくりと動かしましょう
- 肩関節の前面にツッパリ感・伸びる感覚があれば良いでしょう
- ゆっくりと多様な方向へ動かし、合計2〜3分を一日の中でこまめに行いましょう
※手で持てない場合は、上図のように棒やタオルなどで引っ張りましょう!
※ストレッチを終えた後から、”ジーン”と痛くなる可能性があります。
しばらくすると治りますが、翌日にも痛みが長引く場合は強度が高すぎる可能性があるので、優しく行いましょう。
※肩の前面に伸張感を感じられない場合、このストレッチは中止しましょう。
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肩関節前面と肩甲骨のストレッチ
今回は腕を後ろに回すために必要な、肩関節前面の柔軟性と肩甲骨の運動を合わせたストレッチになります。
右側の例
- 正座をして、左肘を床に着けて、肘と膝を合わせます
- 右手を後ろに回し、骨盤の部分に手の甲があたるようにします
- 右肩が左の脇腹に近づくように曲げていきます
- 右肩を引いて、身体を左に捻っていきます
- 限界まで捻ったら、そこで深く息を吸い、吐きながらさらに捻る動きを加えましょう
※肩の前面に伸張感を感じられると良いでしょう。
※背骨と肩甲骨の間の筋肉を使う感じがあると、さらに良いでしょう!
このストレッチで肩の後ろや腕の後ろに違和感を感じる場合、まずは肩の後ろ(脇の部分)のストレッチを行うと良いでしょう。
肩関節後面・脇・背中のストレッチ
四つ這いの姿勢で行う、肩の後ろや脇〜背中の筋肉をストレッチ方法をご紹介していきます。
右側の例
- 四つ這いになり、両手を中央に寄せます
- 右手を左手の下から通して左手の横に置き、右の手のひらを天井の方に向けます
- 正座をするようにお尻を後ろに引いて、右側の脇の部分を伸ばしていきましょう
- このとき、体重をやや右側にかけるようにすると、よりストレッチ感が増すでしょう
- 10回2セットを1日3~4セット行いましょう。時間がある時にこまめに行うことをオススメします!
※手のひらを天井に向けると肩の痛みが生じてしまう場合、手のひらを床面につけて行いましょう。
※肩の付け根・前面・側面に痛みが生じる場合、体重の掛け方を右斜め後ろに変えるように、色々な方向へ動かして試してみましょう。
※良い伸張感を感じる部分が見つからない場合、このストレッチは中止しましょう。
先ほどもお伝えしましたが、肩の動きを改善するためには、1日の中で時間があればこまめに動かすようにしていくと良いでしょう。
肩関節周囲の炎症がある時に動かし過ぎると痛みはさらに悪化しますので、痛みの少ない範囲で身体の状態に合わせて行いましょう!
上記のことでご相談やご質問等がある場合は、お問い合わせフォームや匿名でできる質問箱などをご利用ください。
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[…] 腕を後ろに回す時に肩が痛い!セルフチェックとストレッチの方法腕・手を後ろに回す時に、肩や腕が痛い原因を解説しています。特に、肩関節の動きと肩甲骨の位置・姿勢に着目して […]
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