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肘の内側の痛みとは
今回は、肘の内側の構造と痛みの発生機序をご紹介いたします。
肘の内側の痛みは、上腕骨内側上顆炎といわれ、別名・ゴルフ肘ともいわれます。
また、ゴルフをしていない人にも生じ、特に重たいものを持ち上げる仕事や、肘を曲げる動き繰り返す中で痛みが生じることがあります。
肘の内側の構造
肘の内側に痛みが生じる場所は、上腕骨内側上顆といわれる、肘の少し上(肩に近い方)の骨の出っ張り部分に生じます。
この出っ張りは、肘の内側と外側の両方にありますが、そのうちの内側が内側上顆になります。
この部分には、前腕や手首・指を動かす筋肉や靭帯が重なりあって付着しています。
- 円回内筋
肘を曲げる動き(肘関節屈曲)、手のひらを床面に向ける動き(前腕回内)に作用する
- 橈側手根屈筋
手首を内側に曲げる動き(手関節掌屈)に作用する
- 長掌筋
手首を内側に曲げる動き(手関節掌屈)に作用する
- 浅指屈筋
手の指を曲げる動きや、手首を曲げる動きに作用する
- 尺側側手根屈筋
手首を内側に曲げる動き(手関節掌屈)に作用する
肘の内側に付着する筋肉は、肘や手首・指を曲げる・内側に捻る動きを行う筋肉です。
それぞれ若干曲げる方向が違ったりしますが、ある方向にだけ使うことが多いとその部分の筋肉が硬くなったり、反対側へ力の入りが悪くなったりします。
5つの筋肉のうち、主に痛みに関与する筋肉は、円回内筋・尺側側手根屈筋と考えられます。
筋肉の他に、肘の内側を支える靭帯(内側側副靭帯)があり、肘を支点にしたときに手が外側にブレる(肘の外反という動きのことです)のを止める作用があります。
野球をするピッチャーが傷めるやすい部分であり、一般的に肘の手術はこの部分に当たります。
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痛みの発生機序
ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)の痛みの原因は、主に筋肉の問題であることが多いです。
主に、円回内筋・尺側側手根屈筋の付着する部分で、炎症が起きることで肘の内側に痛みが生じます。
なぜ、この筋肉の付着する部分で炎症が生じるのか?
それは、筋肉の収縮(力が入り、筋肉が縮こまる状態を指します)が過剰になることで、骨には引っ張られるようなストレスが生じることが影響します。
筋肉だけでは負荷に耐えることができなくなると、肘の内側の靭帯にも影響が及び、骨が剥離する場合もあります。
骨自体が伸びたり縮んだりはしないため、このようなストレスが加わることになります。
肘の内側が痛くなる動作
デスクワークなど、肘を曲げて手を内側に捻る状態が長時間続いている場合、上記の筋肉を過剰に使用して痛みを生じることがあります。
その他に、投球動作やゴルフのショット、テニスのサーブにおいて、肘に外反方向へストレスがかかることが多いと、肘の内側に痛みが生じやすくなります。
特に、身体に合わない重たい道具の使用(野球ボールや槍投げ、テニスのラケット等)などが、負担になることもあります。
そのほかに、投球フォームやテニスのサーブの時など、身体全体の使い方も大きく影響してきます。
肩を支点にして手を外側に捻る動き(肩関節外旋)や肩甲骨を内側に寄せる動き(肩甲骨内転)に制限が生じていると、ボールが手から離れる前の段階で肘にかかる負担は増大します。
そのため、痛みの原因は肘ではなく、肩関節や肩甲骨にある可能性があります。
例えば、消火器で消せないくらいの家事が起きているとすると、その住人は消防車を呼んだり、周りの人に声かけをすると思います。
これが、からだで表す『痛み』に該当すると考えられます。
消火活動が始まり、周りの火が消えてきたと思っても、また一気に燃え広がることもありますよね。
肘のみケアをしていても、症状を引き起こしたと考えられる部分に対してケアをしないと、症状は改善しないことが考えられます。
また、それを放置していると、身体のいたる部分に多様な症状を示すことも考えられます。
たとえ治ったとしても、身体には何かしらの違和感を感じるかもしれません。
このように、身体は非常に複雑に影響し合っています。
できればそうならないように、小さな火種の時に問題が発見できると良いでしょう。
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簡単チェック方法
- 肘を曲げると症状が出現する
- 手を内側に捻ると症状が出現する
- 指を握り込むと症状が出現する
①で症状が見られる場合、円回内筋・尺側側手根屈筋の問題が考えられます。
②で症状が見られる場合、円回内筋に問題があると考えられます。
③で症状が見られる場合、浅指屈筋に問題があると考えられます。
前腕屈筋群のセルフケア方法
調べるとよく掲載されているのが、前腕のストレッチになります。
しかし、痛みが強い時にはストレッチすら行うことが難しかったり、少し手首を動かしただけで痛いことがあります。
そのため、今回は軽いマッサージと筋肉を使う動きを組み合わせて行うものをご紹介します。
- 肘を90度曲げた状態にします
- 内側上顆の少し下+内側の部分を親指で押さえて、軽く圧を加えます
この時、痛みの生じる動きを行い症状が軽減する場所を押さえると良いでしょう - 親指の圧はそのままかけた状態を保ち、肘を伸ばし、手のひらを天井に向ける(外側に捻る:前腕回外)ように動かします
- 余裕があれば、手首を下にさげるようにして、腕全体を伸ばしていきましょう
※親指で押さえる時は、”痛いけど気持ちいい”程度の圧を加えましょう
※一箇所ではなく、周辺を少し探るようにしてみてください
※前腕の真ん中くらいまで、まんべんなく場所をずらしながら、2〜3分ほど行いましょう。
時間を見つけた時にこまめに行うのも大切です!
このケアを行うことで、痛みを引き起こす筋肉の緊張を軽減させることができます。
また、前腕回外の運動を行うことで、回外方向へ動かせる範囲が改善したり、筋肉を使うため肘が安定し周りの筋肉の緊張を軽減することが期待できます。
普段の生活の中では、肘を曲げて内側に捻っている時間を可能な限り減らし、重たい荷物を持つことはなるべく避けるようにしましょう!
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まとめ
今回は、肘の内側の痛みの発生機序と、セルフチェック・ケアの方法をご紹介しました。
肘の痛みに関しては、肘だけの問題ではなく、手首や肩甲骨・肩関節の影響を受けます。
時には、首や体幹・股関節の影響も受ける可能性があり、非常に複雑な場所となっています。
- 痛みは『肘を曲げる(肘関節屈曲)』『手首を曲げる(手関節掌屈)』『手を内側に捻る(前腕回内)』によって生じる
- 3つの作用を持つ筋肉が硬くなったり(筋肉の短縮)、引き伸ばされるストレス(肘外反)がかかることで発症する
- 痛みはあくまでも結果であり、肩甲骨や肩関節の問題を抱えていることもあります。
手やお腹・股関節の可能性もあります
痛みの程度が強かったり、経過が長い場合は専門家に見てもらうことをオススメします!
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