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胸腰筋膜
胸腰筋膜の機能解剖の第6弾です!
今回は、胸腰筋膜のバイオメカニクスと姿勢変化に伴う変性をご紹介します。
胸腰筋膜は組織として強靭なため、少しの外力によって損傷したりすることは考えにくいです。
しかし、腰痛の原因として考えられているのはなぜでしょうか…?
また、現代のヒトの姿勢において、腰椎の生理的前弯が保持されている方は少なくなっている印象があります。
これにも、胸腰筋膜のバイオメカニクスが関係している可能性も考えられるでしょう。
では、その内容をご紹介していきます!
胸腰筋膜のバイオメカニクス
腰仙部は、脊椎に下肢(2本の足)で構成されており、3つの大きなレバーの結合部分であります。
腰仙部=脊椎+2本の足
⇒3つの大きなレバーの結合部分
これらの運動レバーは、筋膜・腱膜の胸腰筋膜複合体によって結合されます。
筋膜・腱膜複合体は、いくつかの大きな筋群の付着によって影響を受けます。
- 上肢からのBridging muscle
- 下肢の筋
- 腹側と背側部分の両方を含む胴体の筋
上肢のBridging muscleは、四肢と胸腰筋膜の間のギャップを橋渡しする、胴体において遠心性に延びる僧帽筋や広背筋のことを示しています。
これは、腰仙部が上肢に生体力学的に結合していることも意味しています。
胸腰筋膜に到達する下肢の筋は、大殿筋や大腿二頭筋が含まれます。
この筋膜や腱膜複合体に影響を与える胴体の筋には、腰部背側筋群と腹横筋(TrA)や内腹斜筋と場合によっては外腹斜筋などの腹側筋群が含まれます。
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胸腰筋膜の生体力学的特性
複合的な線維なので、胸腰筋膜は非常に強い構造をしています。
胸腰筋膜後葉(PLF)は、355Nまでの垂直ストレスに耐えることができます。棘上靭帯への接続を含む胸腰筋膜の張力強度は、1kNを超える可能性があるほど強靭な組織です。
張力強度に加えて、胸腰筋膜の膨張性が重要となります。
過度な伸張は筋膜の硬さを増加させ、それが1時間の休息時間内に元の硬さまで回復するという研究結果があります。
また、組織への一定の等尺性ストレスは、組織を徐々に硬くさせていきます。
この硬さは、組織の最初の歪みを維持するため、増加した負荷が必要となります。
脊柱を完全屈曲させた場合、胸腰筋膜の長さは中間肢位から約30%増加します。
この組織の長さの拡張は、胸腰筋膜の幅を狭くすることによって達成されます。
筋膜の粘弾性
◎筋膜の粘弾性特性の運動依存性変化の問題に追加される洞察
伸張と安静の概念の次に筋膜組織に生じる、”歪み硬化”と呼ばれる剛性の増加が見られます。
十分な安静期間で組織に”超補償”が生じ、最初のレベルよりも高いマトリックス水和が示されることがわかっています。
この硬化は以前に凍結した組織でも生じ、細胞収縮が原因ではないことが考えられています。
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胸腰筋膜の組織変性による恩恵
胸腰筋膜の長さ・幅の拡張は、組織に”歪みエネルギー”を与えます。
この歪みエネルギーは、放牧動物などが頭を持ち上げるのに必要な筋の収縮レベルを下げるために使用されます。
つまり、胸腰筋膜の変性は背部伸筋群の有効性を高め、脊椎を安定させることで大きな負荷量を持ち上げるのに非常に役立ちます。
※この構造の外側区画に横方向の牽引力を加えることにより、胸腰筋膜の幅を狭くするのに抵抗できる筋群は、腰椎に伸展力を加えています。
胸腰筋膜と姿勢
胸腰筋膜は、腰椎前弯を減少させ平坦にするので、ストレートバックの姿勢において最も強い組織の状態となります。
胸腰筋膜は脊椎に低い圧縮力で大きな伸筋モーメントを生成する位置に配置されます。
腰椎伸展位の状態では傍脊椎筋が収縮するため、胸腰筋膜の平面は椎間板の中心から少なくとも50mm後方に変位し、腰仙レベルにおいてこの距離は平均62mmとさらに開きます。
つまり、この距離は、椎体にある動きの中心周囲の伸張に抵抗するための適度に長いモーメントアームを与えます。
胸腰筋膜は大きな伸筋モーメントを作り出すことができ、非収縮性組織が筋活動収縮よりも椎間内の圧縮歪みを減らすため、特に重要な組織だと考えられます。
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