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顎関節
今回の記事では、顎関節の解剖学に関してまとめていきます。
顎関節に対してアプローチをする機会は少ないと思いますが、解剖学的知識と姿勢や動きとの関連を知っておくことで、バラエティに富んだ臨床アプローチが可能になると思います。
顎関節症に対して我々ができることは、顎関節周囲の筋緊張をコントロールしたり、頸椎のアライメントを考慮することで症状を緩和させるなど、身体の機能面へのアプローチになります。
しかし、顎関節症の根本は”咬合”(噛み合わせ)の影響や、”歯ぎしり”・”くいしばり”の影響が大きいため、専門的に歯科領域で見てもらうように誘導すると良いでしょう。
骨・靭帯
顎関節は、側頭骨と下顎骨によって構成されています。
側頭骨の下顎窩と、下顎骨の下顎頭によってはまり込んだような形状をしています。
顎関節をサポートする靭帯は大きく分けて2つ存在しています。
1つは外側靭帯で、もう1つが副靭帯になります。
顎関節を側方からサポートし、関節円板や下顎の運動を制限します。
顎関節の上に存在しているため、圧痛所見が確認できます。
・茎突下顎靭帯
下顎の前方突出を制限します
・蝶下顎靭帯
開口や下顎の側方運動を制限します
※これらの靭帯は触診による確認ができません
触診によって確認できるのは、顎関節上に存在している外側靭帯になります。
圧痛が確認できますと、顎関節に何らかの問題が生じている可能性があります。
顎関節の位置としては、耳の穴の前に存在しています。
開口・閉口してもらうと顎関節の動きが触知できますので、耳の穴から約1.5横指前方を目安にその周囲を探していただくと良いでしょう。
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筋肉
筋肉は大きく分けて、『咀嚼筋群』『舌骨上筋群』『舌骨下筋群』の3つに分類されます。
咀嚼筋群
- 咬筋
- 側頭筋
- 内側翼突筋
- 外側翼突筋
咬筋と内側翼突筋は閉口筋、外側翼突筋と舌骨下筋群が開口筋として協働しています。右の外側翼突筋が作用することで、下顎は左へ滑走していきます。
舌骨上筋群
- 顎二腹筋
- 顎舌骨筋
- オトガイ舌骨筋
- 茎突舌骨筋
側頭筋と顎二腹筋が下顎骨を後方に引っ張ります。
これらの筋の緊張が高くなってしまうと、顎関節症になりやすい状態となります。
顎二腹筋・顎舌骨筋・オトガイ舌骨筋は、『下顎を引き下げる』『舌骨を上げる』作用を持ちます。
舌骨下筋群
- 胸骨舌骨筋
- 肩甲舌骨筋
- 胸骨甲状筋
- 甲状舌骨筋
舌骨下筋群は嚥下との関係が大きいです。
筋緊張が高くなってしまうと、舌骨をあげにくくなってしまい、嚥下を行いにくくしてしまいます。
例えば、肩甲骨前傾位・頭部前方位であると頸椎は屈曲しています。
この状態では、肩甲舌骨筋の緊張も高くなるため、舌骨を下げる運動が円滑に行えなくなり嚥下機能の低下に繋がります。
関節円板
顎関節内には、関節円板が存在しています。
関節円板は、顎関節症に対する影響力が大きいです。
関節円板に付着する筋肉は、外側翼突筋になります。
関節円板の前側に付着しているため、外側翼突筋が作用すると前方に引っ張り出されます。
これに対して、関節円板を後方に引っ張る筋肉が存在していません。
顎関節内の後方領域には、血管や神経が後方領域に集中しています。
そのため、関節円板が前方に引っ張り出されてしまうと、噛んだ時に後方での血管や神経に対するストレスが増加して痛みが生じます。
側頭筋や顎二腹筋によって下顎頭が後方へ引っ張られると、相対的に関節円板は前に出されるようになります。これが、顎関節内(特に後方領域)で痛みを引き起こすメカニズムになります。
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まとめ
今回は、顎関節の解剖学に関する内容でした。
これらの解剖学的特徴を考慮することは、臨床において大事だと考えています。
頸部痛を有している方が、実は顎も痛いというケースは度々遭遇します。
また、歯医者に通って治療を受けているという場合も、頸部に痛みが生じてしまうということもあります。
この場合、咬筋や側頭筋などの筋緊張を緩和させることで、頸部痛が消失することもあります。
普段の食事において片側だけで咀嚼するという場合も、左右の筋インバランスが生じてしまい、これによって片側の顎関節にストレスが加わるということにも繋がります。
頭頸部のアライメントや胸郭・肩甲骨の影響を受けることがありますので、これに関してはこちらの記事をご参照ください!
コメント
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