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痛みは感覚だけではない?
痛みは一感覚というだけではなく、”情動”や”認知”としての側面も持ち合わせています。(※情動とは、怒り・恐怖・喜び・悲しみなどの感情変化のことです)
痛みには、場所や強さ、持続性などの痛みの種類を識別した感覚に合わせて、痛みによって生じる嫌悪感・不快感(情動)も合わさります。また、過去に経験した痛みの記憶や、それに基づく痛みの予測などに関連して、痛みを認識してしまうということもあります。
このようなことから、痛みの情報は脳内において、感覚を司る部位だけでなく様々な部位で処理されています。
痛みの感覚は個人によって違ってきますし、個人の経験や環境などの背景も違ってくることから、痛みはとても主観的なものとなります。
痛みを経験した際に、それに対して不安や恐怖心を抱いてしまう場合、ネガティブ思考に陥りやすく活動も減ってしまうかもしれません。
こうなると慢性痛の状態にあり、負の循環に陥っている状態と考えられます。
「痛いから動かない・動けない…」「動くと痛くなるからやめておこう…」といったように、ネガティブ思考が活動を制限してしまうと、活動しないことでの痛みというのも出てきてしまいます。それがまたネガティブ思考にも繋がり、また活動しなくなる…というような感じです。
このようにならないために、痛みに関する正確な情報を知っていただき、痛みに対する不安感を解消できればと思いこの記事を書いています!
ぜひ最後まで読み進めていただければ幸いです。
痛みを感じるメカニズム
身体の至るところに存在する”受容器”によって痛みを感じ取っています。
この受容器は、神経を介して脳に達します。
受容器によって通る神経が違い、大きく分けて2つ存在しています。
1つ目が『チクッ』『ズキッ』とするような鋭い痛みを感じ取る受容器で、2つ目が『ズーン』『ジワ〜』とするような鈍く重たい痛みを感じ取る受容器です。
1つ目の受容器は、弱い刺激では反応せず、一定以上の強い刺激に反応する特徴があります。
2つ目の鈍く重たい痛みは、動かしてから数秒後に遅れてくるようなものを指しますが、これは神経の特徴によりどうしても遅く伝達してくるものになります。
皮膚・筋肉・内臓などの組織に幅広く存在し、刺激の強さによって感じる痛みの割合が変化します。
ただし、ここで重要なのは、『ある一定以上の刺激がないと痛くならない』ということです。痛みを感じる・感じないに関係する”ボーダーライン”があるようなイメージです。
しかし、弱い刺激でも持続して加わることで、徐々に受容器の感受性が高まり興奮状態になります。
この場合、少しの弱い刺激でも痛みを感じてしまう状態になります。いわゆる痛みに対して過敏な状態です。
『軽く押されただけで痛い』・『触れただけでも痛い』というのはこの状態を指します。
この状態になっているということは、これまで組織に負担が加わり続けており、耐えきれなくなっているということになります。
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痛みが発生するメカニズム
痛みが発生するには、大きく分けて”組織損傷”・”炎症症状”・”関連痛”の3つのメカニズムがあります。
組織が損傷された後、それを修復しようとして血管・神経が周囲に増えて炎症が生じ、痛みを感じます。
組織の損傷が繰り返されたり、それに伴い炎症も再燃して痛みが長期間続く場合、痛みを感じやすい過敏な状態になり慢性痛へと移行します。(これは神経系の感作・可塑的変化と言われます。)
慢性痛にならないためには、組織損傷・炎症に起因する痛みが発生するメカニズムを理解していきましょう!
組織損傷
皮膚を切ってしまった、靭帯・腱・筋を伸ばしてしまった・断裂してしまった直後、『ズキッ』というような”鋭い痛み”を感じます。
これには、1つ目の受容器が反応し、神経を介して脳で痛みを知覚します。
その後、遅れて『ズーン』『ジワーッ』というような”鈍く疼くような痛み”を感じます。これには2つ目の受容器が反応しています。
神経の通り道の関係で、自律神経や情動に関係する脳の部分にも影響を及ぼします。
これと同時に『ズキズキ』とした痛みを感じるかもしれませんが、それは”炎症症状”によるものになります。
炎症症状
組織を損傷した後、その周辺部位には赤み(発赤)が生じ、腫れや皮下出血が確認されます。痛みの範囲は、損傷部位だけでなく周囲に広がります。
これらが、炎症の症状です。
炎症は、組織を修復する過程において必要不可欠なものであり、身体を守るための反応でもあります。
血管や神経が周囲に流入してきて、組織を修復しようとします。この時、脈拍に合わせて『ズキズキ』『ズンズン』という痛みを感じるかもしれませんが、それは炎症反応による血管・神経性の痛みになります。
組織を修復しようとしているのに、そこに負担をかけようとすれば、炎症が悪化し痛みも長期化します。
痛みの刺激が加わり続けるので、痛みに対して敏感な状態となり、わずかな刺激でも”痛み”として感じてしまうでしょう。
関連痛
組織損傷が生じると、多くの場合はその周辺で痛みを感じますが、時折かけ離れた部位で痛みを感じる場合もあります。
痛みの原因となる部位と痛みを感じている部位が一致しないということです。これを『関連痛』と言います。
痛みを感じ取る受容器は神経を介して脳に達しますが、その途中で何回か神経を乗り換えています。
この乗り換えを間違えてしまったり、乗り換える部分とは別の部分を刺激してしまうことで、脳で痛みを誤認してしまうことで関連痛が生じます。
まとめ
”どのようにして痛みを感じるのか”を理解できましたでしょうか?
痛みを感じるというのは、ヒトにとって非常に大切な機能です。
身体を守ってくれていますし、身体にとって危険だと知らせてくれています。
痛みを感じた時にイライラしたり負の感情が伴うと思いますが、そんな時はこの記事の内容を思い出していただき、”痛み”を許容し愛してみてください!
痛み(Pain:”P”)を愛する(”a”・”i”)ということですね!笑
また、痛みを我慢して運動しても、その先に良いことは起こりません。「気持ちの問題だ!」なんていう精神論はやめましょう。(慢性痛においては、時として良い場合もありますが…)
次回は、『活動しなくなる(不活動)となぜ痛くなるのか?』に関してまとめていきたいと思います!
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