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レジスタンストレーニングの負荷と筋肥大の関係
骨格筋肥大は、レジスタンストレーニングによる一つの適応です。
レジスタンストレーニングを提供する際に重要なことは、外的負荷になります。
近年のレジスタンストレーニングガイドラインによると、1RMの70〜85%の負荷が推奨されております。
しかし、最近の研究では、low-load(低負荷)とhigh-load(高負荷)のレジスタンストレーニングにおいて、筋疲労が生じこれ以上回数がこなせない状態までトレーニングをした時を比較したところ、同程度の筋肥大が生じたという報告があります。
このような報告がされているにもかかわらず、low-loadとhigh-loadレジスタンストレーニングの筋肥大効果においては一致した見解が得られていません。
high-loadトレーニングと比較してlow-loadトレーニングの方がTypeⅠ線維が肥大することや、low-loadトレーニングと比較してhigh-loadトレーニングの方がTypeⅡ線維が肥大することは、多くの方がご存知であることと思います。
故に、low-loadとhigh-loadのトレーニングでは異なった筋線維の肥大効果を産生することが、複数の研究結果により報告されています。
そこで今回の記事では、TypeⅠとTypeⅡの筋線維肥大における、low-loadとhigh-loadのトレーニング効果を分析したメタアナリシスの論文をご紹介していきます。
5つの参考文献
1849の文献の中から、50の全文記事を抽出し、最終的に5つに絞られました。
以下に5つの文献をまとめてご紹介します。
Campos et al.(2002) | 16 young untrained men | Low load:2sets per exercise with 20〜28RM
High load:4sets per exercise with 3〜5RM |
Leg press, squat, leg extension | 8 weeks; 2-3 times per week |
---|---|---|---|---|
Lim et al.(2019) | 14 young untrained men | Low-load:3sets per exercise with 30% 1RM
High load:3sets per exercise with 80% 1RM |
Leg press, Leg extension, Leg curl | 10 weeks; 3times per week |
Mitchell et al.(2012) | 12 young untrained men | Low-load:3sets per exercise with 30% 1RM
High load:3sets per exercise with 80% 1RM |
Leg extension | 12 weeks; 3times per week |
Morton et al.(2016) | 49 young resistence-trained men | Low-load:3sets per exercise with 30〜50% 1RM
High load:3sets per exercise with 75〜90% 1RM |
Seated row, Bench and shoulder press, Front plank, Bicep curls, Triceps extension, Pull downs, Leg press, curl, and extension | 12 weeks; 3times per week |
Schuenke et al.(2012) | 17 young untrained women | Low-load:3sets per exercise with 20〜30RM
High load:3sets per exercise with 6〜10RM |
Leg press, Squat, Leg extension | 6 weeks; 2-3times per week |
4つの文献では男性のみでしたが、1つの文献では女性が起用されています。
今回は性差を比較するものではありませんが、この辺にもなんらかの違いがある可能性もありそうですね。
また、1つの文献のみでトレーニング歴のある方を対象としているものがありました。
期間は6〜12週間でしたので、トレーニングによる神経系の適応後のお話になります。
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Low-loadとHigh-loadトレーニングは同程度の筋肥大効果
TypeⅠ・TypeⅡ線維の肥大において、Low-loadトレーニングとHigh-loadトレーニングの間には有意差がないという結果でした。
レビューの主な知見は、”筋疲労が生じ回数がこなせない状態までトレーニングを行なった時”、Low-loadの方がHigh-loadよりも筋線維肥大に効果的であると結論づけるのに十分なデータがないことが示されました。
”筋疲労が生じ回数がこなせない状態までトレーニングを行なった時”というのが重要なポイントだと考えられますね。筋を最大限に追い込む、「これ以上あがらない…動けない…」という状態になるまでトレーニングするということです。
ただし、これにはトレーニングによる生理学的反応を考慮することが大切です。それは『サイズの原理』です。
例えば、30%-1RMの低負荷のセット開始時には、まずTypeⅠ線維に関連する低閾値のモーターユニットが動員されます。これらのモーターユニットが疲労すると、TypeⅡに関連する高閾値のモーターユニットが動員され、最終的に全てのモーターユニットが動員されることになります。
80%-1RMの高負荷で運動する場合は、全てのモーターユニットの動員は運動開始時から発生します。
つまり、筋疲労が生じ回数がこなせない状態までトレーニングが行われる場合、トレーニングに使用される負荷に関係なく、高閾値モーターユニットと低閾値モーターユニットの動員は類似している可能性があります。
まとめると、Low-loadおよびHigh-loadトレーニングにおけるモーターユニットの動員は、同程度の筋線維肥大をもたらす可能性があるということです。
本当に同じ効果なのか?
Low-loadおよびHigh-loadトレーニングにおけるモーターユニットの動員は、同程度の筋線維肥大をもたらす可能性があるという見解でしたが、本当にそうなのでしょうか。
トレーニングにおける原理・原則として、『サイズの原理』以外にも『過負荷の原則』『漸進性の原則』なども重要であると考えられます。
モーターユニットの観点から考えれば『サイズの原理』だけで良いのですが、トレーニング熟練度に応じて『過負荷の原則』『漸進性の原則』の2つを考慮していったほうが良いのではないでしょうか。
今回の論文は筋肥大に着目していますが、トレーニングの効果はそれ以外にもあります。
ボディビルをするのではれば今回の内容を応用してトレーニングメニューを組んでいくことも良いと思いますが、瞬発力・パワーの向上を目的とするのではあれば不十分です。
この場合は、1〜3RMというように高負荷でのトレーニングセットも取り入れていくことも必要となるでしょう。
また、怪我後・手術後のリハビリテーションにおいて、筋が萎縮してしまった場合などは、高負荷で行うよりも低負荷で限界までトレーニングをしていくことが良いのではないかと考えられます。
関節にかかる負荷も少なく、トレーニングによる怪我のリスクも軽減できますので、比較的安全に筋肥大効果が期待できます。この時も、最大努力ということがポイントとなりますね。
このように、トレーニングの目的に応じて使い分けるのが良いと考えられます。
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