足関節内反捻挫で外側側副靱帯損傷が疑われる際に行うべき評価・スペシャルテスト

足関節外側側副靱帯損傷に対する評価・スペシャルテストのトップ画像 評価方法

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足関節・足部の整形外科的テスト

今回の記事では、足関節・足部の整形外科的テストの診断精度に関するシステマティックレビューをご紹介していきます。

特に、足関節内反捻挫に対する評価方法(スペシャルテスト・整形外科的テスト)をご紹介します。

足関節・足部は、整形外科的損傷の中でも好発する疾患です。
また、足関節・足部に関しては複雑な構造であるため、多数の症状を呈することがあります。

これらに対し適切な状態管理をするためには、総合的な臨床的評価が必要であると考えられます。

数多くあるテストの中で、どのようなテストを選択し、実際に行なった結果どのように結果を解釈すると良いのか、指標を与えてくれるものになります。

論文の内容を引用しながら、自身の見解も含めて考えていきたいと思います!

Lateral Ankle Sprain(捻挫後などにおける足部外側の症状に対するテスト)

ここでは、足関節捻挫(特に内反捻挫)後に伴う、外側側副靭帯のどの部位が損傷している可能性があるかを評価します。

足関節内反捻挫の感度・特異度・尤度比の表

どのテストも特異度が高く、陽性尤度比も3以上を示してる結果となっております。
しかし、1つの評価だけで判断することなく、全てを組み合わせて考えていただけるとより臨床的診断の精度としては高くなると考えられます。

さらに、圧痛も含めて評価を考慮していただけると、より良いかと思います。
では、この3つのテストがどのような部分をみているかを考えてみましょう。

  • Medial Talar Tilt Stress Test
    ATFL &/or CFL &/or PTFL の部分・完全断裂
  • Anterior Drawet Test
    ATFLの部分・完全断裂
  • Medial Subtalar Glide Test
    CFLの部分・完全断裂

※ATFL:前距腓靭帯 / CFL:踵腓靭帯 / PTFL:後距腓靭帯

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評価の解釈方法

Medial Talar Tilt Stress Test・Anterior Drawet Test・Medial Subtalar Glide Testの3つのテストの結果を、どのようにとらえていけるといいのかを考えてみましょう。

テスト結果まとめ

  1. まずMedial Talar Tilt Stress Testを行い、3つの靭帯全てを評価します
  2. その後、Anterior Drawet TestでATFLのみを評価します
  3. 最後に、Medial Subtalar Glide TestでCFLのみを評価します
  4. 2と3は順不同ですが、どちらも痛みや不安定性がなければ、PTFLを疑うという結果になります

このように、それぞれのテスト結果から得られる解釈が違ってきますので、3つすべて考慮しながら行なっていくと良いかと思います。

ATFL・CFL・PTFLそれぞれの圧痛も評価して、考慮するとさらに良いでしょう。
それでは、各テストの方法になります。

Medial Talar Tilt Stress Test

評価方法

  1. 足関節底屈・内反方向にストレスを加えます
  2. 足関節外側に疼痛がみられれば陽性になります
  3. 左右差を比べて、最終域の抵抗感・可動域などを比べて不安定性がないか確認しましょう

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Anterior Drawet Test

評価方法

  1. 脛骨遠位を固定し、踵骨を把持します
  2. 前方に引き出すように動かしてATFLにストレスを加えます
  3. 疼痛がみられれば陽性になります

Medial Subtalar Glide Test

評価方法

  1. 距骨を固定し、踵骨を把持します
  2. 踵骨を内側方向へ動かしてCFLにストレスを加えます
  3. 疼痛がみられれば陽性になります

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まとめ

臨床場面で多く出会う足関節外側側副靭帯損傷の方に対するテストをご紹介しました。

ただなんとなく流れでやってしまわずに、一度手順や考え方を見直しても良いのでは?と思わされる文献でした。

痛みを誘発するテストになるので、頻回に強く行なってしまうと相手の不信感を煽る結果になると思いますので、配慮しながら行うと良いでしょう!

足関節捻挫の受傷をして、足関節外側に痛みがあるけれどこれらのスペシャルテストが陽性とならない場合、足趾伸筋群や伸筋支帯の問題を考える必要があります。
特に、短趾伸筋は足根洞に付着しており、ATFLと付着部分が近いので混同しやすい部分となります。

靱帯ではなく筋・筋膜性由来の痛みであれば、症状の経過が変わってきますので、適切な鑑別を行なっていきましょう!

参考文献

DIAGNOSTIC ACCURACY OF PHYSICAL EXAMINATION TESTS OF THE ANKLE/FOOT COMPLEX- A SYSTEMATIC REVIEW: Braun Schwieterman,Deniele Haas,Kirby Columber,Darren Knupp, Chad Cook, The International Journal of Sports Physical Therapy, 2013

コメント

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