アキレス腱断裂の病態・特徴・分類・評価方法

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アキレス腱断裂

今回の記事では、アキレス腱断裂に関する病態・特徴・評価方法をまとめていきます。

アキレス腱は、人体の中で最も長く強い腱であり、弾力性のない線維性結合組織で構成されています。ヒラメ筋と腓腹筋の挿入部分であり、これらの筋肉を踵骨に繋げています。

アキレス腱は、人体の中で最も断裂を生じやすい部分になります。

女性よりも男性に多く発症し、30〜50歳での発生率が高くなります。
バドミントン・サッカー・バレーボール・バスケットボール・テニスなどの切り返し動作を多く含むスポーツでは、腱に多大なストレスを与えるため腱断裂を生じやすいと考えられています。

サッカーで競り合う場面

病態・特徴

断裂を引き起こす可能性のある間接的な傷害が3つあります。

傷害

  1. 短距離走・ランニング・ジャンプの開始時、膝を伸ばしながら体重を支えるタイミング
  2. つまずいたとき、突然前に倒れたときなど、足関節の突然の予期しない背屈が生じるタイミング
  3. ある高さから落ちた時に、足関節の強制背屈が生じるタイミング

アキレス腱が完全に断裂すると、以下のような特徴を呈します。

特徴

  • かかとを刺されたような鋭い痛みを感じる
  • 断裂の瞬間に大きな破裂音・ポップ音が生じる
  • 腱を触診すると、連続性が途絶えるように感じる場合がある
  • 踵骨周辺(特に後方)の腫脹
  • 足関節他動背屈の過可動性
  • 足関節自動底屈が不可
  • 歩行障害
  • Thomson Test陽性

アキレス腱断裂は、損傷後少なくとも4〜6週間症状が継続している場合、慢性的な症状と判断されます。慢性的なアキレス腱断裂の症状として、痛み・筋力低下・倦怠感・足関節周囲筋のこわばりなどが生じます。

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分類

アキレス腱断裂は、断裂の重症度と収縮の程度に応じて、4つのタイプに分類されます。

分類

  1. タイプⅠ:部分断裂(≤50%)
  2. タイプⅡ:腱のギャップが3cm以下の完全断裂
  3. タイプⅢ:腱のギャップが3〜6cmの完全断裂
  4. タイプⅣ:6cm以上の欠損を伴う完全破裂

タイプⅠでは保存治療が一般的です。タイプⅢ以降では、しばしば腱移植が必要となってきます。

評価・スペシャルテスト

アキレス腱断裂に対するテストになります。

アキレス腱断裂の感度・特異度・尤度比の表

Thompson Testは感度が96、特異度が93、陽性尤度比13.47・陰性尤度比0.04と高い結果になっています。

つまり、アキレス腱断裂にRule-inするにもRule-outするにも良いテストだと考えられます。

Matles Testも同様に良い評価ですので、Thompson Testと組み合わせるとより良いでしょう。
評価自体は、腹臥位にて膝関節を90度屈曲させた時に、足関節が重力により背屈するかどうかを見るテストです。アキレス腱の連続性が保たれていれば、重力負荷に抵抗して背屈してしまうのを防ぎます。観察するテストになりますので、解説は省かさせていただきます。

Thompson Test

評価方法

  1. 腹臥位になってもらいます
  2. 腓腹筋の筋腹部分をつまむようにすると足関節が底屈します
  3. アキレス腱断裂が生じていると足関節底屈がみられなくなります

歩行

歩行を確認することで、アキレス腱に問題を抱えていることを示唆する所見が確認できるでしょう。

足関節底屈の機能不全が生じているため、歩行時立脚後期においての蹴り出しに問題が生じている可能性が高いです。

川辺をウォーキングをする男性

詳しく説明すると、アキレス腱が断裂している場合は足関節背屈は過可動性になっており、立脚後期において足関節背屈の運動には問題ありませんが、床反力を上方へ伝達することができないため、蹴り出しが行えないという状態です。
この場合、足関節を過回内させることで代償することで、少しでも蹴り出しを行えるように代償することが考えられます。

その他、骨盤帯を回旋させて、股関節周囲筋・腰部の筋などで代償することも考えられます。代償する場所は人それぞれにはなりますので、その都度評価して、二次的な問題を引き起こさないようアプローチしていく必要があります。

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まとめ

Thomsen TestやMatles Testは、アキレス腱断裂にRule-inすることもRule-outすることもできるテストですので、評価の最初に行なっても良いですし、確認するために最後に行なっても良いと考えられます。

ただし、検査はこれだけではなく、問診・触診・関節可動域や筋機能検査など、多角的に考慮する必要性があります。

これはどのような病態・症状の方にも当てはまりますので、常に念頭に置いて臨床に入ることをオススメします。

保存療法での介入の流れとして、まず受傷後1〜2週間ほどはテーピングなどによる保護を実施し、負荷を加えないようにしていく必要があります。その後、徐々に足関節底屈・背屈の可動性を改善していき、4〜6週後くらいからカーフレイズ(爪先立ちの運動)を行なっていくと良いでしょう。負荷量は両脚から片脚立ちへと増加させていくことができますので、状態に併せて変えていきましょう!

再受傷・再断裂しないよう、足関節以外の身体の機能不全も考慮した方が良いと考えます!

参考文献

  1. DIAGNOSTIC ACCURACY OF PHYSICAL EXAMINATION TESTS OF THE ANKLE/FOOT COMPLEX- A SYSTEMATIC REVIEW: Braun Schwieterman,Deniele Haas,Kirby Columber,Darren Knupp, Chad Cook, The International Journal of Sports Physical Therapy, 2013
  2. Kuwada GT. Classification of tendo Achillis rupture with consideration of surgical repair techniques. J Foot Surg. 1990;29 (4): 361-365.

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