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顎関節の動き
今回は、顎関節の動きと、顎関節と頭頸部の姿勢・運動連鎖に関してご紹介していきます。
顎関節には、回転運動と滑走運動の機能があります。
別の言い方をすると、”転がり”・”滑り”の動きになります。
特に下顎頭が主体となって動きます。開口時には、下顎頭の前方への転がりと滑りの動きが同時に行われます。
これが組み合わさることで、下顎が脱臼せずに口を開けることができます。
また、左右同時に動きが行われるため、口をまっすぐ開くことが可能となります。
上顎骨に対して下顎頭がすっぽりはまっているような構造をしているため、大きく口を開ける時には下顎頭が上顎骨の関節結節を乗り越えます。この時に関節部分で少し音が鳴ることがあります。
顎関節症の方の場合、顎関節周囲の組織が線維化して硬くなってしまった結果、それが音として鳴ることもあります。
この顎関節の動き(特に下顎頭の動き)が抑制され、滑らかに動かすことができない場合や、”カクッ”と動きが逸脱してしまう場合は顎関節症である可能性が高いです。
頭頸部の位置が下顎に与える影響
頭頸部のアライメントが下顎にどのような影響を与えるか、個人的な考えをご紹介します。
C0/1の左側屈が生じ、頭部が左に傾斜している場合、下顎は左に偏位していきます。
反対に、頭部が右に傾斜している場合は、下顎が右に偏位していきます。
上顎骨に対して下顎頭は筋肉や靭帯によってぶら下がっている状態なため、このようなアライメントの変化をきたすと考えられます。
この状態が続けば、片側の外側翼突筋の機能低下を引き起こし、舌骨下筋群の代償を強めてしまうことで頸部・肩甲帯へ影響を及ぼすことが考えられます。
C0/1の屈曲が生じると下顎は前方に偏位し、反対に伸展すると下顎は後方に偏位します。
頭部前方位の姿勢は、中・下位頸椎は屈曲、上位頸椎は過伸展であるため、下顎が後方に変位してしまい顎関節症を引き起こしやすいことにも繋がります。
C1/2の回旋が生じると、回旋とは反対側に下顎が偏位します。
例えば、頭頸部右回旋によって、下顎が左に偏位するということです。
- 頭頸部屈曲:下顎前方偏位
- 頭頸部伸展:下顎後方偏位
- 頭頸部側屈:下顎同側偏位
- 頭頸部回旋:下顎反対側偏位
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下顎の位置が頭頸部に与える影響
上記の、頭頸部のアライメント下顎に与える影響の反対になります。
つまり、下顎アライメントの結果として、頭頸部にどのような影響が生じているということです。「卵が先か、鶏が先か」という話にはなりますが、相互関係にあることを踏まえると、考慮することは必要がと考えます。
下顎が前方へ偏位すると、頭頸部は伸展する動きとなります。反対に、下顎が後方へ偏位すると、頭頸部は屈曲する動きとなります。
純粋に両側同じ動きをするということは考えにくいので、片側のみの場合を考えていきましょう。
右側で咀嚼することが多いということを例にしていきます。
右側の閉口筋である咬筋や側頭筋、内側翼突筋が作用します。これが過剰になると、右の下顎は後方へ偏位している状態が考えられます。咬筋・側頭筋は斜角筋や舌骨筋群との繋がりがあるため、協働して頸部の右側屈・右回旋を引き起こしたり、肩甲帯を前傾させることが考えられます。
こうなると、右側での頸部や肩関節での機能不全を引き起こすことが考えられます。
舌のアライメント
舌の位置は、顎関節に大きく影響を与えます。
普段気にされない方も多い場所ですが、ぜひこれを機に意識してみると良いでしょう。
生活する上では口を閉じていることが多いと思いますが、この時基本的には上下の歯は接しません。舌先は上の前歯の内側に当たる位置で、舌全体が上顎骨にペタッと接していることが重要です。
つまり、舌が上顎骨を支えている状態になります。
この舌の位置が悪ければ、顎関節を安定させようとして、特に咬筋などの閉口筋が過活動を引き起こしてしまうかもしれません。
そもそも、口を閉じていないという方は、呼吸を口で行なっていることが考えられます。
この状態では口内環境が悪化しやすいため、口を閉じて鼻で呼吸するように意識された方が良いでしょう。
1日の中で食事の時以外は、上記の舌の位置で上下の歯は接していないということは覚えておいた方が良いでしょう。
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まとめ
今回は、顎関節の動きと、頭頸部との関係、舌の位置の重要性をご紹介しました。
頭頸部の安定性が確保されていないと、上肢の機能は低下してしまうことが考えられます。
適切な顎・舌の位置を獲得することは、頭頸部を安定させ、体幹・下肢の安定性も向上させることが期待できます。
普段の生活の中での意識のおき方、現在どのような状態なのかを相手に把握してもらうことは非常に重要なことだと考えられます。
コメント
[…] 顎関節のバイオメカニクス頭頸部との姿勢・運動連鎖顎関節の動きを解説しています。頭頸部(特に上位頸椎)と下顎の動きの関係、姿勢・運動連鎖を考察し、個人的な見解になります […]