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足関節背屈
足関節背屈の動きにおいて、距腿関節では脛骨に対し距骨が後方(背側)に滑る動きが生じます。
これは凹凸の法則における考え方で、脛骨が凹面・距骨が凸面です。この場合、凹面の脛骨に対して凸面の距骨が後方に滑ることで、関節軸が安定した状態で動くことを可能にしています。
ただし、あらゆる動作の中では距腿関節だけではなく、遠位脛腓関節や距骨下関節・足根間関節の影響を受けます。足根間関節は、距舟関節・踵立方関節・楔舟関節・足根中足関節が含まれます。
特に足が地面に着いている状態(Closed Kinetic Chain:CKC)においては、距腿関節だけではなく”足部”の影響を大きく受けることは想像がつくでしょう。
そこで、これらの関節を複合的に解釈していく必要があります!
その考え方をご紹介していきますので、1つの視点として皆様のご参考になれば幸いです。
距腿関節
上記でもご紹介しましたが、距腿関節の背屈では『脛骨に対して距骨が後方に滑る』動きが生じます。
この場合、脛骨を固定して距骨を後方に動かすことで、制限の有無を評価することができます。
これはご存知の方も多いでしょう。日々の臨床の中でこれを行なっている方も多いと思います。
しかし、これだけではなかなか思うように改善していかないケースもあるのではないでしょうか?
この場合、少し考え方を変えてみるのが良いでしょう。
動作では、足が地面に着いた状態が多いと思います。このとき、距骨が固定側で脛骨が可動側になります。
つまり、距骨に対して脛骨が前方に滑る動きが生じます。
評価する際には、距骨を固定して脛骨を前方に動かしていくと良いでしょう。
脛骨に対する距骨の後方滑り
距骨に対する脛骨の前方滑り
どちらか一方だけではなく、両方組み合わせていくと良い効果が得られるかもしれません。
例えば、距骨に対して脛骨を前方に動かした後に、脛骨に対して距骨を動かすようにするということです。
(ちなみに、距骨に対して脛骨を前方に動かすのは、腹臥位が行いやすいです。)
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距骨下関節
次に距骨下関節です。
距骨と踵骨との間に位置する関節であり、3つの関節面(前・中・後)により構成されています。
後関節面は距骨が凹面・踵骨が凸面であり、前・中関節面は距骨が凸面・踵骨が凹面で形成されています。
CKCにおいては距骨と踵骨はともに動きが生じ、距骨下関節での動きは主に回内と回外です。
距骨下関節が回内することで、足部は地面の状態に合わせて柔軟に対応し衝撃を吸収する機能がありますが、過剰な回内は足部アーチを崩してしまいます。
距骨下関節が回外することで、足部を安定させて推進力を生み出す機能がありますが、過度な回外は脛骨を外旋させ足関節や膝関節にストレスが加わります。
直接的に距腿関節や足根間関節の背屈には関与しませんが、足部や脛骨に大きな影響を及ぼしていますので、アライメントや関節の遊びを評価することは大切です。
距骨下関節には解剖学的バリエーション(個人差)があります。こちらのページでは、距骨下関節の詳細をまとめていますのでご参照ください。
足根間関節
足根間関節には、距舟関節・踵立方関節・楔舟関節・足根中足関節が含まれます。
- 距舟関節
- 踵立方関節
- 楔舟関節
- 足根中足関節
距骨は近位で脛骨・腓骨と距腿関節を構成しますが、遠位では舟状骨と距舟関節を構成します。さらに舟状骨は、遠位で内側楔状骨と楔舟関節を構成します。そして、内側楔状骨は遠位で第1中足骨と足根中足関節を構成します。
楔舟関節の動きに制限が生じている場合、舟状骨あるいは内側楔状骨の可動性に問題が生じているため、その近位の距舟関節や遠位の足根中足関節の制限にも繋がります。
また、距腿関節の可動性制限が生じている場合、距骨は遠位で舟状骨と関節を構成しているためその部分での問題を引き起こし、さらに舟状骨は遠位で内側楔状骨と関節を構成しているためその部分での問題を引き起こす可能性もあります。
距舟関節
⇅
楔舟関節
⇅
足根中足関節
同様に、踵骨と立方骨の関係、それに付随する立方骨と第5中足骨との関係、立方骨と舟状骨との関係も重要です。
このように、足根間関節は相互に関係していると考えられるため、一つどこかの部分で問題を見つけた場合、問題の原因はその部分ではなく違った部分の関節である可能性も含めて考える必要があります。
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遠位脛腓関節
遠位脛腓関節は、脛骨遠位の形状の特徴により腓骨は前方には動かず、後方にのみ動きます。
足関節背屈の際には、遠位脛腓関節が離開することで距骨が入り込むように動きます。
つまり、腓骨の動きに問題が生じている場合、背屈可動域の最終で距骨の動きが制限されてしまいます。
繰り返し足関節捻挫を経験された方は、靭帯が弛緩していることで遠位脛腓関節が緩くなっている場合があるので注意していきましょう。
コメント
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