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長腓骨筋腱の役割
長腓骨筋は、下腿外側から内側楔状骨・第一中足骨へ走行している筋であり、足関節を底屈・外反させる作用を持ちます。
機能としては、外側縦アーチと中足部・前足部の横アーチの保持に関与しており、非常に重要な筋になります。
捻挫などの外傷の治療において、筋収縮を促す筋であると思われますが、腓骨筋腱の停止は人それぞれでバリエーションがあるということが念頭に有るのと無いのとでは、治療の効果に多少なりとも差が生じると考えられます。
そこで、今回は長腓骨筋腱の停止部分のバリエーションをご紹介していきます!
こちらが参考文献になりますので、ぜひご興味ある方はこちらの記事をご覧ください!
長腓骨筋の作用
長腓骨筋は足の外側コンパートメントの表在筋であり、長腓骨筋腱は内側楔状骨および第一中足骨近位の足底面へ付着します。
長腓骨筋腱で報告される問題点は、外傷性損傷、腱・腱鞘の炎症、亜脱臼、断裂、剥離骨折などが含まれます。
症状としては、長腓骨筋腱周囲での痛み、腫脹、足関節の不安定性が含まれます。
- 長腓骨筋腱の作用は、足部外反が主で、足関節底屈を補助します
- 第一中足骨の基部を下方に引っ張る原因となり、前脛骨筋の上方への牽引に対抗すると報告されています
- 外側縦アーチと横アーチの安定化に働きます
- 長腓骨筋腱は、第一中足骨への内反力に抵抗することにおいて、他の腱または靭帯よりも大きな役割を果たします
腓骨筋腱の付着部の説明に関しては多数のテキストや記事にありますが、腱挿入の変化の発生率を説明するのに一貫したものはありません。
近年の記事の一つは、異なった挿入の発生を記述しましたが、サイズと意義のあるバンドタイプを区別する内容はみられませんでした。
今回の参考文献で紹介している内容では、長腓骨筋腱の付着部について調査され、その結果が示されています。
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長腓骨筋の付着
長腓骨筋腱は、26足すべてにおいて外果後方に存在し、短腓骨筋腱と密接な関係にありました。
すべての足において、長腓骨筋腱は一貫して第4列、すなわち骨間筋と長腓骨筋腱と後脛骨筋腱からなる深層を通過していました。
腓骨筋腱は滑膜鞘で覆われていて、立方骨の下、いくつかのケースでは種子骨を外側から内側へ横切ることが紹介されていました。
26足すべてが、強いバンドによって第一中足骨の基部に付着していました。
内側楔状骨への付着が22の足で観察されました。
第1列を構成する、第一中足骨と内側楔状骨に付着しているため、歩行時の蹴り出しに大きく関与していると考えられます。
また、外側縦アーチの機能不全があると、長腓骨筋腱の機能も低下すると考えることができます。
さらに、骨間筋や後脛骨筋腱からなる深層を通過しているということは、前足部の横アーチ機能とも関連しており、歩行時の蹴り出しに関与する考えを強めていることが言えます。
長腓骨筋腱の付着部のバリエーション
長腓骨筋腱の停止バリエーション | 数 |
---|---|
第1中足骨基部 | 26 |
内側楔状骨 | 22 |
第4・5中足骨基部 | 12 |
第2中足骨基部 | 8 |
踵骨 | 8 |
第3中足骨基部 | 2 |
第2・3・4・5中足骨にも付着する場合があることは、驚きの結果でした。
また、踵骨にも付着している可能性も考えると、歩行時の接地時の問題も考えられます。
それは、立脚初期における重心の外側移動をコントロールするための外側縦アーチ機能との関連および、距骨下関節の動きにも影響すると考えられます。
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他の研究からの視点
著者 | 見解 |
---|---|
Sarrafian | 長腓骨筋腱が、内側楔状骨・第2中足骨基部・第1背側骨間の底側に拡張しているのを観察した |
Gray | 長腓骨筋腱は、第2・第3・第4・第5中足骨の基部・母趾内転筋へ挿入される |
Lohrmann | 長腓骨筋腱は後脛骨筋腱からも滑り込みを受ける |
Picou | 長腓骨筋腱の挿入について詳細に説明し、通常の挿入は第1中足骨の基部・内側楔状骨の底側・第1中足骨の頭の後ろであると述べた
挿入の割合は、内側楔状骨・第1中足骨基部が95%、内側楔状骨・第1中足骨頭が89%、第1中足骨基部のみが5.5%であった。 内側楔状骨への滑り込みは、立方骨トンネル内の種子骨のレベルで長腓骨筋腱の背側表面から生じ、内側楔状骨の前底側面で終わると述べた |
また、何名かの著者が、足部を外反・外転させる作用において、短腓骨筋が長腓骨筋よりも強いと報告しています。
短腓骨筋腱は、一般的に足関節周囲の靭帯やアキレス腱の再建に使用されることがあります。
そのため、足部の唯一残っている外転筋および外反筋についての知識、つまり長腓骨筋腱の知識がさらに重要となります。
まとめ
非常に興味深い内容であったと思います。
長腓骨筋腱が多様な場所に付着していることを考慮することで、症状が寛解していかない難渋している方にとって見方を変えるきっかけになるかもしれません。
『どのように見分けたらいいのか?』という点に関してはなかなか難しいので、アプローチした後の反応で見比べると良いのではないでしょうか!
骨の付着以外に、後脛骨筋腱や母趾内転筋へ合わさるという点を考慮してみるのも良いかもしれません。
それは、縦アーチと横アーチの関係や歩行との関係など、徐々に日常生活の大きな動作へと視点を広げていく重要なこととなります。
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